宮部みゆき
『三鬼 三島屋変調百物語四之続』★★
お盆時期にピッタリ過ぎて苦笑
結構な厚さで読み応えたっぷりです。
今回は日経掲載分(2015年~2016年)
エアコンが効いた涼しい部屋、TVでは甲子園中継(聖光学院!!)
夏休み読書
ビールではなく、手元にはホットカフェオレ
--------(抜粋)
亡者が集う家や食いしん坊の守り神。不思議がいっぱい黒白の間へようこそ。
此度の語り手は山陰の小藩の元江戸家老。彼が山番士として送られた寒村で知った恐ろしい秘密とは!?
せつなくて怖いお話が満載! おちかが聞き手をつとめる変わり百物語、「三島屋」シリーズ
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・第一話 迷いの旅籠
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「けんけん、ぐうぐう?」
それを言いたかったのか。可愛らしい。
「けんけんごうごう、だわね。人がいろいろ思うところを言い合って、騒ぎになることよ」
喧々囂々。
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おつぎはいつも不思議に思う。山の鳥たちは、どうやって季節を知るのだろう。鳥には鳥の暦があるのかなあ。今はさえずりも聞こえないのに、行灯祭りが済んで立春が来ると、途端に賑やかになる。
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「私は絵師だ。絵ならどれだけだって巧く描くことができる。だが、それだけでは空しかった。ならば何をどうすればいいのだろう。どうしたら、死者があの世から帰ってきて私の絵に宿り、活き活きと蘇ってくれるのか」
「先生、そんなお話はいいよ!」
おつぎは遮って、強い声を出した。
「死んだ人の魂なら、お盆やお彼岸に戻ってくるよ。だから、おらたち供養をするんだもん」
と、石杖先生はぬっと首を伸ばしておつぎの方に迫ってきた。
「盆や彼岸には死者が帰ってくる?ならばおつぎ、おまえは見たことがあるのかな。盆の迎え火についてくる死者の姿を。彼岸の入りに、戸口をくぐってくる懐かしい亡き人の顔を、その目で見たことがあるのかい?」
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<まがい物>
「巷に溢れる亡者や幽霊の目撃譚は、おしなべてその類いなのだ。死人の念が、ボロ布の端がどこかに引っかかるようにして、縁の深い場所に引っかかっている。それが生者の目に、奇っ怪な幻となって見えてしまうだけのこと」
そんなものに価値はない。くだらん、まったくくだらんと、先生は言った。
「本物は、もっと完璧な姿形で戻ってくる。道が開けば、この世とあの世が通じるのだから」
途方もないことを言っているのに、先生は穏やかに落ち着きを払っている。
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今後の人生の戒め
ちょっと中編になっていて、引っ張り過ぎ感が拭えない(^▽^;)
もう少し端的でよくない?
・第二話 食客ひだる神
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祭りと喧嘩は江戸の華
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桜をもの悲しく感じるのは、満開になったと思うそばから駆け足で散ってしまう花だからかもしれない。が、だからこそ「潔い」と讃えられもする、人の心の向きは、花ひとつ見るだけでも異なるものなのだ。
「もう桜はしまいなのに、葉桜を飾るんですか」
「桜は、葉っぱもあでやかだからね」
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随分とおちかは成長し、自ら百物語を依頼
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「語って語り捨て、聞いて聞捨て」
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ひだる神というのは、またの名を「餓鬼」ともいう。山道や野道で行き倒れて死んだ者の霊であり、あやかしのものだ。これに憑かれると、誰でも急に激しい空腹を覚え、その場から動けなくなってしまう。
「紅葉も散り始め、秋の日はつるべ落としどころか、薄赤い夕陽がお手玉を放り投げたみたいに山の端に落っこちてゆくところでした」
相手があやかしのものでも、怒るべきときは怒れば効き目があるらしい。
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表題作
・第三話 三鬼
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―—森で迷子になると、鬼に遭うんだ。だから怖いんだよ。
鬼に遭う。
―—鬼がおります。
「村井様、あんまり詮索なさると、この山を下りれなくなりますで」
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欣吉はまたはらはらと涙をこぼした。
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黒い籠、長い蓑、雪沓。
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表紙の絵ですな。
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―あれは、我々を導いている。
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私とおまえは、同朋(はらから)だ。
遠く、洞ヶ森の闇がざわめく音がする。
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・第四話 おくらさま
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「お嬢さんは、今のあの方とご縁がありますよ」
「え?」
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最終章は山小屋に持参
空き時間に読む読む。
終わりよければ全てよし。
次回の表紙が花嫁姿・・おちかの今後に乞うご期待!