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単振子の運動 (4)

2011-09-24 19:26:42 | 暮らし
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                          [2] 双線形化法による近似(3.4節)

最後に双線形化法(いわゆる広田の方法)を適用したときの計算について述べます.以下では,これまでの Δt でなく原著どおりのδを用います(Δt は演算子でΔt とは別物).上図は計算過程における主要な式

(1) 双線形演算子 Dt の定義.
(2) x = g/f のときの dx/dt.
(3) 単振子の運動方程式.
(4) ゲージ不変性のある連立方程式(α=0 にできる).
(5) テイラー展開による遅延演算子の表現.
(6) 双線形差分演算子(中央差分).
(7) 連立方程式のゲージ不変性を保持した差分化.
(8) 通常の中央差分が満たす式.
(9) 得られた差分方程式(a1 + a2 = a, b1 + b2 = b, Δt2 x(t) = (xn+1-2xn+xn-1)/δ2)).

を示していますが,原著をお持ちでない方には説明し切れません(説明するつもりで式番号を付けたのですが・・・).とりあえず最終的に得られた式 (9) を見てください.青色で表示した部分は式を短くするために表現を変えています.つぎのことはすぐに分かります.

(a) 時間に関する対称性から xn+1,xn-1 のテイラー展開の1次の項が相殺される.
(b) 陰解法で解かねばならない.

補足1: (8) では x3 を xn+1xnxn-1 で近似しています.中点法の (xn+1 + xn)3/8 による近似とは異なりますが,δが大きいと大域的な解軌道に厳密解とのずれが目立ってくることは中点法と同様であると思われます (pp.112-113 で保存量について説明されていますが,微分方程式の保存量との関係を理解できていません). また x(t) の多項式でなく-sin x(t) のような式になると別途検討が必要になります.

補足2: 標本点での差分化を考えると奇数次の差分を標本値で表現するために相加平均をとる等の対策が必須です(※).双線形化法では自由度を持たせていますが,中点法のように標本点の間での微分係数を差分化するだけでも簡単に時間軸での対称性を考慮した近似を実現できます.
(5) の Δtf(t) が標本点でない所の値を用いていることに注意. [7] の MP3 のような単純な差分化では Example 2 で例示した問題(spurious pole の発生)が生じます.

補足3: 双線形化法はある種の非線形微分方程式の厳密解を求める強力な技法です.厳密解を探求する姿勢は差分化するときにも現れています.これに対して,[1] に示した近似計算法は汎用性はありますが厳密解の検討には無力です.

[11] 広田の方法 - Wikipedia
  http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BA%83%E7%94%B0%E3%81%AE%E6%96%B9%E6%B3%95
[12] 上野喜三雄,ソリトンが開く新しい数学,ISBN4-00-006504-1.
  http://www.iwanami.co.jp/.BOOKS/00/1/0065040.html
  「高校で学ぶ程度の・・・」ということですが難しい話が好きな人向き.この pp.64-65 に「広田の方法」が紹介されています.

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