豊後ピートのブログ

元北アルプス槍ヶ岳の小屋番&白馬岳周辺の夏山パトロールを13シーズン。今はただのおっさん

山のマナー その1

2007年06月30日 | 山ネタ そのほか
何回かに分けてお送りする、「山のマナー」に関するウンチク集です。今回は「山小屋の出入り」を語ります。



夏山シーズン中は白馬村営頂上宿舎の玄関に机を並べて、登山者からの質問等に答える「早朝相談活動」にいそしむのですが、5時半を過ぎると朝食を終えて出発する登山者が靴を履こうとして大混雑になります。登山者と会話を楽しむどころではありません。

玄関ロビーに敷かれた低いスノコに座り込み、狭苦しい中で肩を寄せ合いながら一生懸命になって靴ひもを結んでいる光景を見ますと、ついつい忠告したくなります。


「天気もいいことだし、表で靴ひも結んだほうがいいですよ。何もそんなところで狭苦しい思いをする必要はないでしょ」


これで多少は混雑が解消されますが、十数分後には再び混雑していたりします。そして靴ひもを結んでいる人の背後には、大勢の登山者が靴を持ったまま待機しているのです。椅子にすわってボーッと見ていると、時間がもったいない気がしてなりません。

登山靴を履く人で山小屋の玄関が混雑している時、私ならばさっさと靴をつっかけて、ひもを手にとったまま外にでます。で、落ち着ける場所でじっくりとひもを結びます。靴ひもを結ぶのって、大事な儀式ですからね。山小屋の外には腰を下ろして落ち着けるスペースがいくらでもあります。後から来る人のためにも、玄関は早めに離脱しましょう。


反対に、山小屋へ入るときに、あらかじめ靴ひもを緩めておくことがあります。ガイド仕事をしていた時は、いつもお客さんに「小屋に入る前に靴ひもを緩めて、サクっと上がれるようにしてね」と言っていました。決して広くない山小屋の玄関ロビーに大勢の登山者が集結して、靴ひもを緩めるためにかがみ込んだら、大混雑になります。慌てて小屋に入ろうとするお客さんに対しては「山小屋は逃げない」と言って説得します。

他人が靴ひもを緩める光景をジリジリしながら見守るのは、精神衛生上よくありません。


これが雨の日ともなると、ほとんど制御不能です。グシャグシャのバシャバシャ状態で、山小屋の人は大変ですね。びしょ濡れのカッパを着たまま部屋に入ろうとする人とか、いろいろです。

槍岳山荘の乾燥室は原則として雨具の持ち込み禁止(現在は不明)なのですが、雨の日にはカラフルなカッパでいっぱいになります。シャツや下着を乾燥させようにも、濡れた雨具が密着してそれどころではありません。そしてよくあることなのですが、似たようなカッパが多いので他人が間違ってカッパを持って行ってしまうのです。

雨具等をしっかり乾燥させることができない状況では、私の場合、ビニール袋に入れただけで放置しています。下着やシャツ、靴下は手で絞っておくだけです。翌日が雨の場合、不快なのは最初の十数分だけです。すぐに慣れます。


雨の日の朝によく見かけますが、玄関ロビーでカッパを着てスパッツを装着してザックカバーをかけて、となると、ものすごい時間が掛かります。カッパが乾燥しているのなら、部屋で着てしまったほうが手っ取り早いです。カッパは玄関で着るというルールはありません。

スパッツの装着も見ているとほとんどの人が大変そうですね。特にスパッツのバンドをフックに引っかける時に苦労しています。スパッツはフロントオープンのタイプに、バンドをネオプレーンのものにして、長さをあらかじめ調整した上で固定しておくと、素早い装着が可能になります。この説明でよくわからない場合は、登山用品店で試してみてください。フックに引っかけるタイプだと、フックがつぶれてはずれなくなったりしますから不便です。オススメはアライテントのフロントジップゲーターです。



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