弁理士の日々

特許事務所で働く弁理士が、日常を語ります。

ノイズキャンセリングヘッドホン

2007-10-10 20:45:58 | サイエンス・パソコン
私の事務所が入っているビルは、夜6時になるとエアコンが止まってしまいます。今年の夏は特に暑かったので、6時が過ぎるととたんに部屋が蒸してきて、遅くまで執務することは困難でした。
9月になって涼しい日もありました。このような日には、6時が過ぎてエアコンが止まっても、窓を開ければ涼しい風が入っています。

そのような9月のある日、6時が過ぎたら下の道路で道路工事が始まったのです。窓を開けると工事の騒音が飛び込んできます。これでは却って仕事になりません。

ところで最近、私はノイズキャンセリングヘッドホンを入手しました。勝間和代さんの著書「年収10倍アップ勉強法」で薦められていたからです。
そうだ、工事の音がうるさいのなら、このノイズキャンセリングヘッドホンを使いながら仕事をすればいいのではないか。
早速やってみました。
すると、見事に工事の音を遮断してくれます。このヘッドホンを使っていれば、下の道路で道路工事をしていても、部屋の窓を開けて涼しい風を部屋に入れつつ、問題なく執務を続けることができました。

私が持っているノイズキャンセリングヘッドホンは、ソニー製のMDR-NC32NXというタイプです。画像はこちら。首かけ式で、首の後ろ部分に単4電池が入っており、この電池でノイズキャンセリング機構を駆動します。普段は下のジャックにMP3プレーヤーを接続して使っているのですが、騒音防止のためには、ヘッドホンのみを首からかけ、ノイズキャンセリング機構をオンにして使います。

ノイズキャンセリング機構の原理についてはこちらに書かれています。耳に挿入するヘッドホンの外側にマイクが装着されており、このマイクで拾った外部の騒音と逆位相の音をイヤホンから発生し、騒音を消去するというものです。

もちろん、騒音が完全に消えるわけではありません。カタログでは騒音を1/4に低減するとあります。特に低音部分をよくカットするようです。
イヤホンが耳の孔の中に挿入されるタイプであり、イヤホンを挿入するだけでも騒音がある程度遮断され、さらにノイズキャンセリングを音にすることで一層の騒音低減が図られています。
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ビジネスモデル特許の現況

2007-10-08 08:37:22 | 知的財産権
一時期一世を風靡したビジネスモデル特許出願は、最近ではすっかり下火になっていますが、今でもときどき「こんな発明をしたのですが特許出願できるでしょうか」という相談を持ちかけられます。
「特許庁の審査の基準が厳しく、ほとんど特許にならないようです」「今回ご相談の発明では、まず特許化は難しいでしょう」といったような回答をするのですが、特許庁での審査実務の実情を詳しく把握しているわけではありません。
私自身、何件かの案件を審査請求していますが、審査の進捗が遅いのか、いまだに1件もファーストアクションに到っていません。


10月5日、弁理士会主催で「ソフトウェア関連発明の出願及び中間処理」という題名の研修会が開かれました。講師は弁理士の市原正喜先生です。私にとっては実務の状況を知り得るチャンスということで、聴講してきました。


現状において、多くの出願で、「特許法29条1項柱書き違反」という拒絶理由を受けるようです。端的には、審査官に「ありふれた処理をしているだけ」との心証を持たれたら、「これは特許法で保護すべき発明ではない」ということで柱書き違反とされるようです。
「周知技術を適用しただけ」ということであれば、本来であれば「進歩性なし」「新規性なし」として拒絶されるはずですが、ソフトウェア関連発明の分野では、まずは「発明ではない」として拒絶されます。
この場合、いくら「自然法則を利用している」旨の主張とそのための補正をしても効果はなく、「ありふれた処理ではない」と審査官に納得してもらわない限り、新規性・進歩性を評価する土俵にたどり着けないということです。

多くの審査官は、ソフトウェア関連発明の審査では、「対象となる処理に自然法則の利用を求めない以上、少なくとも周知技術に対して当業者の通常の創作能力の発揮に当たるようなものは発明とは認められてい」と考えているらしいのです。


審査の実態では、審査官毎の判断のばらつきが相当に大きいようです。


明細書に添付する図面において、「システム構成図」「機能ブロックズ」「フローチャート」が必須とのことです。
特に「システム構成図」がないと、特許してくれないことが多いとのことでした。システム構成図とは、事例によると、「CPU、メモリ、キーボード、マウス、ディスプレイ」の文字をそれぞれ囲った四角形が、線で結ばれているだけの図です。こんな図が有るかないかで、特許性が左右されるということですか。ちょっと信じられないような審査実務ですね。


拒絶理由対応の説明の中で、審査官が通常主張することの多い内容として、
①人間の精神的活動に基づいて行われる処理である
②ソフトウェアとハードウェア資源とが協働した具体的な手段がない
③単なる人為的な処理に過ぎない、単なる・・・に過ぎない
が挙げられ、それぞれについて対応の方針が示されました。


審査官段階でどのような審査が行われているのか、大雑把に掴むことができました。
さらには、査定不服審判でどのような判断がなされているのか、審決取消訴訟ではどうなのか、といったあたりを知りたいと思います。
続編の研修会を期待しましょう。
コメント (3)
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「かぐや」が月周回軌道へ

2007-10-05 22:00:47 | サイエンス・パソコン
月周回衛星「かぐや」が、10月4日に月周回軌道に無事投入されたことが発表されました。

  提供 JAXA

かぐやが9月14日にH2Aロケットで打ち上げられた様子についてはここで話題にしました。その後、地球の周りを2周し、9月29日に月に向かう軌道に入り、月に到達したということです。

今後、10月9日と10月12日に2つの子衛星を次々に放出し、また月周回軌道を楕円軌道から次第に円軌道に修正し、10月19日に月周回観測フェーズに入る予定になっています。

今後とも、順調に進行し、予定通りの観測が進むことを期待しています。
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「シンプルに使うパソコン術」

2007-10-04 22:21:21 | サイエンス・パソコン
鐸木能光著「シンプルに使うパソコン術 傑作フリーソフトでつくる快適環境」(ブルーバックス)
シンプルに使うパソコン術 (ブル-バックス)
鐸木 能光
講談社

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おもしろそうだったので買ってみました。

第1部「シンプルパソコンのススメ」
第2部「インターネットをより安全・快適・簡単に」

Windowsの余計な表示や操作を極力止め、パソコンの負荷を減らそうということで、私もだいたい実施しています。そもそも使っているのがWindows2000なので、OSそのものがXPやVistaに比較するとシンプルです。
メールソフトも同様で、そもそもHTMLメールを発信できない仕様のソフトを使っています。
spamフィルターについて、私は@niftyが提供するフィルター使っていますが、この本によると、「Gmail(Googleの無料メールサービス)に組み込まれているspamメールフィルターが最強ではないか」と評しています。
@niftyに不満を感じるようになったら、Gmailを検討してみましょう。

ウェブブラウザとして、InternetExplorerではなくFirefoxを薦めています。
私は基本的に、「マイクロソフト製品を使わなくて済むならできるだけ使わない」というこだわりが(以前は)あって、ネスケをずいぶん使い続けていたのですが、どうしようもなくなってInternetExplorerを使い始めてからは、軟弱になって今でも使い続けています。昔の主義に戻るか否か、考えどころです。

第3部~第5部 各種フリーソフトの紹介

紹介されているフリーソフトは、私が使っていないソフトばかりでした。この中から、便利そうなソフトについては試してみようと思います。
ただし、紹介されているのはフリーソフトに限られ、シェアウェアは紹介されていません。やはり、本当に優秀なソフトはシェアウェアになっている場合が多いので、紹介の範囲をシェアウェアまで広げて欲しかったです。

・複数のファイルの名前をルールに沿って一括変換してくれるソフト(Namery)については早速使ってみました。これは便利そうです。

・ファイルをルールに従ってコピーするソフト(copix)が紹介されています。私はデータバックアップに関し、MS-DOSの昔からDOSユーティリティーの一つである「xcopy」を使っています。自分はこの方法を使い続けるにしても、他人から相談を受けたら、copixを紹介することにしましょう。

・終業時にパソコンを消すに際しては、その前に必ずデータのバックアップを行います。バックアップとパソコンシャットダウンを連続でやってくれると助かります。今回、そのような目的のソフトが紹介されていました(Before Power Off)。このソフトは使えそうです。自宅のパソコンで使ってみました。用意したアイコンをダブルクリックすると、まずは所定のバックアップを行い、引き続いてパソコンをシャットダウンしてくれます。せっかちな人には、仕事を切り上げて一刻も早く職場を去りたいということで、重宝すると思います。
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安田(ヤスダ)のサッカーシューズ

2007-10-02 21:57:51 | サッカー
私がサッカーをちょっとだけやっていたのは高校時代、40年ほど前です。ちょうど東京オリンピックの頃ですね。

サッカーといえばスパイクシューズです。
私の通っていた高校から歩いていける距離に、サッカーシューズを専門とする小さな店がありました。たしか「安田」といいました。今の東京都文京区小石川4~5丁目のあたりにありました。
革靴で、既成靴はなく、足の寸法を測り、足型を記録してのあつらえです。3~4千円したと思います。
当時のサッカーシューズというと、革底で、革でできた円盤を何枚か重ねて釘で打ち付けたスパイクが6個ほど取り付けられているものが古典的でした。
私が選んだのは、ゴム製底でゴムスパイクがたくさん付いているやつ、あるいは革底で、アルミ製のスパイクを6個ほど打ち付けたやつ、などでした。

安田は小さな店で、社長の親父と従業員がやっていましたが、他にサッカーシューズを作っているところがなかったようで、関東の高校サッカー選手はみな安田の靴を使っていました。なぜ安田の靴とわかったかというと、その店オリジナルの空色の袋があり、試合にその袋を持ってくるので、安田と判別できるのです。

その後、自分ではサッカーをやらなくなったので、世の中のサッカーシューズがどうなっているのか、あの安田がどうなったのか、まったく知りませんでした。


それが9月29日の日経新聞朝刊で、40年ぶりに安田(ヤスダ)の消息を目にしました。
「ソニー・ミュージック・エンターテインメント(SME)は日本のサッカーシューズの草分けとして知られる「ヤスダ」ブランドの衣料品や靴の販売を始める。「ヤスダ」は製造会社が2002年に自己破産したが、SMEの社内ベンチャーが商標権の使用許可を受けて商品化する。学生時代に「ヤスダ」を愛用した30~40代男性らの需要を見込む。」

そうだったのですか。
あの小さな商店だった安田は、一度は全国区のヤスダとなり、消えていったのですか。そして今回、ブランド名として復活するのですね。

早速ネットで探してみました。YASUSAのサイトがありました。
HISTORYを覗いてみます。そうそう。このページの右上に見えるシューズが、革底と革製スパイクを持った「古典」シューズです。私はこの靴は使いませんでしたが。
HISTORYを追ってみると・・・
「1932年(昭和7年) 東京・小石川にて安田靴店として創業
修行中、ほとんどをサッカーシューズばかり作っていた安田重春は21歳で独立し開業。
顧客は近隣の東京大学や早稲田大学。更に慶応・明治、師範学校(現:筑波大学)などの東京の大学サッカー部の選手たちだった。
丹精込めて職人が作ったスパイクや各校のグランドを回ってのマメな修理など噂は広まり、サッカーシューズと言えば「神戸の佐藤」「長野の大松」「東京の安田」と称されるようになる。」
「1964年(昭和39年) 東京オリンピック
1960年に日本初のゴム底のサッカーシューズを出すなど業績を順調に伸ばし、靴ではサッカーの安田、陸上のオニツカタイガーだけが大会中にサービスステーションの出店を許されるなど、サッカー・スパイク・メーカーとしての地位を不動のものとする。
また、この時期代表コーチとして来日中だった「日本サッカーの父」デッドマール・クラマー氏から、本場ドイツのことなど様々なアドバイスを受ける。」

私の相手をしてくれた社長は、創業社長のようですね。
そして上記1964年が私の現役時代です。「日本初のゴム底のサッカーシューズ」というやつが、私の愛用シューズでした。
「クラマーの指摘を受け、シューズのデザインを変更した」という話も当時聞いた覚えがあります。

MUSEUMはまだ工事中のようですが、私が使った靴が展示されるのか、楽しみです。
さらにプロローグには、安田(ヤスダ)の歴史が熱く語られています。

さらにネット上で見つけた安田の思い出です。
コメント (6)
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