弁理士の日々

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審査ハンドブック

2007-03-29 21:14:31 | 知的財産権
法改正に伴う特許審査基準の改訂に関し、パブリックコメントで意見した内容のうち、下記事項については反映されなかったと書きました

2.「新審査基準において、拒絶理由通知の中で請求項毎の発明の特別な技術的特徴の有無を明示するよう、定めて欲しい。」
4.「発明の特別な技術的特徴の有無の判断に対する反論をどのように展開することが適切であり、審査官はその反論に対してアクションの中でどのように対応するのか、という点について、新審査基準のの中に明記して欲しい。」

ところが、本日、特許・実用新案 審査ハンドブックの改訂が発表になっていました。その中の
63 拒絶理由通知
http://www.jpo.go.jp/shiryou/kijun/kijun2/pdf/handbook_shinsa/63.pdf
において、63.09に「第17条の2第4項の規定が適用される出願についての起案の留意点」というセクションが新設され、そこに記載されていました。

--引用開始--
1.「第Ⅰ部第2章 発明の単一性の要件」の4.2に従って審査対象を決定した場合
 特許請求の範囲の最初に記載された発明が特別な技術的特徴を有しておらず、「第Ⅰ部第2章 発明の単一性の要件」4.2の[審査対象の決定手順]に従って審査対象を決定した場合には、最初の拒絶理由通知の起案において、特別な技術的特徴が発見されたか否かに応じて、以下のとおり発明を特定して補正の示唆を行う。

(1)[審査対象の決定手順]①~③により、特別な技術的特徴が発見された場合
 最初の拒絶理由通知において、特別な技術的特徴を最初に発見した請求項に係る発明を示して補正の示唆を行う。
[記載例]<補正の示唆>
 請求項4に係る発明が特別な技術的特徴を有しているため、特許請求の範囲を補正する際には、特許法第17条の2第4項の要件違反とならないよう、当該請求項4に係る発明の発明特定事項をすべて含む発明への補正を検討されたい。

(2)[審査対象の決定手順]①~③により、特別な技術的特徴が発見されなかった場合
 最初の拒絶理由通知において、特別な技術的特徴の有無を最後に判断した請求項に係る発明を示して補正の示唆を行う。
[記載例]<補正の示唆>
 請求項4に係る発明が特別な技術的特徴を有していないため、特許請求の範囲を補正する際には、特許法第17条の2第4項の要件違反とならないよう、当該請求項4に係る発明の発明特定事項をすべて含み、かつ特別な技術的特徴を有する発明への補正を検討されたい。
--引用終わり--

少なくとも、拒絶理由通知を発した審査官が、補正前のどの請求項に特別な技術的特徴を見いだしたのかが、拒絶理由通知でわかるようになるということです。

審査官のその判定に従うのであればその補正の示唆に基づいて補正することになります。
その判定に納得しない場合はどうするか、
① 自分の考えに従って補正を行い、意見書に自分の考えを開陳する。
② 審査官の考えに従って補正を行う。必要があれば分割出願で、特別な技術的特徴が認められなかった請求項を減縮する発明の権利化を図る。
のいずれかになりますね。
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