弁理士の日々

特許事務所で働く弁理士が、日常を語ります。

分割出願と国内優先出願

2007-03-15 22:08:33 | 知的財産権
緊急で特許の分割出願を行うことになりました。出願期限は翌日です。
親出願は国内優先権主張出願です。
出願人から依頼書がファックスで届きます。分割出願の親出願番号は記載されていますが、国内優先権の先の出願番号が記載されていません。そこで出願人に連絡し、願書に国内優先権の表示を入れる旨伝えました。
程なくして出願人の特許担当の方から電話が入ります。
「特許法44条4項では、『41条4項の規定により提出しなければならないものは、新たな出願と同時に提出されたものとみなす』とありますが、願書に記載しなければならないのですか?」という質問でした。
いわれてみるとたしかにその通りです。41条4項は平成11年法改正で新設された規定で、ユーザーフレンドリーのため、加えられたものです。

この規定ができるまでは、分割出願の出願時に国内優先権主張をし忘れていたら、救済の余地がなくアウトでした。われわれはそれが頭の中に刻み込まれていますから、「忘れたら大変」と反応してしまいます。
これからも、やはり安心のため、分割出願の願書に国内優先権の表示は入れることになるでしょう。

また、たとえ分割出願の願書に国内優先権の表示が省略できるといっても、国内優先権を効かせた出願であることには変わりありません。ですから、出願人の管理システムにおいても、その分割出願が国内優先権を伴っていることをきちんと記録しておくべきでしょう。その意味では、私の指摘も不要ではなかったと思っています。
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