豊後ピートのブログ

元北アルプス南部の小屋番&夏山パト十数シーズン経験。今はただのおっさん

「とにかく登れ」もまた危ないと思うよ

2018年05月30日 | 道迷い遭難を防ぐシリーズ
「道に迷ったら登れ、沢を下るのは危ない」というセオリーは山を知らない人でも知ってる人が多い知識だと思っていましたが、そうでもないようですな。


素人が山で遭難した時に陥りやすい「とにかく降りれば助かる」の考えは危険→「登った方が安全」との声
Togetter

引用
山は上に行くほど道の選択肢が狭まって頂上(正解)は1つしかない。仮に遭難してもすぐ見つかる。
裾野に行くほど面積が広がって迷う確率が上がる、しかも山裾には沢や崖が多く落ちると見つかりにくいんだと。

引用おわり

私も本気で道に迷い、他に脱出の手立てが無ければ、登ることを選択するでしょう。ただ派手に道迷いするような人が「とにかく登れ」という言葉を信じてとにかく登ると、とんでもないところへ行ってしまうのではないかという不安がありますね。

目の前にある急斜面や岩場を、勇気を振り絞って登ったけれどそれ以上進めなくなってしまった。するとどうなるか。必死になって登った場所を、今度は降りないといけないのです。岩登りなどでは登るよりも下るほうが困難だというのはご存知でしょう。当然、身動きができなくなります。道に迷った人が沢を下ってしまい、無理矢理降りようとして転落というケースはよく聞く話ですが、登り返しでも十分にあり得る話です。

登るにしても「とにかく」などと気合いで勝負するのは止めて、冷静にルートを見つけて欲しいです。そこは自分の技量で登れるのか、登ってダメな時には容易に降りられるのか、楽に登れるルートはないのか。じっくり検討してアカンかったら、救助要請を視野に入れることです。

登り返しの困難性は他にもあります。スギやヒノキの植林であればそれほど困難ではないかもしれませんが、これが高山帯や中級山岳になると酷いヤブ漕ぎになる可能性があります。背丈を超えるハイマツが密生しているエリアに突っ込むと、相当な苦労を覚悟しなければなりません。

また風化した岩の破片が堆積した急斜面は非常に不安定であり、下りはズルズルといけても登り返す時にはアリ地獄状態になります。不帰キレット付近で、この手の急斜面をガンガン下ってしまった道迷い遭難がありましたけど、登り返しのあまりのしんどさにパーティはバラバラになり、ザックを捨てるメンバーもいたとか。(この時はパーティがバラバラになったのが幸いして、一人だけ脱出に成功し、山小屋へ救助要請ができたので全員助かっています)

登ることのメリットはもちろんあるのですが、がむしゃらに登ってしまうと「やらなきゃよかった」ということになりかねません。



新潟の親子が3週間ぶりに発見され、ネット上では道迷いに陥ったらあーしろこーしろという話が目につくようになりましたが、「とにかく登れ!」なんて状態に追い込まれたら棺桶に身体を半分突っ込んでいるようなものです。そんなサバイバルテクニックを駆使する前に、まずは道迷いに陥らないことですわ。そのためにはどうすればいいのか。まずはしっかりと前を見て歩くこと、それも常に、です。具体的にアドバイスするならば、4歩進むごとに必ず顔を上げること。そして見る時には足下から登山道がどこまで続いているかをギリギリまで目で追うこと、です。常に登山道を捕捉し、一瞬たりとも油断してはいけません。

そしてもうひとつ。登山道を常に観察してカンを養っておき、コースアウトした瞬間に心のセンサーが反応するようにしておくことです。

登山道として整備されている道は、長い年月の間に数十万人、あるいは数百万人が通過しています。だから土の部分はカチカチに固まっていますし、登山道上に露出している岩は登山靴で磨かれた跡がはっきり残ります。地面から出ている木の根っこは樹皮が剥けてしまっているでしょう。岩場だって、ルートになっている部分はホールドが磨かれた状態になっている一方、それ以外の場所はコケがついていたりします。歩いていてそういう違いがぱっと目に入るようになれば、コースアウトしかけてもすぐに気づくようになるのではないでしょうか。


登山・キャンプ ブログランキングへ





ジャンル:
ウェブログ
コメント (4)   この記事についてブログを書く
« 新潟の五頭連峰で行方不明に... | トップ | 凍結箇所でふたり同時に滑落... »
最近の画像もっと見る

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (きりお)
2018-05-31 15:54:11
いつも、大変興味深く読ませて頂いております。
今回の記事と全く関係なく申し訳ないのですが、栗城さんの遭難死亡事故について、どうお考えでしょうか?
もしよろしければ、記事にして頂ければ幸いです。無視して頂いても全然大丈夫です。
Unknown (bongo-pete)
2018-06-01 00:37:14
きりお様

栗城氏はこんなサイトばっかり見て情報を得ていたクチなので、もちろんファンではありません。
もっとも南西壁ソロとか言い出したあたりで、この人はもはやそういう病なのかなと思いましたね。メスナーはドーピングやってるとか、某外国登山隊に対して「実は登頂していない」なんてデマを平気で流すあたり、なんか問題を抱えてるのではないかと…
短くてすみません
Unknown (bongo-pete)
2018-06-01 00:41:10
すいません、URLを貼り忘れました
https://www44.atwiki.jp/kuriki_fan/
Unknown (きりお)
2018-06-02 09:16:40
ご回答いただきありがとうございました。
私も、ほぼ同意見です。
今後もブログの更新、楽しみにしております。

道迷い遭難を防ぐシリーズ」カテゴリの最新記事