チュルチュル満チュル。

 

 

「ラーメンが好きという人は

けっこう多いよね」

「だけどぼくが好きなのは

この店のラーメンじゃないんだよ」

「えっ？でもこの店の

ラーメンだってラーメンでしょ？」

「そうだけどぼくの頭にあるのは

あの店のラーメンなんだよ」

「えっ、あの店のラーメン、食べたの？」

「うん！美味かったよ。

あれこそ本物のラーメンて感じ」

「この間、店の前を通ったんだけど、

あんまり人が並んでいたから

あきらめちゃったんだ」

「それは残念だったね。

"ナポリを見てから死ね"って諺が

イタリアにあるけど

あの店のラーメンを食べずに

死ねるかよって思う」

「じゃあラーメンが好きといっても

それはラーメン全体を指すんじゃなく

あの店のラーメンを指すってこと？」

「まあそうかな」

「きみのラーメンの好みって難しそう。

ぼくなんか区役所の食堂のラーメンも

娘が作ってくれるサッポロ一番も

ぜーんぶひっくるめて

ラーメンが好き！って言っちゃう。

だけどいまダイエット中だから

本能の赴くままにってわけには

なかなかいかないんだ」

「我慢できなくなる時ってないの？」

「そりゃああるよ。

ぼくだって人間だからさ。

そういう時は食べちゃう」

「それはどのくらいの頻度？」

「半年に1度（笑）」

きみは我慢強いよ、ぜったい」

「そうかなぁ・・・。

いつまでもテニスができる身体で

いたいと思っているから

自然に我慢できているのかも」

「テニス？きみテニスやってるの？」

「そうだよ。いまコロナの影響で

思う存分にはできていないんだけどね」

「だからフラストレーションが溜まる？」

「そう（笑）！」

「溜まったらどうするの？」

「ラーメンを食べに行く」

「だってきみの場合、

頻度は半年に1度じゃあ・・・」

「フラストレーションの時は別腹さ」

 

※写真のラーメンは”小川流 二本松店”の

ちゃーしゅー麺。美味しかったです。はい。

食べたのは半年ほど前でした。