豊後ピートのブログ

元北アルプス槍ヶ岳の小屋番&白馬岳周辺の夏山パトロールを13シーズン。今はただのおっさん

2011 夏の北アルプス北部を語る その1

2011年08月29日 | 白馬岳など北アルプス北部ネタ
というわけで東京に戻ってきたのですけど、下界の暑さはどうもダメでダラダラと過ごしております。が、このままではいかん、ということで、今夏の北アルプス北部について何本か書いてみましょう。



で、まず筆頭に挙げたいのはテントです。テントの人が増加しつつあるのは数年前から実感していましたが、今年あたりの連休や週末はテント場が一杯になってしまって、けっこう大変でした。

最近の特徴といえば、例えば5人のパーティであってもテントが5つという、「ひとり1テント」がかなり増えてきたことでしょうか。食事についてもそれぞれがバーナーやコッフェルを持ち、好き勝手にやるスタイルが増えてきていて、一緒に山登りしていても仲がいいのか悪いのかよくわからんパーティが増えている気がします。

「そんなの個人の自由じゃん」と言われればそうなのですが、いささか弊害がでてきています。おかげさんで、テント場がすぐに満杯になってしまうわけですね。これまでは4~5人が密集して寝ていたのに、それぞれが個人用テントを張りだしたら、面積がうんと必要になってしまいます。







ところで、テント場がいっぱいになった時、山小屋の対応は2つに分かれます。ひとつは「テント場は満杯でもう張れないから、山小屋に素泊まりで泊まってくれ」と求めるものです。もうひとつはテント場以外に張るのを黙認したり、あるいは山小屋の軒下などに張らせるケースです。

このように対応が分かれているため山小屋の受付で少々モメたことが、今年はあったようです。「あそこの山小屋では軒下に張らせてもらえたのに、ここではダメなのか。どこでもいいから張らせろ!!」とクレーム入れてくる狂犬系登山者がけっこういたって話を聞きました。

山小屋の軒下にテントを張らせるのはいわば好意でやっているものであり、他の山小屋にも同様のことを求めるのはかなりアレなんですけどねええええ・・・・・・・・




皆さんもご存じのように、北アルプスといった山域でテントを張ることができるのは指定地に限ります。

で、この指定地なんですけど、その多くが山小屋に隣接している関係で同一の敷地内に山小屋とテント場があるように思う人が多いと思いますが、厳密にいうと別モノなんです。

通常、山小屋の敷地は国有地であり、国から借りて小屋を建てています。山小屋に行くとそのことを示す看板が受付の近くとか、あるいは小屋の外壁に張ってあることが多いです。で、テント場の場合もやはり借りていることになるのですが、これはまた別に「野営場敷」という名目になっているのです。

で、キャンプ指定地となっているのはこの「野営場敷」であり、「小屋用地」ではないんですよね。





というわけで、テント泊したい人で週末とか連休しか登れないって人は、なるべく早めに行動を切り上げてテントを張るべきですね。また、これは当然のことですが、指定地外のテントを注意しにきたグリーンパトロール隊員に対して酔っぱらった勢いで噛みつくとか、そういうことをしてはいけません。