今日の108円

1日1冊108円・・・・・・最近そうでもない。

本当はちがうんだ日記 穂村弘 2008年9月25日 集英社

2015-12-02 05:48:58 | 108円
自意識が強すぎて身のこなしがぎくしゃくしている。初対面の人に「オーラがない」と言われてしまう。エスプレッソが苦くて飲めない。主食は菓子パン。そんな冴えない自分の「素敵レベル」を上げたいと切望し続けて、はや数十年。みんなが楽々とクリアしている現実を、自分だけが乗り越えられないのは何故なのか?世界への違和感を異様な笑いを交えて描く、めくるめく穂村ワールド。
裏表紙より。
まず驚いたのは、集英社だったこと。
あ、漫画だけじゃないんだ。
元の本は2005年6月。





   エスプレッソ

 だが、と私は思う。本当は何もかもちがうのである。私は忍者ではない。私しか知らないことだが、実は、今ここにいる私は「私のリハーサル」なのである。これはまだ本番ではない。素敵レベルが低いのはそのためなのだ。芋虫が蝶に変わるように、或る日、私は本当の私になる。そのとき、私の手足は滑らかに動き、声はちゃんと近くから聞こえ、そして、私はエスプレッソの本当の風味を知るだろう。それは芳醇な果実とキャラメルの味わいである。
パピ!ヨン!
まったく関係無い本に手を出したはずなのにギクッとする。

それはともかく、こういう本です。




   愛の暴走族

「ほかには何にも異常はなかったの?」
「うん。ただ金魚のエサだけが缶の八文目くらいまで増えてたの」
なんと、愛のために!・・・・・・とは言えない状況だな((;゜д゜))




   あたまたち

 一枚でも恐ろしい張り紙はある、それをみたのは深夜の古本屋だった。無表情な初老の男性がひとりでやっている店の、殺風景な店内に、唯一の張り紙として「それ」はあった。曰く「女子中学生は立読自由」。
「女性は」なら冗談に見えるけど、
『女子中学生は』と限定していることにある種の狂気が感じられる・・・・・・!
ロリコンだとか制服マニアだとか
そんなチャチなもんじゃあ断じてねえ
もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ・・・・・・






   真の本好き

「ほむらさん」と若者は静かに私の空いたジョッキを指さした。「何か飲みますか」
その優しさが時に人をコロす・・・・・・!







   「この世」の大穴

 なんとなく、入賞しなかったパチンコの玉が、最後に同じ魔所に吸い込まれるように、ひとつの大きな穴に向ってゆくところを想像する。
 何ひとつ知らず、どんな考えも持たず、泣きながら産まれてきた自分の全てが、最後は世界の多様な豊かさという、「この世」の大穴に吸い込まれてゆく。これは錯覚か、妄想か。
 新聞などで、焼身自殺者や、とんでもない事件を起こして全く反省なしに死刑になった者の記事をみて、心を動かされることがある。それは本人の考えや事の経緯や幸不幸などとは別に、たとえそれがより悪い穴であっても、間違った穴であっても、とにかくその魂が最後の大穴にだけは吸い込まれなかったという一点の印象に関わっているようだ。
逝きつく先は皆同じ『大穴』とすると、「他の穴」は輪廻的なものから外れている感?
・・・・・・『大穴』は「ゴール」ではなく「通路の入り口」であって、
「他の穴」は「(無駄に)険しい通路の入り口」なんじゃあないかなぁ。
つまりオレたちの戦いはそれからだ!




   D V D

「次回はDVDについてのコラムをお願いしたいのですが」
『編集長にそう云われ』た結果・・・・・・


 私の車に転校生として一人の「DVD」がやって来たら、どうなるだろう。なんだ、こいつ、ぴかぴかしやがって、とカセットテープたちに苛められたりしないだろうか。そんな中で、ただ一人、テープの少女が「DVD」を庇おうとする。二人は恋に墜ちる。
( <○>_<○>)
駄目だこいつ・・・
早くなんとかしないと・・・




   それ以来、白い杖を持ったひとをみつめてしまう

 ふたりは恋人同士なのか。お互いの顔をみたことがあるのだろうか。わからない。だが、わかることがある。世界の闇の中で、ふたりは本当に「大丈夫」なのだ。
(´;ω;`)ブワッ
不意打ちで「ちょっとどころでなくイイ話」するのやめてよ!




「ホムラ節」・・・・・・うーん、「節」って感じとは違うかなぁ。
三浦しをん氏による『解説』から表現を借りると、、
この本には、面白さとは別の何かが『蠢』いている・・・・・・どこの感染拡大だよ!