途中下車してときどき嵐

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「美しい傷」サンチュカップルに贈る妄想小説第2弾

2012年05月23日 14時32分47秒 | サンチュのお話

私の妄想小説第2弾。

本当はファンボさんについて書きたいんだけど、筆が進まない状態になってるの。

今朝、たまたま観かけたヒョンジュンくんの最近の映像。

ふと目が行ったのが彼の右腕の傷跡。

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まだ、残っていたのね、と。

ウギョルの時ははっきりと分かり、ジフの時も残っていた傷跡。

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先日久しぶりに新婚旅行編を観たら、その傷がやけに生々しかったので新婚旅行の時にケガをしたのかしら?と思ってたの。

あっ!傷を題材に何か書けないかしら、と。

「花男」のOST「僕の頭が悪くて」の中にも「???? ????(アルムダウン サンチョガタ )」 「美しい傷のようで」という歌詞が出てくるし。

この傷、書く前にもう一度調べてみたけれど、ちょっと微妙。

新しい傷なのは間違いないけれど、新婚旅行中かどうかまでは分らなかった。

でも、ストーリーの中では新婚旅行中についたことに。

どうせ、妄想小説じゃん、ってことで。

「美しい傷」

僕の右腕に小さな傷跡がある。
鏡に映さなければ見えない位置にあるのでいつもは忘れているが、自分の写真とか映像を見ている時にたまに気づくことがある。
もう薄くなっているが、あの時の傷跡だとわかる。
僕の心にもこれくらいの傷跡がある。
もう薄いし、たまにしか気がつかないけれど・・・

でも、この傷がついた時のことはっきり覚えている。
「私たち結婚しました」の最初のロケの時だ。
あの日の僕は寝不足と、なにより憧れの人と一緒に仕事ができるということでちょっと変だった。
ものすごく嬉しいのに恥ずかしくて緊張していた。
要は注意力散漫状態だった。
揺れる船の上で何かに当たったらしい。
「あっ!」っと僕があげた声に彼女がすぐに反応して「大丈夫?」と聞いてきた。
「大丈夫です。ちょっと当たっただけです。なんともないです」とあわてて返事をした。
実際、痛みは感じなかった。
と言うより、「大丈夫?」と僕を見上げた彼女の顔が思ったより近くにあり、目が合ってしまったので痛みなんか分らなかったのだ。
後で見ると思ったよりもひどい傷だった。
彼女が「よく見るとたくさん傷跡があるし、ヒョンジュンはよくケガをするのね。これからは夫人としていつも絆創膏を持っておかなくっちゃね」と言った。

ちょっと傷をつくりたいなと思う僕がいた。
それからしばらくして僕の肘に小さな擦り傷ができた。
もちろん意図したことではないけれど。

さっそく彼女は用意した絆創膏を僕の肘に貼ってくれた。

僕の為に本当に用意してくれていたんだと、嬉しかった。
シャワーの時も気を付けていたけれど、数日後にそれがはがれてしまった時にはちょっと辛かった。

僕たちは急速に親しくなった。
と、僕は思っているんだけれど・・・彼女は気まずいとよく口にする。
でも、ちょっと恥ずかしそうな顔をしながら僕の目を見て話を聞いてくれる。
そして笑ってくれる。
僕、そんなに面白いことを言った!?
僕は彼女に笑ってほしくて一生懸命話をする。
今の僕は僕の人生の中で一番饒舌だ。
僕は彼女との仕事の日が待ち遠しい。
会って話をするのが楽しくてたまらない。

僕の気持ちはどんどん彼女に向かっている。
彼女に触れたい。
手をつなぎたい。
自分の気持ちを仕事だからということにして、彼女の腕をつかんでみるけれど、するりとかわされる。
彼女の肩に手を掛けたい。
僕の手はオズオズと彼女の肩にのる。
掌全体で彼女を感じたいけれど、最初は我慢だ。
そっと置く。

ウェディング撮影の日。
久しぶりだったので最初はちょっと恥ずかしくて気まずかった。

でも、彼女のウエディングドレス姿を見たとたん僕はヤバいと思った。
一瞬で全開になった好きという気持ちを抑えて今日一日仕事ができるのか?
僕の気持ちなど分らないカメラマンたち!どうしてくれるんだ!!!
ポッポの写真だって!?
さっきの撮影で何度も無意識に手をつなごうとした僕。
いったんつないだ手を握ったまま離さなかった僕。
僕の体は僕の理性より僕の感情のままに動き始めているのに・・・
ここでポッポなんかしたら、僕はどうなってしまうか分らない。
でも、ポッポは・・・たまらなくしたい。
この日、僕は自分の気持ちが怖かった。

急速に彼女に向かった気持ちが生まれて初めての感情だったから。
それまでだって彼女を好きだと思っていたのに、今日のこの気持ちは・・・
僕が今まで恋だと思っていたものは・・・そんなの恋じゃなかった。
今の僕の状態を恋に落ちたと言うんだろうな。

それからの僕は彼女に気持ちを伝えようと一生懸命だった。
嬉しそうにしている彼女をみると伝わっているんだろうと思うけれど、彼女の本音は分らない。

大きなドラマの仕事が入った。
それまでも寝る時間がないほど忙しかったので、さすがにウギョルの仕事は無理だと判断され降板することになった。
でも、彼女と今の状態で終わるのはどうしても嫌だった。
もっとやりたいこと、いや、しなければならない、言わなければならないことがある。
無理やり入れた仕事は本当にきつかった。
彼女も、弱音は見せない人だけれど、疲れ切っているのが分かる。
そんな中でも、僕が無理に望んだ仕事なのに自分が望んだ仕事だからと言い、頑張っている。
僕はと言えば、僕が望んだことなのに時々めげそうになる。
気持ちはあるけれど、体がもうついていかないのだ。
でも、彼女に申し訳ないという気持ちと彼女が頑張っているのに僕も負けられないと、そんな気持ちで仕事をこなした。
違うな、そんなのは小さな理由だ。
僕はただただ彼女と一緒に居たかったんだ。
話をしたいんだ。
触れあっていたいんだ。
それで僕は笑える。
今までで一番幸せに笑える。
僕はできるなら絆創膏のように彼女に貼りついていたかった。
すぐに剥がれるものだと知っていたけれど。

最後の2週間はお互いを思う気持ちが濃密に溢れている中、ほとんどの時間を一緒に過ごした。

その中でちゃんと理解していった。

この仕事が終われば大人の事情ってやつが待っていること、そして今の僕に彼女と一緒に歩む力が無いことも。
僕はもう自分のしたいことがあるからと家出した少年ではなかった。
でも、自分のしたいことを諦めるほどヤワじゃない。

僕は言葉にはできない約束を彼女にした。

こんなにも好きな気持ちは彼女にきっと伝わっていると信じて。
僕は僕に残る傷跡を「美しい傷」として残すつもりはない。
あいにく僕はジフじゃないもんでね。
僕は現世でもライオンになる。

王者になる。
そして、慎重に、かつ迅速に、僕は獲物を狙うように彼女に向かっていく。

コメント (8)
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