建設現場の卵

建設現場からのエッセイ。「建設現場の子守唄」「建設現場の風来坊」に続く《建設現場の玉手箱》現場マンへ応援歌。

ISOが何だって(1)

2010-08-26 23:44:14 | Weblog

  ISO が何だってんだ・・・の巻

建設業界にも訳のわからない単語が、しかもローマ字で看板文字が多くな
ている。
現場内のポスターを見渡せばTQC・KY・VE・5K・5S・・・等あ
るなかでも最近はISOが頻繁に現れるようになって来た。 私も建設
現場にいてISOを少しかじったのであるが、ISOを導入しても恩恵が
あったとはどうも思えないままである。

確かに、工場に於いて製品を創る場合ならば、ISOの威力は認められ
るが、建設業界では実際に必要なのか、建設現場でISOとは一体何を
するのか……少し考えてみましょう。

そもそも建設業のISO(以下9000Sは略)とは、
「建物の質をどのように良くするのか」
「建物は人の手で創り出す」
という技術的な品質検定基準項目が無いまま、ISO認証取得の為に
《マニュ
アル書類作り》に忙殺されている。

建物を創るのに、鉄筋一本の品質よりも書類の一頁を充実させる事に
神経を
使うISOは《顧客のため》という大義名分が品質の第一目的な
のである。

「顧客のニーズに応えるように、品質管理をマニュアル化する…」
この一行がまったく建設現場に、職人さんの腕にマッチしていない。
VEならまだ分かる、設計変更とでも言えばもっと分かる。

ISOを今更説明するまでもないが、品質管理システムの体系が国際的
に通
じるかどうかがISOの根本であるから、建築物自体の機能・品質
《確保》
のテーマはお呼びではない。

柱がどんなに傾いていようと一切問わないで品質認証なのである。
(傾いていたらこのように検査して記録を残します)という書類が整っ
ていれ
ば、第三者の認証機関に合格するのである。

建築屋は建物を創るのが商売なのだから、技術力を示す事なく、世界に
共通
するかの如くマニュアルを作っても、どう活用するのかが見えない。

認証機関による審査を受ける建設業者としては「書面審査」「事前調査」
「実
施調査」へと3段階の審査(あくまで文書審査)をクリアすれば
ISO取得
企業になるのである。

認証取得が出来たら建築現場が一律によくなる…とは定かでない。
認証を取得しても半年毎に維持審査と3年毎の登録更新もある。

維持審査と言っても、品質認証のマニュアル通りに記録を残しているか、
まり、申請した内容の文書管理記録がなされていればISOとして
満足であり
実際の建物にヒビが入っても雨が漏っていても品質保証機関
の審査範疇以外で
あるから、ISOの取り消しにはならない。

柱の鉄筋の設計図数量が少ないまま、工事記録の写真は完備し、
コンクリートを数階(期間にして3ヶ月)打ちながら配筋検査官も
現場監督もミスったマンションに品質が確保出来るのか?


「構造的には余裕のある範囲だから大丈夫」と背広組がTVで言い訳を
言っていたが、余裕があるほどの構造計算書ではプロではない。
景気の悪い時期に赤字覚悟で受注した物件に余裕のある鉄筋量が、
設計図に書いてある筈はない。
(安全率限界の為に挑戦にパソコンを使うのに)。
品質を落として建設業界のイメージを失墜させてもISO品質の認定
機構から、不合格・認定剥奪の話も聞こえて来ない。

強制された品質監理でなく、自社で作った品質マニュアルに沿って品質
監理
をするのだから何ら困難は無くて、取得出来れば何度審査を受け
ようが不合格
になる事は先ず有り得ない。

 《I.S.Oが何だって》 その2へ続く・・

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