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慰安婦問題の扱いには細心の注意を

2013-01-06 19:58:18 | 歴史・社会
池田信夫氏が、慰安婦問題について最近発言を繰り返しているようです。
安倍首相は「慰安婦」問題を解決せよ2012年12月28日
「慰安婦問題」の確証バイアス2013年01月05日
これは発言を読むと、日本の国益を損ないかねない危険な主張がなされています。

池田氏の発言の中には、佐藤優氏や東郷和彦氏の論説に対する反論が見あたりません。まずは、佐藤氏と東郷氏の論説に目を通し、反論があればぜひして欲しいものです。

佐藤優氏は、「佐藤優直伝インテリジェンスの教室 読書ノート」2012年12月12日号において、
『今回は、12月16日の衆議院議員選挙(総選挙)後、日本が直面する焦眉の外交問題で、かつ日本の政治エリートが過小評価している問題について掘り下げた。インテリジェンス・レポートでは、イスラエル・パレスチナ関係について、読書ノートでは慰安婦問題を取り上げた。この2つの問題のハンドリングが自民党、「日本維新の会」にとっての超難題であるのだが、当事者はそのことに気づいていないようだ。民主党は選挙で頭がいっぱいで外交について考える余裕すらない。実に情けなく、かつ危険な状態が続いている。』
上記公開のページでは、内容を閲読することができません。有料のメルマガでは以下のように紹介されています。
『●東郷和彦
「私たちはどのような日韓関係を残したいのか
『普遍的人権』問題としての慰安婦制度」『世界』(岩波書店)2012年12月号
慰安婦問題が、今後の日本外交に与える意味を日本の政治家、有識者、マスメディアはほとんど理解していない。外務省の条約局長、欧州局長、駐オランダ大使を歴任し、オランダ慰安婦問題を直接扱った東郷和彦氏(京都産業大学客員教授)のこの論考は、対米外交における慰安婦問題の重要性をわかりやすく説明している。』

私は、『世界』10月号を古本で購入し、「私たちはどのような日韓関係を残したいのか」を読みました。池田信夫氏も読むべきです。

日本の対応次第で、日本が世界から囂々と非難される危険があります。3つの発火点が考えられます。

第1に、安倍政権と米国世論との関係です。2007年には、安倍首相がぶらさがり懇談で「強制性はなかった」と発言したことから、米国の世論とマスコミのすべてを敵に回すことになりました。今回、安倍総理は十分に肝に銘じているとは思いますが。
ただし5日の報道によると、菅官房長官は4日、内閣記者会のインタビューに応じ、政府の歴史認識をめぐって、未来志向を強調した新たな「安倍談話」を出すことを検討する考えを表明したそうです。くれぐれも、世界の潮流と逆向きの談話にならないよう、細心の注意を払ってください。

第2に、安倍政権と韓国政府との関係です。韓国政権は、反日と慰安婦問題を掲げない限り国民の支持が得られない構造となっています。韓国最高裁判決が出ていることも無視できません。野田政権は李明博大統領への対応を誤りましたが、安倍政権はうまく対応できるでしょうか。

第3に、政府以外の動きも重要です。2007年に日本の超党派国会議員らが、米紙に全面広告を出したことが、最終的にアメリカを敵に回す決め手になりました。今回の池田信夫氏の連続する発言は、同じ過ちにいたる危険性を秘めています。

なお、この問題に対する私の意見については、「世界」誌での東郷和彦氏の見解と同じ方向です。下記の記事に繰り返し記載してきましたので、ここでは記しません。

従軍慰安婦問題 2007-04-15
河野談話 2007-04-17
慰安婦問題とアメリカ 2007-04-19
従軍慰安婦問題 2007-06-21
従軍慰安婦問題と韓国 2011-12-23
従軍慰安婦問題~2007年閣議決定とは 2012-08-27
従軍慰安婦~質問主意書と答弁書 2012-09-03

と考えていたら、『日本軍「慰安婦」 強制を否定/安倍首相が賛同/米紙に意見広告 4閣僚も/国内外の批判は必至/昨年11月 』しんぶん赤旗2013年01月06日という記事が飛び込んできました。
『米国の新聞に昨年11月に掲載された日本軍「慰安婦」問題を否定する意見広告に、安倍晋三首相と4人の閣僚(別項)が、賛同者として名前を連ねていることがわかりました。安倍首相は、「慰安婦」問題で政府として「おわびと反省」を表明した河野官房長官談話(1993年)を見直すことを示唆しており、そのこととあわせて内外から強い批判が起こることは避けられません。
・・・
意見広告は、米ニュージャージー州地元紙「スターレッジャー」2012年11月4日付に掲載されました。「女性がその意思に反して日本軍に売春を強要されていたとする歴史的文書は…発見されていない」「(「慰安婦」は)『性的奴隷』ではない。彼女らは当時世界中のどこにでもある公娼制度の下で働いていた」などとのべ、強制性と日本政府の責任を否定する主張をしています。』
もしこれが本当なら、安倍政権は日米関係と日韓関係において大変な激震に見舞われることになるでしょう。
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