弁理士の日々

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NHK日曜討論 浜田宏一vs野口悠紀雄

2013-01-24 21:11:00 | 歴史・社会
1月20日のNHK「日曜討論」は安倍政権の経済政策がテーマであり、出演者は政府代表として甘利明経財相、財界から日本商工会議所会頭で東芝相談役の岡村正氏、学者として浜田宏一氏と野口悠紀雄氏が出演していました。
私は途中からみたことと、テーマが経済であって私の専門外のため、議論がはじまると何が正しいのかちんぷんかんぷんです。
一点だけ、浜田教授はご年齢のためか、しゃべりに歯切れがなかったことは間違いありません。

この番組での議論について、植草一秀氏は『知られざる真実』(2013年1月20日 (日))で以下のように発言されていました。
野口悠紀雄教授に論破された「ガルダス」浜田教授
『浜田宏一氏は私も学生時代に金融論の講義を受けた者の一人だが、現時点では主張の説得力を完全に失ってしまっている。
自説の主張を繰り返すだけで、批判に対する明確な反論を示すことができていない。
・・・・・
しかし、過去に日銀が量的金融緩和政策を発動した際にほとんど効果が得られなかった点についての説得力ある説明をまったく示すことができなかった。
・・・・・
マネーを生み出す源になる資金という意味で、これを「ハイパワードマネー」や「ベースマネー」などと呼ぶが、この増加はマネーサプライを増加させるための「必要条件」でしかない。
実際にマネーサプライが増加するには、このように供給されたハイパワードマネー、ベースマネーを金融機関が活用して、市中に対する与信行動を積極化させることが必要なのである。
・・・・・
日本における過去の量的金融緩和局面の現実とは、ベースマネーの供給は増やしたが、マネーサプライの増大は実現しなかったというものである。
野口悠紀雄氏はこの点を明確に説明した。
しかし、浜田氏はこの点に対する反論を示せなかった。
浜田宏一氏は私も学生時代に金融論の講義を受けた者の一人だが、現時点では主張の説得力を完全に失ってしまっている。
自説の主張を繰り返すだけで、批判に対する明確な反論を示すことができていない。』

これは手厳しいです。
とびっくりしていたら、植草氏と真反対の評価が現れました。

浜田宏一教授が圧勝した野口悠紀夫氏との議論!アベノミクス実現で「1ドル=120円、日経平均1万6000円」も見えてくる
2013年01月21日(月) 高橋 洋一
『金融政策に効果について、野口氏は「2001-2006年の量的緩和政策が行われたが、経済には何の影響も及ぼさなかった。金融政策は効果がない。というのは、貸出需要がでないから」と主張した。
量的緩和に官邸サイドで多少関与した者としては野口氏の言い分は奇妙だ。これで予想通り金融緩和で円安にしてGDPを押し上げたことで、過去10年間で一番高い名目GDP、一番高い株価、一番低い失業率をたたき出したので、効果がないはずない。
浜田氏は、中央銀行の独立性を目標の独立性と手段の独立性に分けて説明していたが、野口氏は両者をひとくくりで説明していた。』

高橋洋一氏は、言わずと知れたリフレ派の論客です。
それに対して、調べてみたら、植草一秀氏は「金融緩和は効かない」という所論の持ち主なのですね。
結局、NHKの番組における浜田浩一氏と野口悠紀雄氏の論争を評価するに際し、リフレ派と反リフレ派の論客がそれぞれ「自説を主張する論者が論争に勝った」と評価しているのです。

今までも、リフレ派と反リフレ派は、それぞれが自説を有利に導くデータを指し示して自説の正しさを強調していますが、われわれ素人にはどちらの説が正しいのか皆目見当が付きません。両者が論争してくれればいいと思っておりまして、その意味では日曜のNHK番組はそのような論争が組まれたわけですが、結局は闇の中に終わったのでした。
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2 コメント

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Unknown (Unknown)
2013-02-14 19:17:40
初めまして、

小生は高橋氏、浜田教授の論に与します。
野口氏の主張は、肝心な部分の説明が杜撰で荒っぽく(意図的に自分の主張の矛盾を突かれないように、そうしてるとしか想えない)、説得力を感じません。
返信する
学者じゃない一般人の理屈 (時代は変わる)
2013-02-24 05:54:38
私は預言者じゃないから未来の事はわからないが、当たり前の事だが、今後の事は結果が示すはず


今、安部のやろうとしている事は結局止むに止まれずしようとしている事ではないのか?

このままのデフレ状態で日本が良い訳でもなく、かと言って安部のやろうとしている政策がそんなに良い事なら、とっくに今までの政権がしていたであろう

それに何かと日銀が悪いとか言うのはもう止めた方が良いんじゃないのかな

仮にも政治家にしても日銀にしても、そして財務省にしても、みな一般人とはかなりかけ離れた優秀な人達が集まっているところなんじゃないの?

その中にも数人のバカは高学歴な人達の中でもいるかもしれないが、よりによってその人達が言っている事は都合が悪ければお互いにバカ呼ばわりで済むのか?

全くこの時点で日本の今の姿と未来の姿が見えてくる

素人の一般人でも分かる理屈は 国家や国民にとって良い事なら、とっくにしていたはずだ 実際それをしなかった政治家でも官僚が本当にいたのなら、そいつらは間違いなくバカだ

物事はそんなに簡単に出来る、解決出来るものじゃない 今の日本は多大なる痛みとデメリットで進むしか道は無い

だから政治家も官僚も我国の将来を予測する時に恐ろしくなり慎重にならざるを得なくなるのだ(逆に言えばその政治家の姿勢と政局の混迷が今後の日本の姿を暗示していると言っても過言で無いだろう)

今の安部のやろうとしている事は恩恵のある者と、そうでない者と二つに分散する世の中になって、又世の中が混乱するのが目に見えている

だから私は今安部のやろうとする事はするなと言う事ではない

何れ日本が一か八かでしなきゃいけない状況の下でする事だと思ってきた

それを一方的に物事を見て勝手な解釈で良い方に考えて行こうとしている者が、私には勝手で自己都合の事にしか考えられない者にしか見えない

ただこれだけは言える 何も悪くなる事を言って、政策に賛同する者など、ある意味愚かな国民が多い我国の中で誰もいるはずがないだろう

だから本当に都合の悪いところは目を伏せ、一方的な物事の見方で物事を訴え、国民を半ば騙すしかない手法で今出来ることはしないといけない と言う事は現実的に考えると、分からない理屈でもない
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