広告

※このエリアは、60日間投稿が無い場合に表示されます。記事を投稿すると、表示されなくなります。

武田三代(新田次郎) - 感想

2012年04月24日 | 本 - 日本の歴史
武田三代 (文春文庫)
新田 次郎
文藝春秋


おはようございます。以前読んだ短編集の感想をアップします。収録作品のなかでも、軍師・山本勘助のことを描いた『まぼろしの軍師』がとくに好きです。


まぼろしの軍師

戦国時代の最終的な勝者となったのは徳川ですよね。その徳川は、かつて武田に大敗北したことがあります。三方ヶ原の戦いです。

徳川が天下をとると、徳川を叩きのめしたことのある武田の強さはより際立って、伝説となりました。その伝説を支えた男の一人が、軍師・山本勘助です。

読み終えた後、少しだけ悲しい気持ちになりました。そして少しだけ救われた気持ちにもなりました。これは何なんだろうと思って、すぐにもう一度読み返しました。

父と子のすれ違い。きずな。夢。歴史がつくられていく面白さ。すべてがそろっています。おすすめです。


異説 晴信初陣記

武田信玄(晴信)の初陣を題材にした作品です。

16歳の武田晴信(信玄)は、父・武田信虎から海の口城の攻略を命じられます。海の口城は天然の要害。簡単には陥とせません。それでも晴信はみごとな采配で攻城戦をすすめていきます。作戦はうまくいっていました。しかし、晴信は違和感を覚えます。自分は誰かにあやつられている、という違和感です。

名将“武田信玄”誕生の瞬間が描かれています。家臣たちの心が暴君・信虎から離れ、晴信に向けられていく様子がシビアでもあり、痛快でもありました。


信虎の最期

『武田三代』には全部で7つの短編が収録されています。『信虎の最期』は昭和50年に発表されており、7編の中で一番最後に書かれた作品です。長編小説『武田信玄』よりもあとに書かれたということになりますね。

武田氏の戦術・戦略を著した軍学書「甲陽軍鑑」には、信虎の死のことが書かれています。そこにはただ“信虎公やがてご他界なり”と記されているだけです。この一行をふくらませたのが、短編『信虎の最期』です。

信虎が武田家臣団に毒舌を浴びせるシーンがあります。面と向かってあの武田家臣団をこうもコキ下ろせる人物は、信虎しかいないように思います。見せ場は、なんといっても信虎の死の真相です。


消えた伊勢物語

武田信玄が主人公の作品です。昭和43年4月号の『推理ストーリー』で発表されました。

永禄9年(1566年)2月のはじめ。武田信玄が大切に保管していた伊勢物語の原本が盗まれているのがわかりました。信玄はさっそく部下に捜索を命じます。犯人は誰なのか。これはただの盗難事件ではありませんでした。背後には大きな陰謀が…。

飯富兵部は信玄の子・義信のことを思って考えをめぐらせます。それがかえって、飯富兵部と信玄との間に溝を生むことになります。その溝が、悲劇につながっていきます。飯富兵部の不器用さ、やさしさが心に残りました。

武田信玄、今川義元、北条氏康の3人が連盟のために勢揃いするシーンがあります。3人は仲良くひとつの部屋に集まって、伊勢物語について雑談をします。面白い光景でした。このとき北条氏康は伊勢物語にそれほど関心を示しませんでした。でもあとから思えば、それも計算だったんですね~。


ほかに『孤高の武人』『火術師』『武田金山秘史』が収録されています。

この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« カフェモカを飲みながら | トップ | エスプレッソと五輪書 »
最新の画像もっと見る

本 - 日本の歴史」カテゴリの最新記事