豊後ピートのブログ

元北アルプス槍ヶ岳の小屋番&白馬岳周辺の夏山パトロールを13シーズン。今はただのおっさん

警察が捜索しているのに本人がとっくの昔に無事下山ってのは、たまに聞く話

2019年05月23日 | 遭難と救助について考える
まあ、この手の人にとっては救助要請って「ちょっと困ったけど相談先がよくわからないから110番してみた」ぐらいの軽いノリなのではないかと思います。

富士山で「動けない」救助隊捜索、連絡せず自力下山
読売新聞  2019/05/22 07:53

引用
曇天でヘリによる救助ができず、県警の救助隊員が5合目から現場に向かった。途中で男性と連絡が取れなくなり、捜索は午後9時半頃まで続けられた。その間に男性は麓まで歩き、電車で帰宅。男性から連絡があったのは午後10時頃だった。
引用おわり

他の報道によると、警察が「その場で待て」と説得したにも関わらず自力下山を強行、その後、電話は繋がるけれど本人が出てこないという状態になったため出動した模様です。普通の時期であったら警察も「自力下山するなら気をつけて」で済ませたかもしれませんが、残雪期で装備(と本人の雰囲気)がヤバいと思ったのでしょう。


この件で言いたいことがいくつかありますのでボチボチ書いていきます。ひとつめは、いったん救助要請したら警察や消防の指示にしたがってくれ、ということです。途中で元気になったから自力下山しまーす、はダメです。救助要請した時点で、悪い言い方をすれば、警察に泣きついたことになります。それなのに警察の承諾がないまま自力下山するのは、筋が通りません。自力下山と言えば聞こえはいいですが、救助要請をしておきながら山遊びを続けているのと、なんらかわりがありません。以前、冬の北アルプスで十数人のパーティのうちひとりが動けなくなった事故で警察が出動したのですが、残りのメンバーが「このまま縦走を続けたい」とゴネて大変だったという話を聞いたことがあります。それと同じくらい、勝手な行動です。警察に泣きついた以上、あとはお任せにするのが筋だと思いますけどね。

さて次です。警察消防であろうと、それ以外であろうと、いったん助けを求めてしまったら、求められたほうは本気で動くってことです。これについては上記のケースよりもっと酷い酷い酷すぎるケースがあります。

救助要請は110番がいいかも/豊後ピートのブログ

下山中に道に迷い、スキー場へ連絡してしまった登山者がいたのですが、結局、普通に自力下山しちゃったケースです。捜索のためにヘリコプターが出動したそうですが、本人は自分を探しているとは思っていなかったとか。捜索活動は3日間に及んだそうです。で、恐らくスキー場の電話にナンバーディスプレイが無かったのだと思いますが、警察が通話記録を取り寄せて電話をしてきた登山者を特定し、それでようやく本人に連絡がついています。スキー場に電話を架けた本人はこれまた「ちょっと困った」程度だったのかもしれませんが、電話を受けたスキー場の人は当然、一大事だと思って警察へ連絡します。そして警察はあやふやな情報であっても出動します。軽い気持ちで相談したつもりでも、結果的には大捜索になるのだと、たまたまこのブログを読んだ人は理解しておいて欲しいです。そして大丈夫であれば可及的速やかに「大丈夫です」と連絡しておくだけで、大きな問題にはなりません。

で、3つめです。この登山者は警察が「そこで待ってろ」と言っているのにも関わらず、我慢できずに下山を強行してしまいます。まあ、アイゼン無しで残雪の富士山に登ろうとして身動き取れなくなっているような登山者ですから、待ってろと言って待つようなタマではないでしょうな。こういう場合はどうするか。自分だったら、説得を諦める代わりに、一定の時間で必ず連絡を入れるように指示を出します。自分の場合、悪天候なのに山行を続けようとする登山者、もちろんどんだけ説得してもダメな場合ですが、下山したら直後に連絡するようにとか、途中の山小屋に必ず顔を出してくれといった感じの指示を出すことがありました。こうやって書くといかにも的確なアドバイスに見えるかもしれませんが、一度、山小屋に顔を出すのをスルーしてさっさと下山した人がいまして、山小屋のスタッフが心配するので私が様子を見に行くことになりました。台風接近中の暴風雨の中、北アルプスの稜線をトレッキングすることになったのです。雨粒が顔に当たると痛いほどの暴風雨でした。今でも許しません。


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