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「町あかりの昭和歌謡曲ガイド」/町あかり

2021年04月20日 | 昭和歌謡・アイドル歌謡
 町あかりさんは、プロフィールによるとシンガーソングライターで「平成生まれながら昭和歌謡曲を愛する」という人だとか。前から名前だけは知ってましたが、その人が昨年出版した本です。

 オビの言葉としては「ネット世代が聞く昭和の音楽 キャンディーズ、松田聖子、小泉今日子……。定番から知られざる一曲まで、リアルタイム世代にも後追い世代にも自信をもって紹介する日本の名曲の数々。」とのこと。

 平成生まれのこの方が昭和歌謡に興味を持つきっかけになったのはサザンオールスターズ。中一の時にサザンのファンになり(それは2004年のこと)、それ以来サザンの全アルバム、桑田佳祐のソロ、原由子のソロ、桑田佳祐の他アーティストへの提供曲まで隅々まで聞いていたとか。

 それがきっかけで「サザンがデビューした1978年はどんな歌が流行っていたのかな?」と調べたところ、キャンディーズの「微笑がえし」に出会い「なんてキュートなんだろう」と、その頃の歌謡曲にはまっていったのだとか。

 ネット世代だと、YouTubeで様々な音楽を検索したりするのでしょうが、特に好きなアーティストが特定していない場合は順序だてて聞くとか、同じような雰囲気の歌手の曲を聞くとか、当時の状況を知っている人が分類するような聞き方ではないのでしょうね。

 なので、この本に出てくるのも特にヒットしてない曲もあり、びっくりするような曲、私も知らない曲もあります。ヒットしたとかしないとか、実は何かのオマージュだとか、ある曲のアンサーソングだとか、アレンジが洋楽のもろパクリだとか、そういうのは関係ないのでしょう。自分が聞いて気に入ればそれでよいというのは、面白いと思いました。音楽の楽しみ方としては、正しいのだとも思います。

 この人のいいところは、なんといってもスペクトラムのファンだということ。スペクトラムとか新田一郎とかいうのがちょくちょく出てきますが、曲としても「FLY」が取り上げられてますし(彼女はこれが一番好きだそうです)、堀江美都子の「茅ヶ崎メモリー」ジュリーの「渡り鳥はぐれ鳥」、香坂みゆきの「流れ星」なども大好きだというのは凄いです。ちなみに新田さんのソロでは「自由はすぐそこに」がイチオシだとか。世間一般の評価がどうだとか、ヒットしたかどうかとか、そういうのではなく自分の耳で聞いて評価していくのは、ある意味海の底の沈没船から宝箱に残された財宝を探し出すような楽しみがあるのかも。(沈没船というのはあまりよい表現ではないかもしれませんが)

 他にこの本で取り上げられてて、「おっ!」と思った曲は、高見知佳「シルエット」、森川美穂「教室」、川島恵「ミスター不思議」、小野香代子「さよならの言葉」、キャンディーズ「待ちぼうけ」、ラジオっ娘「茅ヶ崎サンライズ」、荒木由美子「渚でクロス」、神田広美「ドンファン」、秋川淳子「ドンファン」など。これらは私も好きな曲なのですが、特にヒットしなかった曲も多いので、こういうのが出てくるのが面白いと。

 私も発売当時は知らずに、すごく後になってから聞いて気に入った曲は色々あります。たとえば、橋幸夫「あの娘と僕」、森まどか「ねえ・ねえ・ねえ」、石川セリ「八月の濡れた砂」、愛川欽也「死ね死ねブルース」、「ソウル怪人二十面相」(アーティスト不明)、西玲子「荷馬車にゆられて」、大滝裕子「ミリオンキッス」、エミージャクソン「涙の太陽」、平岡精ニとブルーシャンデリア「謎の女B」、若林豪「花のお江戸のすごい奴」、杉良太郎「江戸の黒豹」、ハイファイセット「スカイレストラン」、タンゴヨーロッパ「ホンダラ行進曲」、マザーグース「ミュージシャンをやっつけろ」、上田知華「秋色化粧」などなど。

 橋幸夫先生の「あの娘と僕」なんてのは、学生時代の深夜に寝ながらラジオを聞いてたら「元祖トロピカル」という特集でこれがオンエアされ、あまりの気持ち悪さに眠れなくなってしまったくらい。「謎の女B」は3年ほど前に運転中のラジオで聞いたのですが、まじめにやってるのか笑わせようとしてるのか、とにかくこれも気味が悪くてすっかり気に入ってしまいました。

 なので、ヒットチャートをリアルタイムで聞いてた世代が「あの曲は売れたけど、次に同じような曲出したら売れなかったね」なんて知ったかぶりで言うことを気にせず、誰も注目してない場所にいきなり落下傘で降りて地面掘り起こすようなことを若者がやるのは頼もしいというかなんというか。

 昭和歌謡のシングル盤は、作者も歌手もとにかくヒット飛ばそうとやってたので、どこかの誰かは気に入るようにできてるのではないかと思います。人の好みはそれぞれですが、ヒットしてない曲にもスポットライトを当てる企画は評価します。ただ、1978年というワードが出て来たのに「石川ひとみ」の「い」の字も「ひ」の字もです、また最後まで「まちぶせ」の「ま」の字も話題になってないのが残念。まあそこは好みの問題でしょう。いずれにしても、この方には第二弾も期待します。

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