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読書感想「明日の子供たち」有川浩

2018年06月07日 14時26分36秒 | 乱読本感想
幻冬舎文庫 2018年4月10日


★5

読み始めて、ちょうど行く神戸への移動中も読んでいた。
神戸のホテルで読み終わった。
最後に解説を読む。
“笹谷実咲”さん
彼女の自己紹介、そして作品ができるまでのいきさつが語られる。
最後の最後に日付と“神戸医療福祉大学社会福祉学部4年生”の文字。
作品の中に出てきた「手紙」を書いたその人が神戸の大学にいた。
そして私も神戸にいるという偶然。
それは小さな偶然だけれど、笹谷さんと有川浩さんの出逢いは運命的な出逢いだったのだろうなと思えた。
児童養護施設で暮らす女の子が自分たちの境遇を世間の人達は知らないということに怒って、知ってもらうためにはどうしたら良いかと考えた。
そこで有川浩という有名な作家さんにそれを伝え、作品にしてもらおうと手紙を書いた。
ここで有川浩を選択したことは彼女にとっても私たち読者にとってもラッキーだったな。
有川さんの優しい目線と的確に物事を伝えるという姿勢からこの作品ができあがった。
施設の子供たちや先生たちの仄かなラブストーリーまで盛り込まれている。
有川浩のラブストーリーは甘すぎることもあるが、ここでは仄かに甘く爽やか。
手紙の女の子の「施設にいるからといって可哀相ではない」というその気持ちが爽やかなラブストーリーに象徴されている感じがした。
でも、この作品はラブストーリーではない。
児童養護施設の子供たちや先生を描くことで、可哀相ではないが過酷な現場もみえてくる。
困難はどこにでも転がっているが、やはりそこにはそれが多い気はする。
でも困難が不幸ではないと解る。
それを乗り越える努力が出来る人達は幸せかもしれないとまで思える。
新人職員の三田村慎平、指導係の和泉和恵、先輩の猪俣、上司、それぞれの考え方が交錯するがそれは子供たちへの“思いやり”に満ちている。
子供たちもそれをちゃんと理解している。
聡明な職員と聡明な子供たち、かなり都合良く出来過ぎ!
和泉や猪俣の過去の悔恨がそれなりに清算できる場面は特にそう思ったが、事実を踏まえての創作なのだから、それならば不幸でない創作が良いと思う。
実際に、現実の笹原さんは可哀相ではない!と言っているのだから。
また、施設長の福原さんの本にまつわる話は本が好きな有川さんの思いなのだろう、本好きの私も何となくそう思える。
本を読む幸せ、本が与えてくれる幸せに感謝。

ついでに戯言を
これ、ドラマになったら良さそう。
新人職員の三田村慎平くん、竹内涼真くんがやったらキャラ的にぴったりだと思う。
今やってる「ブラックペアン」のイメージで。
いや、別に、ファンではないですが、



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