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日銀総裁人事が日本の今後を決めるのか

2013-02-18 22:02:16 | 歴史・社会
日銀総裁人事を巡る駆け引きがいよいよ熾烈に! 海外メディアの配信記事から読み解く最終シナリオはこうだ!(2013年02月16日(土) 歳川 隆雄)で、歳川氏は以下の発言をしています。
日銀総裁として下馬評に上っている7人の有力候補---①武藤元財務事務次官(現大和総研理事長・1966年旧大蔵省入省)②岩田一政日本経済研究センター理事長(元日銀副総裁・経企庁出身)③岩田規久男学習院大学教授④伊藤隆敏東京大学教授(元副財務官)⑤竹中平蔵慶応大学教授(元総務相)⑥黒田東彦アジア開発銀行総裁(元財務官・67年)⑦渡辺博史元財務官(現国際協力銀行副総裁・72年)---の中で、筆者の見立てとして「本命:武藤、対抗:岩田(一)、大穴:岩田(規)」と記していました。
歳川氏は、安倍首相の精神的支柱であり後見人役でもある中原伸之元日銀審議委員・元金融庁顧問と勝栄二郎前財務事務次官からそれぞれ長時間話を聴き、そのなかで、中原氏が「武藤総裁だけは絶対に認められない」と言ったのに対し、勝氏は「武藤氏にしか日銀統治はできない」と言ったのだそうです。その他のインタビュー結果を踏まえ、上記の見立てをしていました。
2月15日午後、歳川氏のもとに某株式市場関係者から電話が入りました。「ロイター通信が午後1時過ぎ、『政府筋によると、日銀総裁人事は武藤敏郎元財務事務次官を軸に最終調整に入った』と配信、株価は直ちに250円安になりました」---。(以上)

このとき確かに、瞬時の円高推移と株価下落があり、ニュースでも「武藤氏日銀総裁説が流れた結果として円高に向かった」との紹介がありました。
政府が、武藤氏を軸に最終調整に入っているのか否かは定かではありません。しかし、マーケットが武藤氏の日銀総裁就任を拒否していることはこれで明らかとなりました。

政府の主要関係者は日銀総裁選びについて、「出身母体によらず、本人の識見、実力によって選択する」と発言しており、これはこれで一見正しそうです。
一方、たとえ本人の識見、実力が優れていたとしても、出身母体からの呪縛に縛られていたらその実力を発揮することができません。

財務省は、為替政策を独占実施する権限を有しているそうです。そのための外為特会(特別会計)を持っています。それが財務省の利権となっており、財務官僚が銀行に天下りするための権益の源でもあります。財務省がどうやって為替を管理するかというと、要するに“為替介入”です。
ところが、高橋洋一氏が常に述べているように、変動相場制のもとでは為替介入しても効果はありません。金融政策(金融緩和)のみが為替に影響を与えます。しかし、そのような事実を認めてしまうと財務省の為替権益の影が薄れてしまうので、財務省としては認めたくありません。
もし財務省出身者が日銀総裁になると、財務省の上記利権に基づく呪縛が存在するため、日本経済復活のために必要と思われる金融政策を十分に実行しない可能性があるというのです。

日銀出身者はどうでしょうか。
日銀はこれまで、デフレ脱却のためにも円高是正のためにも、金融政策として量的緩和の実行を行わずに来ました。もしも日銀出身者が総裁となり、先日コミットした「インフレターゲット2%」実現に向けて大きく舵を切るとしたら、これまでの日銀の政策を否定する必要があります。そのような政策を実行する勇気をもった日銀出身者は果たしているのか、という問題があります。
武藤氏と同時期に日銀副総裁を務めた岩田一政氏であれば、06年に日銀がゼロ金利を解除し、07年に一段の利上げを決めた際、「物価上昇率の先行きに不透明感が強い」として、政策委員の中でただ一人、反対票を投じた人ですから、日銀の呪縛に拘束されないことになります。

民主党政権時に70円台であったドル円が現在は93円まで円安となり、7000円台だった日経平均株価が11000円を超えました。しかし、実際にはまだ具体的な政策はなされていません。インフレターゲット2%を宣言しただけです。具体的な政策については、日銀と政府の共同声明では「ゼロ回答」に等しいです。それにもかかわらず円安と株高が進行しているのは、単なる「期待」に基づいたものです。従って、「期待」が「失望」に変化すれば、あっという間にドル円は円高に振れ、株価は暴落することでしょう。
そうとしたら、日銀総裁人事は、まさに期待と失望のどちらをも生み出すことが可能です。武藤総裁が“失望”を生むのだとしたら、円高と株の暴落は十分にあり得るシナリオでしょう。
しかし、先日のロイター信と歳川氏の見立てではありませんが、武藤総裁は十分にありそうです。

一方で歳川氏は、上記記事の中で逆の予測もしています。
『政府・政権党の重要人事では、しばしば情報をリークして潰すという手法が採られる。』ということで、武藤総裁確実を伝えるロイター信も武藤氏就任を潰すためのリークではないかと。そして、武藤氏就任を後押ししているはずの麻生財務相の顔を立てるため、麻生財務相が『政府代表としてソウルでの朴槿恵韓国大統領就任式に出席する25日に「岩田(一)総裁・渡辺副総裁・中曽副総裁」の政府案を国会に提示しもらう・・・。「不在中にやられちゃったよ」というエクスキューズをするということだ。』
というのですが、果たしてどうなるのでしょうか。

1月の財務大臣会見で、総裁の資質を問われた麻生太郎財務相は「組織をあまり動かしたことのない人がやるのは危ない感じがする」と述べていることから、学者が選ばれる線は薄い、との見通しがあります。
一方、週刊現代の『本誌独占インタビューノーベル経済学者は指摘するポール・クルーグマン「1ドル100円超え、アベよ、これでいいのだ」2013年02月14日(木)』によると、クルーグマン氏は、アベノミクスの方向を絶賛した上で、日銀総裁人事について以下のように述べています。
『私はいま、あることを期待している。日銀がイギリスの中央銀行がやったのと同じことをする、つまり、イギリスがカナダ人を中央銀行の次期総裁として登用するように、日本も外国人を選択してみたらどうかということだ。
日本がもし外圧なくしてそれを実行したら、市場のマインドセットはガラリと変わり、日本経済に本当の変化が起きるだろう。
たとえ、外国人にできないとしても、日銀総裁には学者を選ぶのがいいだろう。いままでの世界経済の歴史からいうと、政策に劇的な変化をもたらしたい場合は、中央銀行総裁に学者を使うのがいいと考えられるからだ。ちなみにいえば、米国のFRB(連邦準備制度理事会)議長であるバーナンキもイングランド銀行現総裁のマーヴィン・キングも学者である。』
外国人は無理として、学者を推薦しています。

その他参考にした文献
高橋洋一氏(2013年01月28日2013年02月04日2013年02月11日2013年02月18日
長谷川幸洋氏(2013年02月07日

ps 2.23. Financial Times求む!金融政策の力を信じる日銀総裁(2013.02.22(金))
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