【生物学的製剤】リウマチ治療の頼れる味方!リウマチ科医がわかりやすく解説 2
4-1. TNF阻害薬
引用元:https://www.cimzia.jp/ra/blocking.html
TNF阻害薬は、腫瘍壊死因子(TNF)という分子と結合してその作用を抑制する薬です。
TNF阻害薬は他の2種類と比較し、効果が早いという特徴があります。一方で、長期間使用していると効果が弱くなる二時無効が生じることがあります。
生物学的製剤の中でも最も種類が多いのも特徴です。どれも効果に大きな違いはありませんが、投与間隔や費用に違いがあります。
生物学的製剤の中でも最も種類が多いのも特徴です。どれも効果に大きな違いはありませんが、投与間隔や費用に違いがあります。
① エンブレル®︎(エタネルセプト:ETN)
こんな人にオススメ!
- 値段を抑えたい
- 妊娠を考えている
- 高齢、肺の病気を合併などの感染症のリスクがある
- 特徴
- 中和抗体の産生が少なく、安定した効果
- 中和抗体:生物学的製剤に対する抗体のことで、薬の効果が弱くなる原因になる
- 半減期が4日間と最も短いため、感染症のリスクが高い人(高齢者、肺に病気を合併しているなど)にも使いやすい
- 胎盤通過や乳汁移行が少ないため、妊婦さんや授乳中にも安心して使える
- デメリットは、注射の頻度が週1回と多い
- 効果発現
- 早ければ2週間、遅くとも1〜2ヶ月
- 薬の値段
- 月2万円程度(3割負担)
- 副作用
- アレルギー反応や感染症など
- 使い方
- 1本(50mg)を週に1回、皮下注射
参考:エタネルセプトBS「MA」で治療中/治療予定の患者さんへ、自己注射動画はこちら
② ヒュミラ®︎(アダリムマブ:ADA)
こんな人にオススメ!
- 値段を抑えたい
- 特徴
- デメリットは基本MTX併用が必要
- MTXを併用しないと、中和抗体が高率(45%)に認められる
- 効果発現
- 早ければ2週間、遅くとも1〜2ヶ月
- 薬の値段
- 月2万5千円~5万程度(3割負担)
- 副作用
- アレルギー反応や感染症など
- 注射部反応、皮疹
- 抗ヒスタミン薬内服やステロイド外用で対応可能
- 使い方
- 1本(40mg)を2週に1回、皮下注射
- 効果不良時は2本(80mg)に増量可
参考:アダリムマブBSで治療中/治療予定の患者さんへ、自己注射動画はこちら
③ シムジア®︎(セルトリズマブぺゴル:CZP)
こんな人にオススメ!
- 妊娠を考えている
- 早く痛みを軽くしたい
- MTXを併用できない
- 皮下注射の頻度をなるべく少なくしたい
- 特徴
- MTXを併用しなくても十分効果がある
- 胎盤通過や乳汁移行が少ないため、妊婦さんや授乳中にも安心して使える
- デメリットは値段が高い
- 効果発現
- 速い、即日に効果を実感することもある(平均1〜2ヶ月)
- 薬の値段
- 月3.5万程度(3割負担)
- 副作用
- アレルギー反応や感染症など
- 使い方
- 初回、2週間後、4週間後は1回2本(400mg)を皮下注射し、その後は1回1本(200mg)を2週間毎に皮下注射
- 症状が安定したら1回2本(400mg)を4週間毎に延長も可能
参考:シムジアで治療中/治療予定の患者さんへ、自己注射動画はこちら
④ シンポニー®︎(ゴリムマブ:GLM)
こんな人にオススメ!
- 早く痛みを軽くしたい
- 皮下注射の頻度をなるべく少なくしたい
- MTXを併用できない
- 特徴
- MTXを併用しなくても十分効果がある
- 二次無効が生じにくく、安定した効果が持続
- デメリットは値段が高い
- 効果発現
- 速い、即日に効果を実感することもある(平均1〜2ヶ月)
- 薬の値段
- 月3.5〜7万程度(3割負担)
- 副作用
- アレルギー反応や感染症など
- 使い方
- 1回1本(50mg)を4週間毎に皮下注射
- MTX非併用例では効果不良時、2本(100mg)に増量可
参考:シンポニーで治療中/治療予定の患者さんへ
⑤ ナノゾラ®︎(オゾラリズマブ)
こんな人にオススメ!
- 早く痛みを軽くしたい
- 皮下注射の頻度をなるべく少なくしたい
- MTXを併用できない
- 特徴
- MTXを併用しなくても十分効果がある
- 分子量が最も小さく(1/4程度)、組織への移行性が高い
- デメリットは値段が高い
- 効果発現
- 速い、即日に効果を実感することもある(平均1〜2ヶ月)
- 薬の値段
- 月3.5万程度(3割負担)
- 副作用
- アレルギー反応や感染症など
- 使い方
- 1回1本(30mg)を4週間毎に皮下注射
4-2. 抗IL-6抗体
引用元:https://pat.actemra.jp/ra/documents/act_ra_handbook.pdf
抗IL-6抗体は、IL-6(インターロイキン-6)のレセプターに対する薬です。
効果の発現はTNF阻害薬と比較すると遅いですが、メトトレキサートの併用が無くても二次無効が起こりにくく効果が発揮しやすい薬です。
① アクテムラ®︎(トシリズマブ:TCZ)
こんな人にオススメ!
- 値段を抑えたい
- TNF阻害薬が効かない
- MTXを併用できない
- リンパ増殖性疾患の発症後
- 特徴
- MTXを併用しなくても十分効果がある
- 二次無効が生じにくく、安定した効果が持続
- リンパ増殖性疾患発症後の人では最も高い継続率
- リンパ増殖性疾患:MTXなどの薬の使用中に発症する血液の病気
- デメリット
- 効果が現れるのに時間がかかる
- 血液検査でCRPが陰転化するため、感染症の発見が遅れる可能性
- 効果発現
- ゆるやか、早くて1ヶ月、平均して3ヶ月
- 薬の値段
- 月2~4万円程度(3割負担)
- 副作用
- 血球減少(白血球、血小板)、コレステロール増加、間質性肺炎、肝機能異常、消化管穿孔
- 大腸憩室をお持ちの方は腸管穿孔のリスクがあるため、避けた方が良いでしょう
- アレルギー反応や感染症など
- 血球減少(白血球、血小板)、コレステロール増加、間質性肺炎、肝機能異常、消化管穿孔
- 使い方
- 1回1本(162mg)を2週間毎に皮下注射
- 効果不良時は1週間毎に短縮可
- 点滴なら4週間毎
参考:アクテムラで治療中/治療予定の患者さんへ
② ケブサラ®︎(サリルマブ:SAR)
こんな人にオススメ!
- アクテムラが効かなくなった
- TNF阻害薬が効かない
- MTXを併用できない
- 特徴
- アクテムラより中和抗体の出現が少なく、アクテムラが効かなくなった人にも効果がある
- MTXを併用しなくても十分効果がある
- 二次無効が生じにくく、安定した効果が持続
- デメリット
- 効果が現れるのに時間がかかる
- 血液検査でCRPが陰転化するため、感染症の発見が遅れる可能性
- 効果発現
- ゆるやか、早くて1ヶ月、平均して3ヶ月
- 薬の値段
- 月2.5~3万円程度(3割負担)
- 副作用
- 血球減少(白血球、血小板)、コレステロール増加、間質性肺炎、肝機能異常、消化管穿孔
- 大腸憩室をお持ちの方は腸管穿孔のリスクがある、避けた方が良いでしょう
- アレルギー反応や感染症など
- 血球減少(白血球、血小板)、コレステロール増加、間質性肺炎、肝機能異常、消化管穿孔
- 使い方
- 1回1本(200mg)を2週間毎に皮下注射
- 症状改善後は1回150mgに減量可
参考:ケブサラで治療中/治療予定の患者さんへ
4-3. T細胞活性化抑制薬
引用元:https://file.bmshealthcare.jp/bmshealthcare/pdf/patient/ORIV-patient-RA.pdf?date=20230103
T細胞活性化抑制薬は、抗原提示細胞とT細胞間の共刺激シグナルを阻害し、リウマチの発症に関与するT細胞の活性化を抑制する薬です。
効果の発現はTNF阻害薬と比較すると遅いですが、メトトレキサートの併用が無くても二次無効が起こりにくく効果が発揮しやすい薬です。
T細胞活性化抑制薬は自然免疫ではなく獲得免疫を抑えるので、他の生物学的製剤と比べ感染症のリスクが低いとされており、高齢者のリウマチ治療に使われる傾向があります。
① オレンシア®︎(アバタセプト:ABT)
こんな人にオススメ!
- 高齢、肺の病気などの感染症のリスクがある
- TNF阻害薬が効かない
- MTXを併用できない
- 特徴
- MTXを併用しなくても十分効果がある
- 中和抗体の産生が少なく、安定した効果
- 重症感染症のリスクが最も少ないため、高齢者や肺の病気を合併している人にオススメ
- デメリットは効果が現れるのに時間がかかる
- プログラフ®︎(タクロリムス)との併用は安全性は確立されてない
- 効果発現
- ゆるやか、早くて1ヶ月、平均して3ヶ月
- 薬の値段
- 月3.6万円程度(3割負担)
- 副作用
- アレルギー反応や感染症など
- 使い方
- 1回1本(125mg)を1週間毎に皮下注射
- 点滴なら4週間毎に投与
参考:オレンシアで治療中/治療予定の患者さんへ
5. 生物学的製剤の選び方
生物学的製剤の効果はどの薬も大きく変わりません。よって、どの生物学的製剤を選択するかは、注射頻度、費用、即効性などの各薬剤の特徴やメトトレキサートの内服の有無、妊娠の希望などで決めています。
また、一度使用してみて効果が不十分だったり、副作用が出た場合は他の薬剤に変更することも可能です。
主治医の先生とよく相談しながら、自分に合った生物学的製剤を見つけましょう。
生物学的製剤の選び方
- とにかく値段を抑えたい
- エタネルセプトBS、アダリムマブBS、アクテムラ
- 痛みをなるべく早く良くしたい
- シムジア、シンポニー、ナノゾラ
- 注射の頻度を少なくしたい
- シムジア、シンポニー、ナノゾラ
- MTXを併用できない(間質性肺炎や腎機能、肝機能低下の方など)
- アクテムラ、オレンシア、シンポニー(100mg)、ナノゾラ
- 妊活中や妊娠中、授乳中
- エタネルセプトBS、シムジア
- 高齢、肺の病気を合併、重篤な感染症の既往などの感染症のリスクが高い
- オレンシア、エタネルセプトBS
6. Q&A:よくある質問
費用はどのくらいかかりますか?
医療保険の3割負担で月に2~4万円となる場合が多いです。
医療費の負担が減る高額療養費制度が適応される可能性もありますので、現在加入されている健康保険組合やお住まいの市区町村にお問い合わせください。

