連城三紀彦
『宵待草夜情』★★★
こちらも『夜よ・・』と同様カバーが失われた古本
ついつい匂いを嗅いでしまうくんくん
日焼けし茶色に変色した文庫本
この作品は昭和58年8月新潮社より刊行された。
五編からなる短編集
『能面師の妻』
最初から強烈な迫力をもって迫ってきた・・
少々連城節に辟易(苦笑)
短編であるが如くな凝縮した女の情念
しかし一つ一つの描写が美しくうっとりしてしまう。
濃いなぁ
『野辺の露』
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杉乃さん‥‥‥いや、義姉さんと―— 昔どおりに呼ばせてください‥‥‥
あれから二十年が過ぎてしまった。 月日のすぎる流れはいつも夢のようにしか思えないが、
あれは大正三年のことだったから、 たしかに二十年という長い歳月が今日までに流れ去ったのだ‥‥‥
あれから二十年が過ぎてしまった。
あれは大正三年のことだったから、
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こんな語りから入るけど、
こんな語りから入るけど、
私的に「姉さん」と言えば高橋政伸(笑)
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義姉さん、自分の罪を懺悔して欲しい。
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そう結ぶ。
そして表題作の『宵待草夜情』
こちらも舞台は大正の世
下駄の音が響く裏路地的な陰影が色濃く残る時代
ため息が出るような色恋沙汰
『花虐の賦』
女優と聞かなくなったのはいつ頃か・・
舞台に命をかける脚本・演出家の情熱と愛憎
人形として生きる女
結局愛していたのは旦那だった。
『未完の盛装』
時間を置いて読んだにも関わらず、
連城さんの世界観が濃厚過ぎて現実のギャップに苦笑
本人が一番酔っている 陶酔している模様
胸が苦しくなるような美しさ。
連城さんの色は淡い紫
明るみを足した青も似合う