椎名誠
『続 大きな約束』★★★
「あと五万五千キロ足りません。どうも力足らずですいません」
頼んだ中古斡旋業者が謝っている。ま、世間とはあべこべな会話になっているんだろうなと思ったがそのへんが妥協点だろうと思った。
(笑)
わたしは仕事が困難になってくると、その困難から早く脱出したくてムキになるところがある。粗製乱造への道を走っているのは間違いないから、こういう方向では所詮三流作家で終わっていくのだろう、と思いつつも、とにかく猛烈なスピードで書いていく。
椎名さんは素直だなぁと思う。中々言えないよネ。
よく晴れた太陽の光のなかでずんずんと乾いていく洗濯物は何時見てもここちよかった。
ずんずん
「健康でいないといい“じいじい”になれないわよ」
風太くんとの対話のほのぼの
むかしの正しい文学者などは、最初の書き出しが気にいったものにならないと三日も一週間も出だしの数行に呻吟して頭を抱えていた、などという話を読んだことがあるが、そんなことをしているとわたしの場合は永久に目の前の四十本は終わらないだろう。
粗製乱造