弁理士の日々

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高速道路会社で何が起きている?

2012-04-27 23:09:11 | 歴史・社会
4月27日の朝日新聞朝刊第1面は、「高速4社、社長交代へ」という記事でした。
朝日デジタル版でも報道されています。
高速4社、社長交代へ 国交省、民営化効果に疑問
朝日新聞デジタル 2012年4月27日5時35分
『国土交通省は「道路公団民営化」でできた高速道路会社6社のうち、東日本高速など4社の社長を交代させる方針を固めた。経営を効率良くするのが民営化の目的だったが、役員数を約束より増やしたり、業績が上向いていなかったりして効果が出ていないからだ。』
『国交省が交代の方針を決めたのは、東日本高速の佐藤龍雄社長(元昭和電工専務)、西日本高速の西村英俊社長(元双日ホールディングス社長)。首都高速の橋本圭一郎社長(前フィッチ・レーティングス日本法人最高経営責任者)と阪神高速の大橋光博社長(元西京銀行頭取)も交代する方向で最終調整している。いずれも6月の株主総会で正式に決まる見通し。』

何だかスキャンダルみたいです。せっかく道路公団を民営化したのに、それが逆効果だったということでしょうか。

と思っていたら、同じ4月27日、岸博幸氏が凄い論評を発表しました。

郵政民営化見直しに勝るとも劣らない“道路公団改悪”の陰謀
岸博幸のクリエイティブ国富論 2012年4月27日
道路公団民営化の意義は、特殊法人時代の四公団が特別会計の存在と相俟って談合、天下り、ファミリー企業といった利権の温床となっていたことから、不透明な利権を廃し、放漫経営を改めることにあったといいます。
『利権の根絶と道路予算の効率化のためには、ある意味でそれ以上に民営化された企業の経営陣をどのような人が務めるかが重要になります。
ちなみに、道路各社の経営陣は2年が任期となっており、ちょうど2年前に今の経営陣を選ぶときは、当時の国交大臣であった民主党の前原氏が民間的な経営を行う人をトップに充てました。
その結果、高速道路にいわゆる“利権屋”が入り込む余地はこの2年でどんどん小さくなりました。“言うだけ番長”と揶揄されることが多い前原氏ですが、この問題についてだけは正しい対応を行っていたのです。』

今年の6月は今の経営陣の交代のタイミングです。ここにおいて、政治家/官僚/土建業界に融和的な民間人を道路各社のトップに据えて、談合や随意契約、更には目立たない形での官僚の天下りがやりやすい、かつてのようなゆるい経営体制に戻そうという動きが活発になっているというのです。

『噂によると、そうした道路利権復活に向けた動きを仕掛けているプレイヤーは3人います。
1人は、国交省に政務三役として入っている政治家です(大臣ではない)。・・・
もう1人は、ある経済団体の幹部の人です。・・・
そこに加わった最後の一人は東京都の元大幹部です。
・・・
ちなみに、国交省の官僚は、こうした人たちの利権復活に向けた動きの推移を期待感を持って眺めているようです。
噂では、今週中に上記の国交省政務三役の人が自分で決めたトップ人事を道路各社に通告するという、国の株主権の濫用とも言えるような行動に出ると言われていましたが、この原稿を書いている木曜の段階では、まだそれが行われたという情報は入ってきていません。
しかし、もし本当にそうした常軌を逸した人事介入が行われ、道路利権の復活を後押しするようなトップ人事が行われたら、道路は郵政の逆行以上にひどいことになりかねません。本当に許し難いですし、こうした暴挙を野放しにしている政権の罪は重いと言わざるを得ません。』

本日の朝日新聞の記事では、最後に以下のように記述しています。
『(2年前の)高速道路会社のトップ人事では、民主党政権が官僚の「天下り廃止」を掲げ、10年に当時の前原誠司国交相のもとで国交省出身の道路会社社長をすべてやめさせた。そのうえで6社の社長すべてを民間企業の出身者にした。
特に経営者らでつくる経済同友会からの人材を多く起用している。一方、国交省は今回の社長交代では、大手企業などが入る経団連を中心に後任の人事を進めている。今回の社長交代には国交省の巻き返しや、同友会対経団連という経済界の主導権争いの面もある。』

プレイヤー3人のうちの2人目「ある経済団体の幹部の人」とは、経団連を指すのでしょうか。

岸さんの記事の最後部分
『だからこそ、メディアはこの問題を注視し、道路各社のトップ人事の帰趨となぜその人が選ばれたかの検証をしっかりと行うべきではないでしょうか。そのためにも、私もどこかの段階で上記の3人の個人名を暴露したいと思っています。
ちなみに、4月中旬のある新聞に、道路3社の役員数が旧公団のときよりも大幅に増えて経営陣自ら焼け太りしていた、という趣旨の記事が出ましたが、情報によると、この記事は、上記の3人のうちの一人が記者に書かせたもののようです。ポスト奪還に向けて世論形成にメディアを使ったのです。』

朝日の記事にある『経営を効率良くするのが民営化の目的だったが、役員数を約束より増やしたり、業績が上向いていなかったりして効果が出ていないからだ。』についても、よく真相を確かめてほしいです。
また、3人の名前が明らかになる日も近いでしょう。
コメント
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