弁理士の日々

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自民党安倍総裁の金融政策

2012-11-23 10:29:17 | 歴史・社会
新聞は「安倍相場」と呼んでいます。野党である自民党の安倍総裁が「金融緩和」と叫んだだけでドル円は82円越え、円安が進んでいます。日経平均も9400円に届こうかというすさまじさです。財務省が行う為替介入は、膨大な額の税金を投入して実行し、その効果もあっという間に消滅してしまうのですが、今回は1円もお金を使わずに円安と株高が実現しているわけですから、びっくりです。
これに対し、新聞でもネットのエコノミスト発言でも、安倍総裁の金融緩和政策は極端すぎると批判が相次いでいます。しかし、為替相場と株式相場を通じて、市場が安倍発言を好感していることが明らかなわけです。安倍総裁も市場の後押しを受けて自信を深めています。

世の中では、安倍総裁がなんだか突然に金融緩和を主張し始めたように受け取られていますが、私には意外感がありません。ずいぶん前から、安倍晋三氏が金融政策については最近の発言のような意見を持っていることを知っていたからです。
いつごろだったか忘れてしまったのですが、BSフジのプライムニュースに安倍氏が登場し、そこでの発言が、「金融緩和によってデフレ脱却と円高阻止を図るべき」という意見だったからです。番組を見たとき私は、「安倍さんは高橋洋一理論を取り入れたんだ」と思いました。
今回探した結果、以下の放送が見つかりました。私が見たのがこの番組だったのかどうかやや自信がないのですが・・・。
BSフジ プライムニュース 2011年10月18日
【テーマ】『安倍晋三元首相に問う 野田政権の内政と外交』
【ゲスト】安倍晋三 元内閣総理大臣
『安倍晋三元首相に問う 復興増税をどう考える?
安倍元首相「世界中で、災害の復興の為に増税をしたという国はないんですよ。・・・・・・・今回の震災については長期の国債を出して、むしろデフレから脱却するためにそれを活用する。つまり日本銀行に直受け、これはいろいろな議論があることなのですが、市場で日本銀行に全部買いオペレーションで買ってもらう。そうなれば新たなマネーを日銀が供給しますから、デフレ下であって円高ですからこの状況であればこれは使えるんだろうと私は思います」
安倍晋三元首相に問う 復興債の日銀引受け
安倍元首相「私も最初、自民党の山本幸三さんが強く主張していました、何となくこれは胡散くさいのではないかと、しかも日本銀行が買うというのは都合が良すぎるじゃないですか。そう思ってきたんですが、それはやはり国債の金利の上昇、あるいは円の暴落につながるのではないかと思ってきたのですが、ただ、必ずしもファクトがそうではないんです。・・・・・現在、議員連盟を作って、これは法案化して。基本的にはこうした政策手段については日本銀行が独自に決めなければいけないんですが、財政法5条の中に額を決めてその額の範囲内では国債を買えるということになっていますから、こういう緊急の時は、ある程度政府と日銀が政策アコードを結んで、やっていくことも大切ではないかと思います」 』

私は今年4月に『高橋洋一著「この経済政策が日本を殺す 日銀と財務省の罠」』を記事としてアップしました。以下の本です。
この経済政策が日本を殺す 日銀と財務省の罠 (扶桑社新書)
高橋洋一
扶桑社
高橋洋一氏のこの本をめくってみたら、安倍氏の昨年10月の上記発言の意味がよくわかりました。この本の「はじめに」において、震災復興財源をどうするかという発言があります。
「復興国債を新たに発行して、財政法5条ただし書きにある日銀直接引受を行えばいい。これについて、今でも政治家は財政法で禁止されているという。しかし、後で詳しく述べるが、実は日銀直接引受は毎年行われている。・・・
3月23日の衆議院財政金融委員会で、山本幸三衆議院議員は、この点を野田財務相、白川方明日銀総裁に質した。」
そして、現時点で安倍自民党総裁が掲げている金融政策も、この本の中で高橋氏が主張している政策とほとんど一致しています。
「変動相場制のもとでは、財政出動は効かない。日銀による金融緩和が必要である」(マンデル=フレミング理論)(44ページ)
『金融政策はわかりにくい。たしかに、金融政策によって実質金利が下がり投資が盛んになるには、6ヶ月以上時間が必要だ。わかるころには6ヶ月前に実施された金融政策なんて忘れてしまうだろう。
しかし、今の円高株安デフレでは、金融政策の効果はわかりやすい。というのは、為替相場は、金融政策の変更にすぐに反応し、それが株式市場にも伝わるからだ。』(51ページ)

ところで、今回の安倍相場と同じような状況はほんの半年前にもありました。日銀の白川総裁が「インフレのゴールを1%とする」と発言し、10兆円の追加緩和を発表しただけで、ドル円は83円まで円安となり、日経平均は1万円を超えました。私はこの現象を「白川相場」と呼ぶことにします。(日銀の10兆円金融緩和で為替レートは?民間事故調報告書・日銀と円安の進行
ただし白川相場は長続きせず、1ヶ月後にはしぼんでしまいました。

マスコミやエコノミストは、現在の安倍相場を批判するのであれば、半年前の白川相場が実は何だったのか、そしてその後も継続して追加緩和を行っているのに、なぜ市場は反応しなくなったのか、ということをきちっと検証してほしいです。
私が今の時点で疑っているのは、日銀は10兆円、さらに10兆円と追加緩和を重ねてきたことになっていますが、実態としてのマネーサプライは増えていないのではないか、ということです。一時的に増えても、短期国債しか購入していないからすぐに減ってしまうとか・・・。
高橋氏の上記著書によると、「もし1ドル=100円程度にしたければ、FRBのバランスシートが一定との前提の下で、日銀は30~40兆円の量的緩和を行えばいいことが分かる。」(52ページ)とあります。日銀がこの半年で行ってきた量的緩和が、実質的にどの程度のものであったのか、ということです。

ps 2013.2.23. アベノミクスで脚光浴びるリフレ派、日銀総裁人事で影響力も(bloomberg 2013/2/22 11:51)2ページでBSフジ プライムニュース 2011年10月18日を紹介しています。

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