弁理士の日々

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四川大地震での日本の医療支援(2)

2008-05-22 20:55:45 | 歴史・社会
昨日に続いて、四川大地震での日本の医療支援についてです。

JICA国際緊急援助についてのページ派遣事例で、2006年インドネシアジャワ島中部地震での緊急援助実績を確認しました。
「2006年5月27日、インドネシアの古都・ジョグジャカルタでマグニチュード6.3の大地震が発生。これによる死者は約5,800名、負傷者は約138,000名にのぼり、その惨状は世界に伝えられました。日本はインドネシア政府の要請を受け、いち早くJDR医療チームを派遣。10日間にわたり、献身的な活動を行いました。

日本の対応:
 医療チーム:26名(先遣隊7名含む)
  先遣隊:5月28日~6月10日
  本隊:5月29日~6月10日

 自衛隊部隊:264名
  2006年5月30日~6月21日」

上記ジャワ島中部地震での援助実績と、今回の四川大地震援助実績を比較すると、その違いが明確になります。

日本の緊急医療援助体制は、どちらも全く同じ体制のようです。
屋外テント、簡易レントゲンや透析の機器、簡単な外科手術設備を持ち込んで、地元の病院が復旧するまでの期間、被災者の応急手当を行おうという体制です。人員は、団長、副団長に加え、医師3名、看護師7名、薬剤師1名、医療調整員5名、業務調整員4名より構成される総勢23名(今回)です。

ジャワ島中部地震では、地震発生の翌日に先遣隊が出発、本隊も翌々日に出発しています。インドネシア政府からの要請が迅速であったことがうかがわれます。
そして本隊は2週間の活動後、二次隊の派遣はしていません。現地の医療体制が急速に復旧し、簡易テントでの応急手当の必要性が薄くなっていたからです。
逆にいうと、ジャワにしろ四川にしろ、日本が準備した緊急医療援助は、地元の病院が機能を回復したら必要がなくなるということです。


そして今回の中国では、5月12日に地震が発生しているのに、緊急医療援助隊が出発したのが20日です。地震発生後8日目です。先遣隊も送っていない雰囲気です。地震発生の翌々日に本隊が出発したジャワとは、全くもって迅速性に差があります。
これでは、今回の日本の緊急援助体制が役に立たないだろうことは、ジャワの実績からもうかがえるところです。


中国がジャワと同じ緊急医療援助隊を受け入れるなら、地震発生直後であるべきでした。そして地震発生から10日が経過した現在であれば、もし医療支援を受けるのであれば、「医師の数が足りない、医薬品が足りない」ということに対する応援でしょう。
その辺の調整がなされないまま、中国は被災後8日後にやっと支援要請を行い、日本は中国でのニーズがわからないまま、被災直後にしか威力を発揮しないパッケージを送り出したということになります。


そもそも中国は日本と肩を並べる(あるいはそれを超える)大国なのですから、現時点で現地の医師の数や医療品が不足しているのなら、自国の他の地域からかき集めることで十分に対応できるはずです。日本から大騒ぎして3名の医師を派遣してどうにかなるものではないでしょう。
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