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2018-01-10 | 村上春樹

 



村上春樹
『国境の南、太陽の西』★★



「新年明けましておめでとうございます。
昨年は、ものすごく、ものすごくお世話になりました!
本年もよろしくお願い致します。」

9日 仕事始め
この会社になってから長期休暇明けのばかみたいな件数の未読メールはなくなった。
今回は25件ぐらい。
最初のメールに笑ってしまった!


さてさて年始読書の春樹・・再読
正直チョイスを誤ったかな・・と。
今のわたしにはダーク過ぎる。

箱根に向かうくだりだけはこの本のイメージで覚えていた。


今年の抱負は「相方に合わせて協力する」
それと「大人の水泳教室」・・なんか響きがいやらしい(笑)
こう?「大人のスイミングスクール」
泳ごうと思う。
自己最高記録75M



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リストのピアノ・コンチェルト
表に一番が入り、裏に二番が入っていた。



「あなたの言ってること、なんとなくわかるような気がする」と彼女は大人びた静かな声で言った。
「そう?」
「うん」

「世の中には取り返しのつくことと、つかないことがあると思うのよ。そして時間が経つというのは取り返しのつかないことよね。こっちまで来ちゃうと、もうあとには戻れないわよね。それはそう思うでしょう?」



目を閉じると、その暗闇のなかに渦が浮かぶのが見えた。幾つかの渦が生まれ、そして音もなく消えていった。ナット・キング・コールが『国境の南』を歌っているのが遠くの方から聞こえた。



失望と孤独と沈黙



僕は前よりももっと深く自分一人の世界に引きこもるようになった。僕は一人で食事をし、一人で散歩をし、一人でプールに行って泳ぎ、一人でコンサートや映画に行くことに慣れた。そしてそれをとくに寂しいとも辛いとも感じなかった。



「泳げるって楽しいでしょうね。昔からずっとそう思っていたわ。泳げるのって楽しいだろなって」



彼女は人さし指を上にあげて、唇にあてた。そしてそっと首を振った。その話はもうやめましょう、お願いだから二度とそのことは訊かないで、というように。



「なかなかうまくいかないものね」
「なかなかうまくいかない」と僕は言った。



子供の頃、僕は雨降りの日には、よく何もせずにじっと雨を見つめていた。何も考えずに雨を見つめていると、自分の体が少しずつほどけて、現実の世界から抜け落ちていくような気がしたものだった。おそらく雨降りの中には、人を催眠術にかけてしまうような特殊な力があるのだ。少なくともその頃の僕にはそう感じられた。

僕はその隣に腰を下ろして、目を閉じた。音楽の響きが少しずつ遠のいて、僕は一人になった。その柔らかな暗闇の中では、まだ雨が音もなく降り続いていた。



「それなりの努力を払っているからだよ」と僕は言った。「努力なしにものごとが達成されることはない」



「なんだっていつかは消えてしまう。」

「かたちがあるものは、みんないつか消えてしまう。でもある種の思いというものはいつもでもあとに残る」



「待っているよ」と僕は言った。「近いうちに会おう」

青山通りに車を走らせながら、もしこのまま二度と彼女に会えなかったら、きっと頭がおかしくなってしまうだろうなと僕は思った。彼女が車を下りてしまうと、世界が一瞬がらんどうになってしまったような気がしたのだ。



「ずいぶん経験的に聞こえますね」
「そのとおり。経験でしか人は学ぶことができなんだ」と彼は言った。



どんなものでも同じ環境がいつまでも続くと、エネルギーが徐々に低下してくる。
そろそろ何かしらの変化が求められていると僕は少し前からうすうす感じていた。
空中庭園というものは、決して人々に飽きられてはならないのだ。



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年明け早速の初詣・・
寒空の息凍る中一時間 そして高円寺~中野へ。




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