豊後ピートのブログ

元北アルプス槍ヶ岳の小屋番&白馬岳周辺の夏山パトロールを13シーズン。今はただのおっさん

雪穴からの脱出は大変だろうな

2014年04月10日 | 山岳遭難
たしか1ヶ月くらい前にも北海道でボーダーが雪穴に落ちて、2日後に救出されたなんて事故がありました。この時は膝まで水に浸かっていたそうですけど、命は助かっています。


スノボの男性、雪解け水で溺死 新潟・湯沢町
日本経済新聞  2014/4/9 21:53


引用
同署によると、くぼ地は直径約5メートル、深さ約3メートルで、標高約1500メートル地点にある。雪解けで水量が多くなっており、男性は滑走中に誤って転落したとみられる。
引用おわり


水の深さがわからないのですが、仮に楽々立てるほどの水深であっても、3メートルもある雪の壁を乗り越えるのは、簡単な話ではないですよね。

雪というと簡単に手で掘れそうなイメージを持っている人がいるかもしれませんが、それはあくまでも新雪の話だと思います。春先の残雪であれば、BCの人が持っていそうな軽いけどヤワなスコップではしんどいでしょうね。


私はほぼ毎年のように夏の北アルプスにおいて、登山道整備の一環として雪を掘っていますが、使っている道具は工事用の剣スコとかツルハシです。掘っているうちに氷がいくらでも出てくるので、これぐらいのハードなものが無いとやっていられません。ちなみに山小屋の小屋開けでは、雪をチェーンソーで切り出すなんてことが普通に行われています。



雪穴へ転落した場合、そこが止水であればまだ生還の可能性が残されていますが、場合によっては落ちた先が激流というケースもあり得ます。で、そのまま雪渓の下に引きずり込まれてしまったら、どうにもならないです。まずは回避を第一に、慎重に行動したいところです。