徒然なるままに、一旅客の戯言(たわごと)
*** reminiscences ***
PAXのひとりごと
since 17 JAN 2005


(since 17 AUG 2005)

CRMは機能しているか

CRM(Crew Resource Management)が上手く機能しているか、少しだけ気にしてレビューしてみるとよいかもしれません。

1021/16MAR の運航では、まさかと思うミスが起こりました。当該便の Cabin Crew 構成は KPN の所属だったそうです(KPN: 契約制客室乗務員として採用された新人を配属させるために会社が作った組織)。先任はSU、CD2が1名、後の4名はATで、乗務経験の少ない人員が多い編成だったようです。プロである以上、経験を云々すべきではないのかもしれませんが、それでも、経験豊富な6名の編成と、経験が少ない人員が多数を占める6名の編成とでは、個々人のCRMに対する意識に差が生じることは否めないと思います。本来なら、編成に占める経験年数が少ない人員の構成比を(機種毎に)定め、運用すべき(以前はそのような内規があったと記憶しています)なのでしょうが、会社の労務政策の一環として KPN の誕生と共に規制が撤廃されたようです。

ここで、2つのポイントを考えてみたいと思います。
1.Cockpit Crew との連携
2.Cabin Crew の航空従事者としてのライセンス


Cockpit Crew との連携

1021/16MAR には3名の運航乗務員が乗務していました。と言うことは、Check か Observe かの何れかであった可能性があります。つまり、ほんの少しだけ、Cockpit には Cockpit の事情がありました。
以前は、合同ブリーフィングがオペセンで行なわれていたものが、Ship side や Cabin で行なわれるようになり、その内容・密度に変わりがないのか、気になるところです。今回の場合、PIC は Cabin Crew の編成を見て「う~ん、明らかに経験が浅そうだ」と気が付き、それなりの配慮をすべきだったと思います。あるいは、配慮をしていたのかも知れませんが、それが的確に機能はしなかったのかもしれません。
Door Close 直後の「Ready for Block Out」や「Cabin, Ready for Takeoff」の procedure が最近変わったように見うけられ(あくまでも1PAXの視点から観察した想像の域であり、信憑性はありません)、Cabin Crew の work load がまた増えたように思われます。そのようになってしまったのは、今日の社会情勢のためであり、致し方ないことで「大変だろうな」と想像されます。
Cockpit としても、Taxing 中の着席徹底という Cabin Crew への指示だけでに留まらず、Cabin の編成や旅客の構成要素も考えて Cabin Crew との意思疎通を図るべきでしょう。まさか(このまさかという坂は昇りきることが困難です)と思うようなことを確認してみても良いでしょうし、このような客層・客況だから、後でふさわしい PA 入れるでも良いでしょう。
LOFT の良い題材にもなるでしょうし、Crew 一人一人がCRMのあり方を再認識してほしいものです。

Cabin Crew の航空従事者としてのライセンス

Cabin Crew には保安要員としての大事な役割があります。Cockpit Crew は言うまでも無く「航空従事者としてのライセンス」を保有して乗務しており、しかも、そのライセンスには機種毎に型式限定があります。きょうは 777、明日は 747-400 と異なる機種を操縦できません。また、大は小を兼ねるよろしく、 777 の型式限定を持つ pilot が、それより小型の 767 を操縦できる訳でもありません。それが、自動車運転免許と大きく異なるところです。機種の型式限定に加え、空港の特殊性を考慮した資格も加わります。以前は路線資格と言って、PIC は路線毎に資格審査とその更新が必要でしたが、現在は少しだけ事情が変わりました。が、運航に当たって特殊性のある路線は、当該路線の資格が必要です。
同じく空を飛ぶ者として、Cabin Crew はと言うと、現時点では社内の乗務可能機種資格制度こそあれ、我が国では「航空従事者としてのライセンス」を必要としません。つまり、KPN の方々も、767, 777, 747 等々、複数機種の社内資格を有していれば、1日目は 777 で○×泊、2日目は 767 で基地へ戻るといった乗務スケジュールも可能です。
世界的にみると、ICAO (国際民間航空機関)に加入している 188 ヶ国の約半数が、国としてのライセンス制度を持っています。
我が国でも、そろそろ、客室乗務員に「航空従事者としてのライセンス」制度を導入したらどうでしょうか。勿論、「ライセンス制度」が導入されれば、相応のチェックをパスしなければなりませんので、客乗の方々の負担も増えるでしょうが、“航空のプロ”としての自覚と誇りを持って日々の乗務につけることになりますし、その乗務資格・乗務内容は(専門職として)航空法の縛りを受けますので、会社は経営合理化のお題目で勝手なことはしにくくなると思うのですが....。
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最近の某社経営・労務は、林立する Cb の隙間を回避するかのごとく、法の解釈の隙間をすり抜ける技を持っていますので、油断は出来ませんが....。
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NH の Cabin Crew の方々も、労働条件は決してよろしくないようです。
国際的にも客乗を専門職として位置づける流れが大きくなっている中で、本邦が後進国とならぬよう、制度面を考え直してはどうでしょうか。

国交省も、「業務改善命令」などと、ある意味、相手任せで自分達は知らぬ存ぜぬの考え方ではなくて、自分達は何が出来るのかを考えてみたらどうですか?
JCAB == お役所的な集団、という図式だから、JCAB Check FLT 時に Auto Pilot 入れてうとうと眠られる、なんてことが起こるのですよ。(※それにしても青社のあの PIC は大物だ。あれも機種は B6 だったっけ....)。

駄文、失礼いたしました。
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