角田光代
『私はあなたの記憶のなかに』★★★★★
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さがさないで。
私はあなたの記憶のなかに消えます。
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この帯の一文に惹かれて買ったまま
My本箱の未読本
何となく最近角田光代を読んでないなと思い手に取った。
2020年10月以来・・
1996年~2008年の作品を纏めた短編集
・父とガムと彼女 ★★★★
最初からガツンとヤラレた。
こういう話って他人事とは思えなく、騙されたままでいたい。
・猫男 にゃおん
・神さまのタクシー
無防備で自由だった学生時代を思い出す。
キラキラと輝く若き日々
怖いものなどなかった。
・水曜日の恋人
儚い シャンプーの香り
わたしも昔は言ってたな「不倫だけはなし!」ってね。
(今は別にどちらでもよい そう他人事)
・空のクロール
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プールにはだれもいなかった。自分の身に着けた紺色の水着を眺め、それから目の前に広がる長方形の水のかたまりを見た。だれも泳いでいないのに水面は細かく波を打っていて、まるで型抜きされた巨大なゼリーみたいだった。隅に銀色の低い梯子があった。三段目から水の中に消えて、のぞきこむとその銀色は崩れてちらちら揺れていた。手すりにしっかりつかまって、一足ずつ梯子を下りる。三段目で足の先が水に触れた。生ぬるい水が、やわらかく私の足首を包む。脛から順々に、膝、股、腰と水に沈めていく。私をとりかこむ水は笑うように揺れ、表面は大きく波打つ。胸まで沈め、水着に縫いとられた校章のマークが水面に消えると足がコンクリートに触れた。
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靴の中の金魚・・想像してもコワイ(^▽^;)
(別で読んだ森見登美彦の小説にも金魚が出て来てギョッよ(苦笑))
思わず「金魚」は何を意味するのか気になって調べてみた。
「豊かさや権力を象徴している黄金色 ... 日本人の間で「赤い金魚」が好まれるようになったのには「魔除け」の意味があったのです。
鮮やかな赤い色には強い呪力があり、病魔、災厄を退散させるという、赤い色への信仰は全国的な支持を受けていた」
ふむ。
・おかえりなさい
見知らぬ老婆の記憶の中の愛しき人に成り代わる物語
・地上発、宇宙経由 ★★★★★
重ね合わせたくはないが、偶然出逢ってしまう「運命的」と言える出来事も、
それは本人の捉え方次第で・・
そういう宿命的と思える「縁」を深く考えてしまうのは女子的なのかもしれない。
腐れ縁とはそういうもの。
無限ループに陥る ぐるぐる回る世界
ストップ!!
・私はあなたの記憶のなかに
前向きでいようと思わされる物語
今は無き特別列車にあった食堂車の描写がなつかしさを誘う。
西武鉄道で復活!?してますが
★参照★ https://www.seiburailway.jp/railways/seibu52-shifuku/
想い出の場所はそこかしこにあって、かならずと言っていいほど愛しい人の顔が浮かんでしまう。
たまにハッとさせられる一文がちりばめられていて、読ませる一冊です。
お友達や読書会メンバに「おすすめ」メールしちゃった。
推し本です(^▽^)/いかが?