書店外商の無常日記

人生という名のフィールドワーク

2016/02/14 Sun.

2016年02月15日 | 日記
 休日は気が抜けてしまうのか考えていた予定の行動をとることもなく、もちろん持ち帰りの仕事に手をつけることなどもなく終わってしまう。



 インターネット上を渉猟していると、高校の同窓会のホームページに過去の会報がアップされているのを見つけた。数年前の号の巻頭言は当時の同窓会長N氏によるものである。その頃であったか新聞に地元財界人のリレーエッセイが連載されていて、N氏も月に一度ほどのペースで原稿を寄せていた。冒頭に本論と関連したエピソードを持ってきて読む者の関心をを引き寄せたあと、「さて、……」と続く文章はいずれも名文であった。N氏の娘さんは高校の教師をしていて仕事上で顔見知りだったので、ある時感想を伝えたところ、周囲から「本でも一冊書いたらどうですか」と勧められることもあると言っていた。

***


「富山湾その波に…紅はわが心…」私は確かに聞いた。薄暗い酒場で酔いつぶれて頬をカウンターにつけ、眠りながらつぶやくように歌った中年の男性。

 もう30年近くも前のことだ。ワシントンに仕事で半月ほど滞在したときのことである。雪のちらつく寒い日、私はナイヤガラの滝を見に出かけた。夕方の便でワシントンに向かう予定だったがその便は休航になってしまった。次の便まで4、5時間あるという。ホテルに隣接するバーで同僚と二人で飲んでいたらその男が急に歌い出したのであった。
 魚津高校OBに違いない。私は彼の肩に手をかけて揺り動かした。しかしその人は目を覚まさなかった。かなり泥酔しており相当に疲れているようでもあった。後ろ髪を引かれる思いでバッファローを発ったが、その後も北米に出張すると彼を思い出し、ひょっとしたら会えるのでは、と思ったりした。(後略)

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