「本の町プロジェクト」ブログ

日本にも「ヘイ・オン・ワイ」のような本の町があったらいいな、から始まった物語。高遠での活動を経て次のステップを準備中。

図画!図画!図画!

2007-02-23 23:00:12 | Weblog
※以下の記事は、古本屋『書肆月影』大塚が書きました。

またぞろ、あいだが開いてしまった。藤野の計画が全く進んでないこともないのだけれど、あえて書くまでもないことや、書けないことばかりが重なって、マメに続けていくのは難しい。そこでまた繋ぎのお目汚しとして。

神田の古書会館の即売会「ぐろりあ会」へ出かける。午前10時を5分ほどまわって到着したのだが、拍子抜けするほど人が少ない。こんなにガラガラの即売会も初めて。今にも雨が降りそうな天候だったから、敬遠されたのか。人が少ないということは、知人を発見しやすいともいうことで、何やら生気が漲っているのか萎んでいるのか、よくわからない人影が見えたので、近づいたらオヨヨ書林の山崎くんだった。「ひと月ぶりくらいですよね。藤野の方で忙しかったんでしょう」と言われる。そういうわけでもないのだけれど。
メシでもと思ったが、会館で用事がある由。

さて、これからどうしようか。神保町の街に出たが、雨は降ってくるし、午後は風も出てくるという予報だったから、古本漁りは止めにして、前から早く行きたかった東京都現代美術館の『中村宏展』に行くことにしよう。実は家を出るときから、時間があったら寄ろうとは思っていたのだが、たまたま即売会に1969年頃に中村宏が表紙を描いた『現代詩手帖』が数冊あって、そんなに珍しいものではないけれど、これも縁と全てを購入し、購入したら、何だかすごくまた行きたくなって来たのだ。

正式な美術展のタイトルは、『中村宏 図画事件1953-2007』。展示室に入ると、まず1950年代の「ルポルタージュ絵画」と呼ばれる巨大なカンバス群が目に飛び込み、圧倒される。特に砂川闘争を描いた『砂川五番』は、その構成といい、細部の描き込みといい、圧巻。
次の空間に入ると、徐々にこれぞ中村宏ともいうべき、呪術的な「赤」や、脅迫観念的な「機関車」や、原罪意識を感じさせるような「一つ目のセーラー服女学生」がモチーフとして現れ出す。どの作品も比較的サイズが大きいので、こちらに迫ってくる圧力も相当なものだ。
この空間には、中村宏が手掛けた装幀本の数々も展示されていて楽しめた。(本好きであれば、『夢野久作全集』『久生十蘭全集』唐十郎責任編集の『ドラキュラ』などと言えばピンと来るはず)。また、これはあるかなと思っていたのだが、土方巽の日本青年館での舞踏公演『肉体叛乱』(1968年)の8ミリ撮影もきちんと常設上映されていた。15分ほどの撮影なのだが、そのあいだ目が釘付けに。例の巨大なペニスの張り型を付けて、土方が痙攣していたよ!
ここから地下に降りていくと、1970年代以降の作品群になる。これらはこれらで素晴らしいけれど、まだ胸にストンと落ちる、というところまでにはいかない。買ってきた図録を再度眺めなら、もう一度噛みしめてみたい。

美術館を出たあと、少し腹が減ったので、白河町の交差点角の定食屋『実用洋食 七福』でスペシャルランチを頼む。「実用」の名の通り、ボリュームたっぷりの揚げ物が中心。「山本一力」「松嶋菜々子」など色紙がたくさん貼ってあった。

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