豊後ピートのブログ

元北アルプス南部の小屋番&夏山パト十数シーズン経験。今はただのおっさん

入山届を軽量化してみる

2009年12月01日 | 遭難と救助について考える
最近、久々に長野県警山岳救助隊のウェブサイトを覗いたのですが、平成20年度の山岳遭難統計が出ていました。たぶん、かなり前に出ていたと思います。

で、早速ダウンロードして読んでみたのですが、最後のページに思わず微笑を誘われました。


引用
長野県警察ホームページでメールも受け付けます。形式にこだわらず、まず作成を!



登山計画書の提出先をリストにしたページなんですけど、「形式にこだわらず、まず作成を!」と呼びかけているのがポイント高いですね。やはり提出率が話にならないほど低いのでしょう。






昔、鹿島槍周辺にパトロール隊員として配属された時、種池山荘でよく「登山計画書の受付」という仕事をしていました。山小屋のホールの片隅に机を出して、「登山計画書を書いていない人は提出してくださーい」と呼びかけ、近寄ってきた人にあれこれ書き方を説明する簡単なお仕事なんですけど、登山計画書とか入山届けって、初心者には難しいんでしょうね。けっこう悩んでいる人が多いです。ていうか、入山前にほとんどお勉強していないのでしょう。


そんなわけで、今回のエントリーは超絶初心者向けに入山届あるいは登山計画書、まあいろいろ呼び方はあるんですけど、それらについて説明します。








ぶっちゃけ、登山計画書なんていかめしい名前ですけど、以下の項目がわ読む人に伝われば何でもいいんです。

それは、

「誰が」「いつ」「どこへ」

です。


登山計画書とか入山届と称して様々なフォーマットを見かけます。中には無線の周波数だとかテント・ツェルトの有無だとか、初心者にはよーわからんことが書いてあるわけですけど、最低限必要な記載項目は以上です。

もっと登山計画書を軽量化したい!というエクストリームな貴方なら、


「誰が」「どこへ」


でもいいです。やや危険ですけど、エクストリーマーなら大丈夫でしょう。



登山計画書を書く最大の目的は、行方不明になった時、警察消防がどこを探せばいいのかを考える手がかりにするためです。他にもいろいろありますけど、面倒なので省略します。



さて、実際にはどう書けばいいのか、ですね。


超めんどうくさがり屋にお勧めしたいのは、箇条書きです。罫線とか一切無しのシンプルなスタイルで書きます。要はわかればいいのですから。

書く内容は、



住所
氏名
電話番号
緊急連絡先

行動予定



これだけです。これを箇条書きにすれば充分です。非常食が何日分あるか、とか、血液型などはもうちょっと経験積んで心配症になってからでいいです。





さて、ここで解説を入れましょう。住所氏名電話番号はいいとして、緊急連絡先と行動予定がちゃんと書けていないとムダです。

では最初に緊急連絡先から。

アナタに何か一大事があったとき、警察や消防は家族や親戚に連絡を取ろうとします。その時にどこへ連絡すればいいのか、を、よくよく考えて書いてください。

先ほど種池山荘で登山計画書を書かせる仕事をしていたことについて書きましたけど、そこでお客さんに渡していた紙にはもちろん緊急連絡先の記入欄がありました。で、お客さんはよく自宅の番号を普通に書いていたりするんですけど、そこで

「今、自宅に誰かいるんですか?」

と質問すると

「もう息子が独立しているので、誰もいません」

なんて返答がよくきたものです。それじゃあ、無意味なんですよね。警察は留守宅に一生懸命電話することになってしまいます。

山岳会なんかだと会の代表を緊急連絡先にしたりしますけど、これもちゃんと連絡がいつでもとれるようにしておかないと後で警察に怒られますよ、マジで。


山に登っている時、家に奥さんとかダンナさんがいるなら自宅でもいいです。一人暮らしをしている人だったら実家の番号が適当でしょう。本当は、山について知っている人を連絡先にしておくと、いざというときに迅速に動いてくれるかもしれません。そこまで考えてから、緊急連絡先を選定してくださいね。



さて次は行動予定です。


日帰りで往復だったら簡単です。例えば奥多摩のとある山に出かけるとします。



本仁田山、奥多摩駅から往復


これで問題無しです。本仁田山を奥多摩駅から登ろうと思ったら、大休場尾根しかありません。

もうちょっと詳しく書くなら、



本仁田山 大休場尾根往復



これなら捜索隊も間違えようがありません、アナタが間違った尾根を登っていなければ、ですが。


登りと下りでルートが違うのなら、もうちょっと文章量を増やしましょう。

例えば、




奥多摩湖→御前山→栃寄



こんな感じで入山口と下山口を書いておけばとりあえず大丈夫です。分岐があるんでちょっとアレですけど。で、もうちょっと助かる可能性を増やしたい場合には、



奥多摩湖→大ブナ尾根→御前山→栃寄大滝→栃寄→境



ここまで書けば2本ある下山ルートのどっちを下るのか、捜索隊は絞ることができます。コースの途中にある地名や尾根、沢などを書いておきましょう。



さて、実際に書いてみましょう。どんな形式でもいいわけですから、WORDでも手書きでも何でもいいです。メール本文に箇条書きしておいて、家族や実家にメールしておき、プリントアウトを提出するのでもいいでしょう。







長野県大町市大町xxxx
電話0261-22-0xxx
小林喜作
緊急連絡先090xxxxyyyy(実家)
(以下、メンバー全員の住所等)
倉戸口→鷹ノ巣山→稲村岩尾根→日原




たったのこれだけです。これを箇条書きにすれば充分なのです。


あとはこれをプリントアウトでもコピーでも何でもいいので、2通作ります。

長くなったので、ここでいったん切ります。
コメント (9)   この記事についてブログを書く
« 北アルプス北部の人気が落ち... | トップ | 入山届を軽量化してみる その2 »

9 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
たしかに (たぬたぬ)
2009-12-01 10:30:05
県警の入山届、そもそも「何のために」「何を」「どうやって」記入するのか、書いてないですよね。

そこまで説明が必要なのか!とは思いますが
いまどき納税申告書にだって丁寧な解説がついてる時代です。

この入山届は、あんたが遭難した時、探すための手掛かりになりますよ!出さないと行方不明になりますよ!って書いておくのがいいのかな・・・
Unknown (bonggo-pete)
2009-12-01 21:14:27
たぬたぬ様

>そこまで説明が必要なのか!とは思いますが
いまどき納税申告書にだって丁寧な解説がついてる時代です。


まあ、それですね。そこがポイントです。とにかく書け!ではダメなんだと思います。

Unknown (ons)
2009-12-02 03:51:05
大学の山系サークルには遭対協から季節ごとの山の危険を解説したチラシと、入山届の用紙が送られてきます。
「冬山の遭難が後を絶ちません!」
「入山届はあなたの命を繋ぐザイルです」てな感じですね。

たまに登山口に用紙があったりしますが、有り得ないくらい細かい形式だったり、
僕が生まれたころの装備名がリストに並んでいたりしますね。
一方でピートさんが言うような軽量化なのか、ほとんどただの紙切れみたいな用紙もみた事があります。
Unknown (モリケン)
2009-12-03 04:31:20
感動したのでつい書き込みしてしまいました!

入山届、そうですよね!
雑誌に見本として出ているやつは難しすぎて書けねーよーと常々不満に思っていました。

やっぱりこれでいいんですよね!
自分の感じていた不満にあまりにも的確に応えていただいていて、感動しました!
Unknown (bongo-pete)
2009-12-03 05:33:54
ons様

ヤマケイの付録についてくるようなフォーマットの入山届を初心者が見て、書く気になるのかどうかって常々疑問に思っています。

簡単に書けること、そして必要性を理解できるようにすることが提出率を上げる地道な方法でしょうね。


モリケン様

ここで紹介しているのは、本当にごく初歩的な内容です。日帰り登山用と思ってください。
Unknown (matumatu)
2009-12-04 13:36:13
登山届けは日帰りでも必ず書いているのですが、下山後の報告はしてません。
(する必要があるのかなと思いつつ。。)

提出された登山届けって、どのように保管&廃棄されているのでしょうか?

素朴な疑問です。もしご存知だったら教えてください。
Unknown (bongo-pete)
2009-12-04 14:35:10
matumatu様

保管と廃棄については、詳しく聞いたことがありません。

長野県警の場合ですと、

「個人情報保護
登山計画書に関する個人情報は、山岳遭難発生時の救助・捜索活動のために利用いたします。
また、提出された登山計画書・登山者カードは、確実に廃棄処分いたします。」
http://www.pref.nagano.jp/police/sangaku/keikaku/tozanyou.htm

と書かれていますね。
登山届けもですけど… (お父さんです)
2009-12-23 16:39:44
下山届けも出すようによく書かれていますが
下山届けはどのような書式で、何処に出せばいいのか判らないので下山届けは出していませんでしたが、
宮城県の船形山にある入山届けは下の部分を切り取って下山届けとして提出するようになっていたのでその部分だけを作った下山届けを提出するようにしました。
Unknown (bongo-pete)
2009-12-29 07:15:11
お父さんです様


私の知る範囲だと、下山については特に届け出を出すってのは聞いたことが無いです。そういうところもあるんですね。

遭難と救助について考える」カテゴリの最新記事

関連するみんなの記事