徐々に詳しい話が報道されるようになってきましたが、聞けば聞くほどわからなくなりますね。険しい地形の現場で何度もヘリコプター呼んでは遭難者を搬送してもらったことがあるだけに、今回の事故は人ごとではありません。
いくつかの報道を元に、素人ながら考察を巡らしてみたいと思います。
北アのヘリ墜落、濃いガスが操縦に影響か
読売新聞 2009年9月12日23時18分
土田さんはヘリからのロープをつなぐ留め具を遭難者と自分に取り付けたところ、ロープが激しく左右に揺れ、ヘリが横向きになっていたように見えたため、巻き込まれないように、慌てて留め具を切り離したという。土田さんは「留め具を外した直後、上空で『バン』という音がした」とも話しているという。
隊員を現場に降下させると、ヘリコプターは現場から離脱して待機することが多いです。このケースでは遺体を袋に入れる作業があるので、それが終わるまでは現場から離れていたのでしょう。で、記事によれば隊員がワイヤーの先についているフックを掛けた状態だったということなので、この時点でヘリコプターはホバリングしたまま、ほとんど動かない状態なわけです。
最初はワイヤーに装着したフックを隊員がいる地点まで持って行くときに岩と接触したのかな、と思ったのですが、ちょっと違うようです。
運輸安全委員会の坂本和紀調査官は12日夜、高山署で、「後部ローターが岩肌に接触したとみられるような機体の残骸(ざんがい)状況だった」とし、「尾翼と本体をつなぐ部分がへし折れ、相当強い力が働いたとみられる」と見解を述べた。
画像では赤い尾翼部分が現場上部に残されていましたね。あれが残っているということは、けっこうな衝撃があったのでしょう。
事故が起きたのはホバリング状態で微妙な操作をしている段階ですから、単純な操作ミスだけで尾翼部分を切断するほど強く接触するかなあ?と、思います。なんらかの原因で機体が急降下し、尾翼部分を岩にたたきつけてしまった感じです。上から突風に叩かれたのでしょうか。テイルローターをぶつけて動作不能になっただけならしばらくは浮いていられると思いますから、隊員の証言にあるような頭上から真っ逆さまに墜ちてくるということも無さそうです。
また隊員の証言でバンという音がした、というのがありますが、これは報道によって聞こえたタイミングがまちまちです。ただ読売の記事どおり上空で「バン」だったら、尾翼部分を岩にヒットした音でしょうね。
前のエントリーでコメント欄に目撃者の方が証言していますけど、ちょうど吊り上げるタイミングの時にガスが出ていたのは間違いないようです。ただ操縦にどのくらいの影響があったのかはわかりません。
ヘリ墜落:遭難救助、3000M超経験なし 若鮎2号
毎日新聞 2009年9月13日
これはちょっと意外でした。
この場合ホバリング限界高度が気になりますけど、同じ機種を使っている長野防災ヘリ「アルプス」は地面効果がある場合で5300mぐらい、無い場合で4200mぐらいです。通常のデータだと前者が2800mで後者が1500mぐらいですから、アルプスの数値は相当な軽量化をした上で出したものでしょうね。
参考URL 消防防災ヘリ「アルプス」概要/長野県公式ホームページ
若鮎2号についてはどうなのかわかりません。機体が重い状態だったら3000m超えた稜線で操作が困難になる可能性もあります。が、通常はそれなら最初から接近をあきらめるだろうなあ、とも思います。
だが今回は両者が協議し、県警ヘリは出動しなかった。鈴木・防災対策監は「警察航空隊からセンターに『警察に直接通報がなければ出動できない』と説明があったと聞いている」とした上で「一刻を争う事態だったので出動した」と説明した。県警幹部は「事実関係を確認したい」としている。
これもどうなんでしょうか。記事だとまるで警察と消防との間の風通しが悪いような感じですが、今時そんなことをやるかなあ、と思います。消防のほうで防災ヘリの運用にリスクを感じているなら迷うことなく県警にフライトを依頼しているでしょうし、岐阜県警の「らいちょう2」も同じベル412EPですから、性能に大差があるということも無さそうです。
以上ですが、私は専門家でも何でもないので、多少(というかかなり)間違っているかもしれません。よくご存じの方がおられましたら、コメント欄に書いていただければと思います。
いくつかの報道を元に、素人ながら考察を巡らしてみたいと思います。
北アのヘリ墜落、濃いガスが操縦に影響か
読売新聞 2009年9月12日23時18分
土田さんはヘリからのロープをつなぐ留め具を遭難者と自分に取り付けたところ、ロープが激しく左右に揺れ、ヘリが横向きになっていたように見えたため、巻き込まれないように、慌てて留め具を切り離したという。土田さんは「留め具を外した直後、上空で『バン』という音がした」とも話しているという。
隊員を現場に降下させると、ヘリコプターは現場から離脱して待機することが多いです。このケースでは遺体を袋に入れる作業があるので、それが終わるまでは現場から離れていたのでしょう。で、記事によれば隊員がワイヤーの先についているフックを掛けた状態だったということなので、この時点でヘリコプターはホバリングしたまま、ほとんど動かない状態なわけです。
最初はワイヤーに装着したフックを隊員がいる地点まで持って行くときに岩と接触したのかな、と思ったのですが、ちょっと違うようです。
運輸安全委員会の坂本和紀調査官は12日夜、高山署で、「後部ローターが岩肌に接触したとみられるような機体の残骸(ざんがい)状況だった」とし、「尾翼と本体をつなぐ部分がへし折れ、相当強い力が働いたとみられる」と見解を述べた。
画像では赤い尾翼部分が現場上部に残されていましたね。あれが残っているということは、けっこうな衝撃があったのでしょう。
事故が起きたのはホバリング状態で微妙な操作をしている段階ですから、単純な操作ミスだけで尾翼部分を切断するほど強く接触するかなあ?と、思います。なんらかの原因で機体が急降下し、尾翼部分を岩にたたきつけてしまった感じです。上から突風に叩かれたのでしょうか。テイルローターをぶつけて動作不能になっただけならしばらくは浮いていられると思いますから、隊員の証言にあるような頭上から真っ逆さまに墜ちてくるということも無さそうです。
また隊員の証言でバンという音がした、というのがありますが、これは報道によって聞こえたタイミングがまちまちです。ただ読売の記事どおり上空で「バン」だったら、尾翼部分を岩にヒットした音でしょうね。
前のエントリーでコメント欄に目撃者の方が証言していますけど、ちょうど吊り上げるタイミングの時にガスが出ていたのは間違いないようです。ただ操縦にどのくらいの影響があったのかはわかりません。
ヘリ墜落:遭難救助、3000M超経験なし 若鮎2号
毎日新聞 2009年9月13日
これはちょっと意外でした。
この場合ホバリング限界高度が気になりますけど、同じ機種を使っている長野防災ヘリ「アルプス」は地面効果がある場合で5300mぐらい、無い場合で4200mぐらいです。通常のデータだと前者が2800mで後者が1500mぐらいですから、アルプスの数値は相当な軽量化をした上で出したものでしょうね。
参考URL 消防防災ヘリ「アルプス」概要/長野県公式ホームページ
若鮎2号についてはどうなのかわかりません。機体が重い状態だったら3000m超えた稜線で操作が困難になる可能性もあります。が、通常はそれなら最初から接近をあきらめるだろうなあ、とも思います。
だが今回は両者が協議し、県警ヘリは出動しなかった。鈴木・防災対策監は「警察航空隊からセンターに『警察に直接通報がなければ出動できない』と説明があったと聞いている」とした上で「一刻を争う事態だったので出動した」と説明した。県警幹部は「事実関係を確認したい」としている。
これもどうなんでしょうか。記事だとまるで警察と消防との間の風通しが悪いような感じですが、今時そんなことをやるかなあ、と思います。消防のほうで防災ヘリの運用にリスクを感じているなら迷うことなく県警にフライトを依頼しているでしょうし、岐阜県警の「らいちょう2」も同じベル412EPですから、性能に大差があるということも無さそうです。
以上ですが、私は専門家でも何でもないので、多少(というかかなり)間違っているかもしれません。よくご存じの方がおられましたら、コメント欄に書いていただければと思います。
いや、やっぱりテンションがかかってたら外せないか.....
ワタクシは毎日新聞の記事が気になっております。
若鮎Ⅱは岐阜県防災航空隊と、岐阜県警が共同運航している機体であります。
ですから隊舎も同じ敷地にありますので、仰る通りで風通しが悪いと言うのは有り得ないと思います。
また、岐阜県警が「らいちょうⅡ」を導入するまでは、若鮎Ⅱがアルプス方面での運用に当たっていた為、誌面の「同機は3000メートルを超える山岳地帯での救助経験がなかった」という文面はどうも理解できません。
上手く答えれませんが、正確に報道されていない部分もある気がしましてコメントさせていただきました。下手な文章で申し訳アリマセン。
この状況だとビレイはとってないでしょうね。
また吊り上げで上昇する時にはゆっくりあがりますし、また整備担当がチェックしていますので、ビレイしていることにすぐ気がつくと思います。
ただ、外国では岩場でのレスキューでビレイ解除忘れて危なかった例が本に載ってました。
こぉ~じ様
若鮎2号が3000m超えた地点でのレスキューをしたことがないのは本当なんでしょうけど、かといって経験不足とも言えないような気がします。
それなりの高所でレスキューやっていると思うんですけどね。
かなり昔ですけど、槍ヶ岳付近にある千丈乗越でレスキューやったことがあったと記憶しています。
リンク先拝見させていただきました。こちらの9月11日分の日記ですね。
http://home.384.jp/alpinepapa/page005.html
う~む、これは確かに若鮎2号ですね。現場もネットが見えていますから、白出のコルだと思います。
こうなると、ちょっとわけがわかりませんね。貴重な情報ありがとうございます。
若鮎2には専属パイロットは彼1人なんでしょうか?
専属パイロットとはいえ 休日はあるはずですし、件の高所救助は別のパイロットがしたのでは?と思います。
捜査によると ヘリは墜落前にホイストケーブルを開放(切断)していたそうです。
ヘリ乗りには当たり前かもしれませんが、素晴らしい判断だと思います。
副操縦士がいると思います。また、どこかで見たのですが、若鮎2号は平日のみ出動みたいです。若鮎1号は民間に委託して運行しており、土日も出動しているようです。
報道では亡くなったパイロットの方だけが3000m超でのレスキュー経験が無いのか、それとも若鮎2号そのものなのか、イマイチわからないですね。
もしかしたら 前述されているレスキューも、他のパイロットがドキドキしながらやったのかも?