長嶋有
『泣かない女はいない』★★★+
再読
今回は単行本で。
題名がインパクトで手に取った記憶
初出が2005年
平凡な中に なにか 引っかかるものがあった。
そう描写が上手い。
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我々は連帯しながら断絶している。
(シータは木登り平気だよね)
女の子たちに「公園まで散歩にいく」と説明したときは「公園でなにするんですか」といわれて困った。理由もなく歩くとか佇むということの説明が、うまく出来ないのだ。説明のいらない人にはいきなり通じてしまうことが嬉しくて、そして不思議だった。
「梯子はおりるときの方が怖いんだよ」
「~・・・・・・・・はじめてベッドに入ったときね、彼に『首、絞めて』っていわれたんだって!」
『私は締める』
「私がマゾだったら、首絞めてくれる?」
自分がへこたれている瞬間に愛すべき人間がなんの悲しみもなく過ごしているというのは、すごく安心することなんだと思った。
ごめんねといってはいけないと思った。
「ごめんね」でも、いってしまった。