たまにはうちのわんこアピール
病魔に侵されながらも元気にしてます。
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連城三紀彦
『戻り川心中』★★★★★
いやはやしびれました。
古本の今ではめずらしい小さな文字の羅列
どうでもよい本など放っておいて、こういう本を読んでゆきたい。
(笑)
連城さんは前回読んだ『運命の八分休符』
続いてはデビュウ作を渡された。
そうまた会社のコの本棚からです。
--------(抜粋)
大正歌壇の寵児・苑田岳葉
二度の心中未遂事件で、二人の女を死に迫いやり、 その情死行を歌に遺して自害した天才歌人
岳葉が真に愛したのは? 女たちを死なせてまで彼が求めたものとは?
歌に秘められた男の野望と道連れにされる女の哀れを描く表題作は 、日本推理作家協会賞受賞の不朽の名作
耽美と詩情―ミステリ史上に輝く、花にまつわる傑作五編
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寝返りをうって朱子の視線を追うと、形ばかりの床の間に、 ひび割れた粗末な花器が置かれ、花菖蒲が二本さしてある。 白と紫だった。真っ直ぐに伸びた茎は、まだ生命感に漲って、 電燈の冷めた灯に剣のようにしっかり突き刺さっているのに、 花は一方が完全に腐り、白い方も花弁が縮み、枯れかけている。 季節の鮮やかさは茎と葉の緑にしかなかった。
「別々の色で、別々に死んでいくのね」
花にむけて紙巻きの煙を吹きかけながら、 独り言のように朱子は呟いた。 今の二人のことを言っているようにも、 自分と東京に残してきた亭主のことを言っているようにも聞こえた 。
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