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話題の書「女帝 小池百合子」読みました

2020年07月29日 22時40分24秒 | ブックレビュー
 
 先月の初めにこの本の評判を聞いて、都知事選の投票までに読もうと注文したところ、結構売れてたのか届いたのは6月末。投票まで1週間しかなかったので、読み終えるには間に合いませんでした。が、これを読んでから選挙結果を見たら、ムカムカ来て眠れなくなったと思われるので、それでよかったかも。

 ちなみに本のカバーは小池都知事の顔写真ですが、もうまともにこの人の顔は見られなくなったのでカバーは外してます。ただし、本の内容は滅茶苦茶面白いです。構成も良いし、文章も読みやすいので、読み始めると止まらなくなります。

 カバーの言葉は、「女性初の都知事であり、女性初の総理候補とされる小池百合子。「芦屋令嬢」、破天荒な父の存在、謎多きカイロ時代。キャスターから政治の道へ。男性社会にありながら常に「風」を巻き起こし、権力の頂点を目指す彼女。誰にも知られたくなかったその数奇な半生を、つきまとう疑惑を、百人を超える関係者の証言と三年半にわたる綿密な取材のもと描き切った。あなたは一体、何者なのですか-。」というもの。

 小池都知事自体がいっぱい本を出してて、Wikiによると単著11冊、共著9冊、対談等4冊など。この本の著者の石井妙子さんは、インタビュー記事なども含め膨大な資料を読み始めて間もなく手が止まってしまったと。要するに彼女がこれまで書いてきたことは「あまりにも話が出来すぎている。あまりにも話の辻褄が合わない。あまりにも矛盾があり、腑に落ちないことが多すぎる。」のだとか。本人が書いた本や、その時々のインタビューでそれぞれ言っていることが違うこともあれば、毎回同じ話が出てくる場合は出来過ぎたネタで根拠が怪しいとか。

 この本の章立ては

序 章:平成の華
第一章:「芦屋令嬢」
第二章:カイロ大学への留学
第三章:虚飾の階段
第四章:政界のチアリーダー
第五章:大臣の椅子
第六章:復讐
第七章:イカロスの翼
終 章:小池百合子という深淵

というものですが、圧倒的に面白いのは、やはりカイロ留学時代の話。本の表紙でピラミッドの前で一緒に写真に映っている女性は、カイロで小池都知事とルームメイトだった方ですが、著者はその人に直接会って証言を得ただけじゃなく、当時の日記やその人が日本の母親に書き送った手紙などの膨大な資料を手にしたので、そこはすごく詳細です。

 小池都知事は父親が色々と悪評のある人でしたが、そのファミリーヒストリー系が第一章ですが、そこは謎と推測の部分も多くてあんまり興味なく、第四章以降の政治家になってからは一応私もリアルで見てた部分が多いので「ふ~ん」と。ただ、これまであの人の何を見てたのだろうと反省はします。

 気になる「カイロ大学は卒業したのか?」という点ですが、この本では様々な資料を基に綿密に検証されています。その辺知りたい人はこの本を読んで貰うのがいいのですが、日本で暮らす、あるエジプト人女性が語ったという言葉が印象的。「たどたどしい日本語で、『私、東大出たよ。一番だったよ』と言われたら、日本人のあなたは、どう思いますか。東大、バカにするのかって思うでしょ。」と。

 なお、小池都知事本人は、「エジプトの名門校として知られるカイロ大学を、正規の四年で卒業することのできた最初の日本人であり首席だった」と何度となく述べているそうですが、そもそも最初の著書には「一年目は留年して」と本人が書いてると。それで他の資料と合わせると入学年と卒業年が合わなかったり。

 また「首席で卒業した」という一方、「テストではカンニングをしてもアラビア文字が書けないので引き写すことができなかった」と自著で書いてます。その程度の語学力だということで、たまには本当のことも書くような。

 また、あまり知られてませんが、この人はカイロ留学時代に一度結婚してます。自著他で結婚の理由を「第四次中東戦争が始まって心細かった」と語ってるそうですが、結婚生活を始めたのは1973年の2月で、戦争が始まったのはこの年の10月。そして同じ10月にカイロ大学の二年生に編入したのですが、「戦争を体験した」「入学式は匍匐前進だった」というのが言い分。同時期に入学した人に取材したところ、入学式で匍匐前進を習ったという人は一人もおらず、カイロ大学構内で数万人が匍匐前進を習えるような敷地もないと。

 いちいち挙げるとキリがないですが、対談記事の定番ネタが「飛行機事故を二度回避したという強運物語」。一度目は商社マンの通訳としてリビアに行った際、1日滞在を延ばしたら、元々乗る予定だった飛行機がイスラエルの領空を侵犯したとして戦闘機に撃墜されたと。しかし、その時期にそのような事故は起こっておらず、別の時期にそういう事件はあったが話が適当過ぎると。もう一つはカイロ大学を卒業して帰る際に帰国を延ばしたら、元々乗る予定だった飛行機がバンコクで工場に突っ込み全員死亡したと。この事故は確かにありましたが、前述のルームメイトの人はその時一緒にいて当時その飛行機に乗る予定だったという話を聞いた記憶がないと。この「二回命拾いした」という話は、都知事初当選後にNHKテレビ「あさイチ」に出演した際にも言ってたそうで、NHKも朝から全国にウソを垂れ流してはいけませんね。

 また、小池都知事は「自宅で母を介護し看取った。その経験を政治に活かす」と言ってて、「自宅で親を看取る」という本も出してますが、自宅介護の期間は11日間。まぁこれはウソではありませんが…。

、それにしても、この本を読むとこの人のキャスター時代の湾岸危機の人質事件への関わり方、議員時代の北朝鮮拉致事件への関わり方、環境大臣時代のアスベスト被害者に対する態度など、その辺はちゃんとニュースを見ておくべきだったろうと私も反省してます。もっとも、そのメディアでの取り上げ方も相当問題あったと今ではわかりますが。

 ちなみにその湾岸危機の頃に、月刊テーミスにてエジプト考古学が専門の吉村作治先生は「(小池の)カイロ大学首席卒業はありえない」とコメントしてたとか。その辺の人はみんなわかってたのでしょう。国会議員になり大臣も経験し、今は都知事ですからカイロ大学も口裏を合わせてるのでしょうけど、どこかで滑り落ちたらみんな手のひら返すのではないかと今から注目してます。この人がただの女性タレントなら、経歴詐称しようが話を盛ろうがどうでもいいのですが、国会議員だったし大臣もやったんですよね。政界でも、防衛大臣まで努めた人が実はとんでもないウソツキだった、あのとき任命したのは誰だと言われたくないためにかばってるケースもあるのでしょう。

 と、この本を一生懸命読んだ私は埼玉県民。海は無いけど夢はある、しかし東京都知事選挙の投票権はないというものですので、都民の皆さんにはこの本をちゃんと読んでいただきたいと思う次第です。いや、それにしても面白かったです。膨大な資料を読み込んで、あちこちで断られながら綿密な取材をし、わかりやすくまとめ上げた著者の方にアッパレをあげましょう。
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