弁理士の日々

特許事務所で働く弁理士が、日常を語ります。

対パラグアイ戦の後

2010-07-01 00:01:43 | サッカー
日本代表の南アW杯が終わりました。

対パラグアイ戦は延長戦を終えても0対0で、その後のPK戦の結果は運ですから、勝ち負けをいっても仕方ありません。
日本代表はよくここまで結果を残しました。

W杯直前、「日本は一次リーグ0勝3敗で敗退」という世論が優勢で、私もそれは致し方ないと思っていました。
そんな中、岡田監督は大会直前になって作戦をガラッと変えたわけです。中盤の底に阿部勇樹を起用して守備を固め、本来はMFである本田圭佑をワントップに据えました。そして両翼を松井と大久保が担います。中村俊輔は本調子でないために先発から外れるのは仕方ないとして、さらに中村憲剛や内田篤人までが出番を失いました。
こんな布陣を、誰か予測できた人がいたでしょうか。ところがその布陣がドツボにはまり、代表は一戦毎に結束を固めて結果に結びつけてきた、というわけです。
いやはや、岡田監督にはとにかく脱帽です。それと、きわめて短期間でこの戦術を自分のものとした選手たちにも脱帽です。

というか、岡田監督がもうちょっと早く発想してくれていたら、こんなにも期待ゼロで代表を送り出さなくても良かったのに、とも思います。

2008年はじめ、代表監督に就任した岡田氏は、最初「接近・展開・連続」という標語で代表の戦術指導を始めました。日本ラグビーの先駆者が唱えた思想だそうで、これにはびっくりしました(2008年3月)。
その後すぐ、「接近・展開・連続」は封印し、最近までパスサッカーを標榜してきたはずです。
今大会直前に連敗し、特に韓国に敗れたあとは協会会長に進退伺いを口走るなど、「おいおいだいじょうぶか」という状況でした。
それが大会の蓋を開けてみたらこの快進撃です。

各国代表チームのレベル差は確実に狭まっていますから、よほどのサッカー大国チームが相手でない限り、勝つチャンスは必ずあります。逆にいうとどのチームが相手でも負ける可能性は少なからずあります。
前回のドイツW杯、緒戦のオーストラリア戦が始まる直前、私は
『対オーストラリア戦のキックオフまであと1時間ちょっとです。
日本は、対オーストラリア戦のあと対クロアチア戦が続くわけですが、この2戦、とんとんと簡単に2勝する可能性も在り、一方で2戦2敗で終わる可能性もおなじ程度の確率であるように思います。「2勝または1勝1分け」と「2敗または1敗1分け」の可能性もおなじ程度と思います。
それだけ、ワールドカップ出場国のレベルが拮抗しているということでしょうか。』と自分の心境をメモしました(サッカー対オーストラリア戦直前)。
結果として1敗1分けで終わりました。オーストラリアは結局8強まで進み、イタリアと良い勝負をしたのですから、負けても恥じることはありません。
しかしその後の落胆たるや大変なものでした。日本全体がそうでした。

今回も結局は同じだったように思います。(オランダを除き)日本、デンマーク、カメルーンの3国で考えると、日本は2勝0敗もあり得るし0勝2敗も同じ確率であり得た、というべきでしょう。それが今回は、2勝0敗という良い方の目が出た、ということです。
一次リーグをふり返ると、ポイント1と2は、緒戦のカメルーン戦で勝利したこと、それとオランダ戦を最少失点で切り抜けたことでしょう。
その結果、デンマークは日本に勝つことが絶対必要条件となり、試合開始直後から前がかりとなりました。そこでポイント3、日本は立て続けにフリーキックからゴールをこじ開けるというすごいことをやりました。いくら本田と遠藤のフリーキック技術が優れているといっても、やはりあの2本を決めきる確率はそう高くなかったはずです。よくぞ決めました。それによりデンマークはさらに前がかりになり、結局は日本勝利の結果となりました。

「勝たなければいけない」というプレッシャーから結局は負けてしまう、そういえばフランスワールドカップでの日本対ジャマイカ戦を思い出します。
日本はジャマイカに負ける気は全くありませんでした。試合開始早々から、左サイドバックの相馬はほとんどレフトウィング(フォワード)ではないかと思うぐらいに前がかりでした。ところがジャマイカのシモンエス監督は試合前からその状況を読み切り、「日本の左サイドの裏にボールを放り込め」と指示していたのです。日本はまんまと罠に嵌ってしまいました。

今回日本代表が採用した戦術、「固く守ってボール奪取したら速攻カウンター」と表現することができるのでしょうか。
ところで「速攻カウンター」、いろいろなチームが武器にしていますが、不思議と日本代表はこの戦術を苦手としていました。速攻カウンターで点を取るシーンなんて見た記憶が(少ししか)ありません。どうしても途中でペースダウンしてパスをまわし始めます。「何で日本に限って速攻カウンターが苦手なんだ」という疑問はずっと謎でした。
その苦手を今回、日本は克服したということなのでしょうか。

そして二次トーナメントの第1戦、対パラグアイ戦。負けましたが、朝日新聞朝刊の見出しは「日本、完全燃焼」でした。
「二次トーナメントの第1戦で完全燃焼」といえば、日韓ワールドカップの二次トーナメント第1戦、対トルコ戦を思い出します。同じ負けだけど、あのときは「不完全燃焼」でした。この違いは何でしょうか。

南アW杯日本代表躍進のキーワードは「団結」ですか。ドイツW杯日本代表敗退のキーワードは「亀裂」でした(雑誌「ゲーテ」の記事中田英寿の引退日本代表は全力で戦ったか次原悦子氏と中田英寿氏)。

いやはや、いろいろと謎が残っています。これからの有識者の評論を待つことにしましょう。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする