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読書感想「何者」朝井 リョウ

2018年02月28日 08時52分37秒 | 乱読本感想
何者

新潮社 2015年6月26日


★4  2017年2月27日

ずっと前に、映画化されたタイミングで買っていたものだろうが、今まで読む機会が無かった。
いや、何となくどこかで読みたくないと無意識のうちに思っていたのだろう。
いったん手に取るが、今日はこの気分じゃないと何度か思った記憶がある。
カバー裏の【「就活」と「SNS」“本当のこと”はあるのか?】
その言葉に、何となく苦さと棘を感じたからだと思う。
年代と選んだ職業によるものだろうが、自分自身も子供達も実のところは就活と言える程のことはしていない。
でも、世間で言われている就活とはメンタルを削られるものだと、知らないがゆえに妙に過敏になっていた。
読み始めて、想像通りに話が進む。
やっぱり苦さと棘がある。
ただ、典型的なパターンに分けられたと思われる若者達の言動に興味が湧く。
興味で面白く読んでいける。
彼や彼女の本音の吐露。
相手を傷つけ、自分も傷ついているのが分かるが、意外にみんなしぶといなと、ちょっと安心もした。
あと、意識して、もしくは無意識に“何者”になろうとするのは若者の特権なのかなとも思った。
現実を知らないから“何者”を目指すのか?
現実が厳しいから“何者”に逃げるのか?
と、“何者”になろうとも思わないで“何者”にもならないで生きてきたおばさんとは一線を画した話だったが、異世界の話として面白かった。
何者=ひとかどの人と解釈した。
映画化と言うことで表紙には出演の6人の役者さんの顔がある。
一応、その役者さんを当てはめて読み始めたけれど、どうにもぴんとこなかった。
唯一、光太郎役の菅田将暉君だけは納得できた。
他の役者さん、佐藤健、有村架純、二階堂ふみ、岡田将生、山田孝之、そうそうたるメンバーなので映画を観れば彼らがちゃんとその役をこなしているのが観えるかもしれない。
でも、苦さと棘が増すような気がして、観えない。

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