弁理士の日々

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厚労省統計不正問題

2019-01-26 15:03:06 | 歴史・社会
最近、時事問題に関しては、新聞の斜め読みとテレビのニュース番組を見るぐらいで、すっかり時事問題にうとくなっています。
その中でも、厚生労働省の統計不正問題がよくわかりません。

《わからない点》
1.500人以上の事業所について、抽出調査ではなく全数調査と定めているのは、法律か、否か。
法律でないとしたら、どの規定でどのように定められているのか。

2.なぜ抽出調査では不可であり、全数調査を必須としているのか。

3.厚労省が、(上記全数必須との規定を無視して)抽出調査を実施するに当たり、抽出条件は妥当な条件だったのか、否か。1/3抽出調査であっても、抽出条件さえ適切に決めていれば、実用上問題のない精度で調査が可能なはずである。

4.「最近になってから、『×3』の補正を行うようになって、ますますけしからん。」との議論があるが、1/3抽出調査を行っているのであるから、500人未満を含めた全平均を出すに際して加重平均を行うのであれば、「×3」を行うべきであり、むしろ「×3」補正を行っていなかった時期の方が大幅な数値ずれを起こしていたのではないか。

概略、以上のような疑問が解けません。
「法律違反か否か」「隠蔽していたか否か」はさておき、「統計数値の誤りで実害があったか否か」との観点で考えると、抽出調査であっても、統計処理さえしっかりしていれば十分な精度の数値が出せたはずです。

特に「×3」問題がよくわかりません。

《「×3」問題》
以下のような事例で考えます。

500人以上の事業所(大事業所)が600社(従業員合計60万人)、500人未満の事業所(小事業所)が1万社(100万人)ある。
大事業所600社の1/3である200社(20万人)を抽出して従業員の平均年収を調査したら500万円であった。抽出条件は十分に吟味しているので、全数調査との差異は小さいと考えられる。
小事業所については別の調査で400万円であることがわかっている。
大事業所と小事業所の全体の平均年収を計算する。当然、人数を考慮した加重平均となる。

平均年収=(大事業所平均年収×大事業所抽出人数×3+小事業所平均年収×小事業所人数)/(大事業所抽出人数×3+小事業所人数)
=(500万円×20万人×3+400万円×100万人)/(20万人×3+100万人)
=437.5万円

もし、分母・分子で「×3」をしなかったらどうなるか。
平均年収=(大事業所平均年収×大事業所抽出人数+小事業所平均年収×小事業所人数)/(大事業所抽出人数+小事業所人数)
=(500万円×20万人+400万円×100万人)/(20万人+100万人)
=416.7万円

「×3」補正を行わなかった結果として、平均年収が大幅に実態より低い値となってしまいます。

騒がれている「×3」問題が、本当はどのようなことになっているのか、それがわからずにいます。
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