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2016-06-12 | 吉本ばなな



吉本ばなな
『ひな菊の人生』★★★


気持ちが高ぶっていて集中して読書が出来ない気がして、、
その人の不在が結構堪える?わけじゃないけど、
あたまの片隅に確かに存在している。

新たな出逢いを思い、何となくばななを読もうと手に取った。



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音と心がひとつになるために楽器はあるのだと思った。



空はどんよりと曇っていて、雲はあらゆる灰色をあふれんばかりにたたえて遠くまでずっと続いていた。



朝の光を浴びると、体が清められるような気がする。



別れのときが来ると、いいことばっかりだったような気が、いつもする。思い出はいつも独特の暖かい光に包まれている。私があの世まで持っていけるのは、この肉体でもまして貯金でもなく、そういう暖かい固まりだけだと思う。そういうのを何百も抱えて、私だけの世界が消えてしまうというのだといい。いろいろなところで暮らした、いろいろな思い出の光を、ひとつにつないでいるのは私だけだ。



私は胸がどきどきしてきた。なにかいいことがある前は、いつも胸がどきどきする。まるで体のほうが数時間後のことをリハーサルしているように。








いちぢくの匂い








悲しみという生き物の濃厚な精子を涙という形で外に放出しないと、体中を乗っとられて狂ってしまいそうだった。



植物は無慈悲にそしてある意味ではなによりも優しく大らかにその生命で時間の経過を示してくれる。



梅雨はあと数日で明けようとしていた。空気がどんどん夏を発散しはじめていた。植物はみな梅雨の間に得た水分を糧に、空へ空へと強い力で伸びていた。



雨はしとしとと降り続き、この世の全てを静かに濡らしていた。



西日は金色になって、世界を満たしていく。濡れていた舗道はきらきらと光り、水をたっぷり飲んだ木々の緑は、なめまかしい色をどんどん濃く重ねて育ってゆく。



私という箱には、私が想像できる全部のものごとがつまっている。
誰に見せることもなく、誰に話さなくても、私が死んでも、その箱があったことだけは残るだろう。



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このお話は共感出来るところがあって、
そう いろいろな人と暮らしたあの頃のことをふつふつと思い出す。
真夜中にコーラが飲みたいって坂の下の自販機まで買いに行かされた時のぼぉっと光る自販機の灯りとか、
「部屋を密封状態にしないで」それを説明してくれた時に初めて見た窓からの夜景と外から漏れた首都高の音とか、
チャラ男の外見と話し方で危機感を覚えたけど中身は素直で礼儀正しく結構イイヤツだったこととか、
わんこのお散歩中拾い食いを阻止しようとし左手を噛まれ血を流した時に見せたニヤッと笑った顔とか、
そんな些細なことを。

最後の別れはどうだったんだろう?








今ハマっている『華麗なる遺産』の全録画をチェック☆
「ベタ過ぎて笑えるけどそれがおもしろいんだよね」
続いて『華政』
こちらはイマイチなんだけど、チューナー!の本心がみたいがため吹き替え&ながらで。


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