弁理士の日々

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弁理士試験免除科目

2007-11-01 22:23:51 | 弁理士
今年の弁理士法改正(来年4月に施行)によって、弁理士試験の免除が拡大されることになりました。以前こちらに書いたとおり、概略以下のような内容です。

《弁理士試験》
1.短答式試験に合格すると、その年の論文試験に不合格でも、翌年及び翌々年は短答式試験を受けずに論文試験を受けることができる(弁理士法11条1項1号)。
2.論文必須科目(工業所有権法)で相当の成績を得た者は、(選択科目が不合格でも)翌年及び翌々年は論文必須科目試験を免除される(同2号)。
3.論文選択科目(技術・法律科目)で相当の成績を得た者は、(必須科目が不合格でも)その後の選択科目試験を(ずっと)免除される(同3号)。
4.大学院で工業所有権に関する所定の科目の単位を修得した者は、2年間は短答式試験の工業所有権法及び条約の試験を免除される(同4号)。


上記2.で、「論文試験の工業所有権法科目」で合格した者は、他の科目が不合格でも、翌年、翌々年に合格した科目の試験が免除されます。

ところで、「工業所有権科目」とは、「特・実・意・商」の全科目がひとまとまりなのか、それとも特実、意、商のそれぞれが別の科目なのかが不明確でした。
もし全科目ひとまとまりだったら、特実、商で合格点に達しても、意匠法試験が合格レベルに達していなかったら全体として不合格であり、翌年に全体を受験しなければなりません。
しかし、特実、意、商がそれぞれ別科目なら、特実、商で合格点、意匠法のみ不合格点だった場合、翌年は意匠法のみを受験すればいいことになります。

本日、特許庁から「弁理士法施行規則の一部を改正する省令案」に対する意見募集についてとの案内があり、その中で弁理士法施行規則の改正案が提示されています。
この改正案により、上記の疑問が解けました。
以下に、改正弁理士法10条2項1号と、今回発表になった弁理士法施行規則3条の2各号を示します。
これらから読み取れることは、
特実、意匠、商標の各科目に分けて試験が行われるということで、弁理士法11条2号で規定する免除は、これら各科目ごとに判断されるということになるのでしょう。

つまり、特実、商で合格点、意匠法のみ不合格点だった場合、翌年は意匠法のみを受験すればいいことになります。

弁理士法(平成20年4月施行)
(試験の内容)
第十条2項  論文式による試験は、短答式による試験に合格した者につき、次に掲げる科目について行う。
一号  工業所有権に関する法令

(試験の免除)
第十一条 次の各号のいずれかに該当する者に対しては、その申請により、それぞれ当該各号に掲げる試験を免除する。
二号 論文式による試験において、前条第二項第一号に掲げる科目について「審議会」が相当と認める成績を得た者 当該論文式による試験に係る合格発表の日から起算して二年を経過する日までに当該科目について行う論文式による試験

弁理士法施行規則
(試験科目の内容等)
第三条の二 弁理士試験の科目のうち、法第十条第二項第一号及び同条第三項の科目については、次の各号に掲げる法令に分けて行う。
一号 特許及び実用新案に関する法令
二号 意匠に関する法令
三号 商標に関する法令


ところで、弁理士法10条2項4号では、
四号 学校教育法に基づく大学院の課程を修了した者であって、当該大学院において経済産業省令で定める工業所有権に関する科目の単位を修得したもの 当該課程を修了した日から起算して二年を経過する日までに前条第一項第一号及び第二号に掲げる科目について行う短答式による試験

と規定していますので、大学院で工業所有権法を履修して短答試験が免除される場合も、特実、意匠、商標それぞれ別々に免除されるということですね。

追伸:
その後特許庁からアナウンスがあり、上記私の推論とは逆の結論が提示されました。その点について、私の12月24日の記事にコメントしましたのでご参照ください。
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2 コメント

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科目合格 (tsk)
2008-02-21 01:06:13
LECのメールマガジンの中で
「新試験制度あれこれ―混乱した科目合格」
としてこの話題を取り扱っていました。
結論として、LECが昨年(2007年)の夏ごろに特許庁に
問い合わせたところ、
当然のように「必須科目」と「選択科目」について
免除を行うという返答が返ってきたそうです。
即ち、特実・意・商はひとまとめだということです。

他の受験機関でも、一度「科目合格がある」という
特集をしたものの、翌月お詫びが出たことがあったようです。
詳しくはわかりませんが、読者の方の中にはご存知の方も
いらっしゃるのではないでしょうか。
返信する
科目合格 (ボンゴレ)
2008-02-21 13:11:30
tskさん、コメントありがとうございます。

おっしゃるとおりですね。
私も、12月に特許庁から出された「弁理士試験のご案内」に掲載されたパンフレットで、そのことを知りました。このブログの下記の記事に記載したとおりです。
http://blog.goo.ne.jp/bongore789/d/20071224
11月1日のこの記事にも、「追伸」でコメントしておくことにします。
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