弁理士の日々

特許事務所で働く弁理士が、日常を語ります。

安倍総理靖国参拝

2013-12-29 15:57:27 | 歴史・社会
12月26日、安倍晋三総理が突然、靖国神社を参拝しました。
その前日、BSフジプライムニュースに小池百合子氏が登場しており、司会の反町氏が「総理が靖国参拝するとしたら、初詣、春季・秋季例大祭、終戦記念日と4回チャンスがありますが、まさか明治神宮と靖国神社のはしごなどしないでしょうね」と話題を振っていました。それを視聴していた我が家では、「首相は靖国に絶対参拝してはいけない」と会話していたこともあり、びっくりしてしまった次第です。

総理参拝はアメリカの意に反しているとは思いましたが、在日米大使館に続いて国務省報道官が「失望」と表明したのには驚きました。

靖国問題が前回燃えさかったのはたしか2006年でした。その後はあまり話題になりませんでしたが、7年後に再燃しました。
2006年にはこのブログで、昭和天皇のお言葉東郷和彦氏「靖国再編試案」東郷和彦氏「A級戦犯合祀問題」靖国神社に対する韓国の考え方中国が仕掛ける遊就館戦争で意見を述べました。
また、2009年には、靖国神社参拝と遊就館訪問靖国神社参拝と遊就館訪問(2)東郷和彦「歴史と外交」を挙げています。

私の意見では、靖国問題は不幸ないきさつの結果、答えを見いだすことのできない問題となっています。
○ 戦死した英霊たちは「死んだら靖国で会おう」と言い合って亡くなっているのですから、今更場所を変えることは困難です。
○ 戦後、政教分離によって靖国神社は宗教法人となり、政府の手から完全に離れました。神社の宮司が好き勝手に運営できます。A級戦犯合祀も、1978年に松平永芳宮司によっで行われました。
○ 中国は日中国交回復のとき、「悪かったのは日本の軍部であって、日本国民は悪くない」と自国民に説明しています。従って、今更「A級戦犯は悪くなかった」などとは絶対に認められません。
○ 現在の米国は中国を抑え込む力を有していません。一方中国は軍事力を増強し、近隣での覇権を狙っています。オバマ政権は中国と対決するのではなく共存を模索しており、「日本はとにかく中国を刺激しないでくれ」との方針です。
このような状況の中、うまい解決策など見つかりません。総理は、参拝を控えることしかできないはずです。昭和天皇は、A級戦犯合祀後は一切、靖国を参拝しませんでした。

私のブログ記事に東郷和彦氏が頻繁に登場しています。今回の安倍総理参拝に関しても、まずは東郷氏の見解が出るべきと思っていました。そうしたところ、12月29日の朝日新聞朝刊に「耕論 靖国参拝 信念の向こう側」として東郷氏が語っていました。

日本国民の半分以上は今回の安倍総理参拝を「よくやった」と評価していることでしょう。
日本国民の大部分は、第二次大戦中に日本軍が戦地の住民に対してひどい行いをしたことをほとんど知らないでしょう。「三光作戦」も知らず、「南京大虐殺は存在しなかった」と理解している人もいます。日本国民はまず、「実際には戦地でどのようなことが行われていたのか」をきちんと把握し、その原因を考える必要があります。それがないものだから、世界との距離が推し量れません。

「日本の安倍総理は、右傾の歴史修正主義者だ」という評価は、中韓のみならず、ひろく欧米でなされているようです。今回の靖国参拝でまたこの評価が定着することでしょう。
コメント
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