テニスと読書とデッサンと!

いつの日か。

外の空気が吸いたくなって病院を出た。
今日は午後から曇りはじめ
冷たい北風がたまに吹き付ける。
だけどこの風は眠気を吹き飛ばすには
ぼくにとってお誂え向きだという気がする。
重い憂鬱な気持ちをなんとかしたくて、
病院の周囲を歩いてみても
本屋も公園も喫茶店もありそうになく、
小さな処方箋薬局ばかりが目につく。
病院の周辺なんてそんなものかも知れない。
ここは家からそう遠くない町なのだけれど
この道は初めて歩く道だと思う。
何も考えたくはなかった。
のぼせた頭を冷やせればそれでよかった。
そう思いながら歩いているのに
知らず知らずのうちにぼくは
自分の"老い"について考えている。

いずれお前も介護が必要な時が来る、
と、もうひとりのぼくが言う。
今のぼくには自分が介護を必要とする
というイメージがまるでわかない。
頭ではわかっているはずなのに・・・。
その時になってからでは遅いのだよ、
思いや考えを先送りしたままでいると
家族だってどうしていいか分からずに
困ってしまうに違いない。
だからいまのうちに決められるところは
ちゃんと決めておいたほうがいい、と。
ぼくはどうしたらいいのだろう。
何を決めればいい?
何を決めなければいけない?
記憶をなくしていく自分を想像してみた。
不治の病で弱っていく自分を想像してみた。
何か突発的な異変が自分の身に降りかかり
突然この世を去る自分を想像してみた。
人間はいくつまで生きられるかなんて
誰にも分からないし知りたくもない。
命あるうちは前を向いて生きていたい。
多くの場合、命というものは
突然終わるのではなく少しずつ
時間をかけて終わっていくものだと思う。
できることが徐々に減っていき、
それと入れ替わるように
できないことが増えていく。
多くの人がそうなるように
日常に支障をきたすとこが頻繁になれば
周りの手助けが必要だ。
ぐるぐる。ぐるぐる。ぐるぐる。
道に迷った時のように不安に襲われながら
思うに任せいつまでも歩き続ける。
まだまだ先のこと。
そう思っていてはいけないのだ。

なんだか無性に海が見たくなった。
ここから歩いていくには遠すぎる。
そうだ!そうだ、そうだ!
介護施設に入るのなら
海の見えるところがいい。
ぼくは子どもの頃、
九十九里浜で溺れかけているところを
ボディビルダーの男の人に助けられた。
だからぼくは海がいまだに怖いし
まったく泳げない。
そんな自分が海の見えるところだなんて
どうかしている。
ぼくは自分というものを
あまりにも知らなさすぎる。
いつだったか自分で書いた物語の中に
弟のことのことに触れたのだけれど
その弟が海の中にいるような気がする。
だからそう思うのかも知れない。
海の見える施設・・・・・
貯金だな。貯金、貯金。

スマホのバイブレータが振動した。
そろそろ戻らなくてはならない。

なんだかずいぶんと悲観的なことを
取り留めもなく書いている気がする。
だけど自分らしさを失わない程度に
明るく老後のことをときどき考えることは
とても重要なことなのだろう。

※文章は少し前のもの。
写真は今朝の空。
いわし雲になりかけの雲が朝日を浴びて
どこかに向かおうとしていた。


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コメント一覧

boomooren5933
miinyandaさん、
コメントをありがとうございます。
ごめんなさい。弟のことはブログではなく
公開していない物語の中に書いたものです。
いつか書けるようになったら
このブログに載せようかと思っています。
ピーちゃん
こんばんは🌝
弟さんのこと
読み飛ばしてしまっているのか思い出せず気になりました
もし良かったらいつの記事か教えて頂きたいです
いつも有難う御座居ます✨🙏✨
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