徒然なるままに、一旅客の戯言(たわごと)
*** reminiscences ***
PAXのひとりごと
since 17 JAN 2005


(since 17 AUG 2005)

えらい(立派)

先の投稿の続報です。

朝日新聞( asahi.com )の記事によると、当該便の PIC (正確には PNF でしょうが)は Tower に確認していたようです。さらに、Dispatch Briefing 時に NOTAM check で情報を正しく把握していたように記されています。
Cockpit side からするとプロとして「当たり前」のことなのでしょうが、やるべきことをちゃんとやっていた、と言うことです。

このところマスコミで叩かれまくって、某局の局長までが踏み込んできて Dispatch Briefing で滑稽なこと言われて、歯車が狂わないければ良いのだが、と懸念していたのですが、 as PAX の贔屓を許していただけるなら、「現場はえらい(立派)」と思わず言いたくなってしまいます。


ATC には付き物なのでしょうが、何とかお互いの先入観・都合良い解釈を払拭することは出来なかったのでしょうか。
その時点での Traffic がどの程度の混み具合だったかは不明なので、PAXの勝手な言い分になってしまいますが、「日本語で申し上げます」の前置をして、「 NOTAM の Runway Close はキャンセルされたのでしょうか?」などと言って、 Cockpit side は何を懸念しているかを伝えていれば、 Tower も「あれっ?」となっていたかも知れません。このような“…たら、…れば”は無意味であるのですが...。


羽田で管制ミス、閉鎖滑走路着陸 担当者全員が「失念」 - 朝日新聞 (asahi.com)
 羽田空港で29日夜、2機に対し、管制官が過って工事のため閉鎖中のA滑走路への着陸を許可した。1機はそのまま着陸し、もう1機は機長が着陸をやり直した。当時、管制塔などで業務にあたっていた管制官18人全員が滑走路閉鎖を忘れており、2人の機長が計3度、確認のための問い合わせをしたがミスに気づかなかった。責任者も当日の確認を怠っていたという。国土交通省航空・鉄道事故調査委員会は30日、調査官3人を派遣して原因調査を始めた。

 当時、滑走路では工事の準備作業などは始まっておらず、2便の乗客らにけがはなかったという。

 国交省は、航空機や鉄道の相次ぐトラブルを受け、各社に緊急の安全総点検を指示している。北側国交相はそのさなかに起きた省内のミスを問題視し、急きょ5月2日に、羽田空港の管制機関を査察することを決めた。また国交省は18人を業務から外し、詳しく事情を聴くとともに、再発防止のために再教育をする。同省東京空港事務所は日航に対し、事実関係を伝え、謝罪した。

 同省の説明によると、A滑走路では29日午後11時ごろから滑走路灯の工事を予定しており、同9時半に閉鎖された。ところが、帯広発の日航1158便(乗客・乗員計51人)に管制官が着陸許可を出し、同便は同39分にA滑走路に着陸した。さらに41分ごろ、新千歳発の日航1036便(同161人)も着陸許可を得て高度300メートルまで降下した。しかし、午後10時から業務につく別の管制官が閉鎖に気づいて指摘。管制官はそのまま降下を続けるよう指示したため、機長は自らの判断で再度上昇し、改めてC滑走路に着陸した。

 帯広発の便の機長は2度、新千歳発の便の機長は1度、それぞれ管制官にA滑走路への着陸でいいのか問い合わせたが、いずれも「間違いない」などの答えだった。両便の機長はいずれも出発前に滑走路閉鎖をしらされていたという。

 工事による閉鎖は管制官全員に対し、1カ月以上前に通知されていた。29日にも、責任者に当たる次席管制官が再度、滑走路閉鎖を周知するはずだったが、忘れていたという。閉鎖中の滑走路への着陸は事故につながりかねず、国交省は航空法が定める「重大インシデント」にあたるとしている。

 30日に、記者会見した古川義則・管制課長と古川一義・東京空港事務所次長は「重大なトラブルであり、心からおわびしたい」と陳謝した。

2005年04月30日20時04分 - 朝日新聞( asahi.com )
機長の3度の問い合わせにもミス気づかず 羽田管制官 - 朝日新聞 (asahi.com)
 羽田空港の管制官が29日夜、日航機2機に、工事のため閉鎖中のA滑走路への着陸を指示した問題で、閉鎖を認識していた2人の機長が計3度にわたって確認のため問い合わせたにもかかわらず、管制官はミスに気づかず、指示を変えなかったことがわかった。管制官は閉鎖を知らされた後も、1便にそのまま降下するよう指示したが、機長は自らの判断で着陸をやり直していた。

 国土交通省は、重大な管制ミスとして再発防止に乗り出した。北側国交相は事態を重く見て急きょ、5月2日に羽田空港の管制機関を査察することを決めた。

 同省によると、A滑走路は滑走路灯の工事のために29日午後9時半に閉鎖された。

 着陸態勢に入っていた帯広発1158便の機長は、同36分と38分、A滑走路への着陸でいいのかを確認したが、管制官は2度とも「間違いない」などと回答した。このため同39分に指示通り、A滑走路に着陸した。

 一方、新千歳発の日航1036便は、閉鎖直前の同26分に上空でA滑走路への誘導の指示を受けた。同便の機長も「A滑走路でいいのか」と問い合わせたが、別の管制官が「その通り」などと回答していた。

 この管制官は同42分、夜勤のために待機していた管制官から滑走路閉鎖を指摘された。その後、1036便の機長が着陸やり直しを求めたものの、そのまま降下するよう指示。同便の機長は自らの判断で着陸やり直しを決め、左旋回したという。

 機長は航空法で原則として管制官の指示に従うよう定められており、拒否するのは極めて異例。

 1036便に降下を続けるよう指示した理由について、管制官は「旋回の指示をためらってしまった」と説明した。

 両便の機長はいずれも、国交省の調査に対し、「出発前の航空情報でA滑走路の閉鎖を確認していた」と話した。

 同省によると、管制官18人は業務開始15分前の同日午後2時半に打ち合わせをしたが、航空情報を担当する管制官は「特になし」としただけで、ほかのメンバーからも滑走路閉鎖の指摘はなかった。調査に対し責任者の次席管制官は「閉鎖というと深夜のイメージが強く、自分の勤務時間帯だという意識がなかった」などと話しているという。

2005年04月30日20時27分 - 朝日新聞( asahi.com )

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何を学ぶべきか?

毎度のことですが、事故やイレギュラーがあると、当該担当者の責任追及が先にたって、その背景にあるものを考えようとしない、この国の悪い癖が相変わらず直っていません。

殊に昨日など大型連休の初日であり、かつ週末とも重なっているので、“曜日感覚”が鈍ってもおかしくありません。私も、昨日昼間に出掛けたときには“土曜日”と勘違いすることが何度かありました。

チーム編成で交代勤務をしている管制官の皆さんは、Crew 同様に曜日よりも日付で考える傾向が強いことでしょう。

工事などの運用制限には“曜日指定”で発行されるものが少なくありません。そのような AIP SUPPLEMENT (航空路誌補足)を発行しているのは、国土交通省航空局であり、管制官も国土交通省の航空保安職員(国家公務員)である訳です。
航空局内で再発防止のために、責任追及ではなく、前向きな議論をしてほしいものです。

参考までに、JEPPESEN Airway Manual から該当する部分を抜き出してみました。

OPERATIONAL RESTRICTIONS AT (HANEDA) TOKYO INTL AIRPORT
Operational restrictions at (HANEDA) Tokyo INTL Airport will be placed as follow due to constructions.

5. From 1230 UTC 6 APR TO 2200 UTC SEP 2005, during hours between 1230 UTC and 2200 UTC on WED, THU and FRI, Rwy 16R/34L and Twy A1, A2, A3S, A3, A4S, A4, A5, A5N, A6, A6N, A7, A8, A9, L2, L3, L4 AND L7. (Diagram 4, 5)
Note: It will be available to taxi via cross Rwy 16R/34L other than closed Twy.

7. Remarks:
(1) Works by vehicles etc. will be conducted at the construction area as shown in the following diagrams.

Cockpit Crew 側は着陸準備で忙しいときであり、また、当局が「業務改善命令」とか査察とか、碌なことをしていないので、管制からの指示を「そのまま的確に read back する」という意識がいつもより強く働いてしまったのでしょうね。
精神的にゆとりがある状況で Operation していたならば、Approach 時点から幾度となく read back している Runway 34 left のフレーズに、『あれっ』と思い、(夜間の Cockpit 内では億劫かもしれませんが)10-8 や NOTAM RJTT を見直して、"Japan Air 1158, Runway 34L, cleared to land. Wind ..." との交信に、"Confirm, Runway 34L ?" の一言でもかけられたかもしれません。

権力的に上に立つものからの叱責や指示でミスを無くそうとしても、そのようなやり方では絶対にミスや事故は無くなりません。危険要因は、隙間を狙って潜り込んできますので。

羽田で管制ミス、閉鎖滑走路着陸 担当者全員が「失念」 - 朝日新聞 (asahi.com)
 羽田空港で29日夜、2機に対し、管制官が過って工事で閉鎖中のA滑走路への着陸を許可した。1機はそのまま着陸し、もう1機は着陸寸前に別の管制官が気づき、着陸やり直しを指示した。当時、管制塔などで業務にあたっていた管制官18人全員が滑走路閉鎖を忘れており、責任者も当日の確認を怠っていたという。国土交通省航空・鉄道事故調査委員会は事故につながるおそれのある「重大インシデント」に当たるとして30日、調査官3人を派遣して原因調査を始めた。

 国交省は、航空機や鉄道の相次ぐトラブルを受け、各社に緊急の安全総点検を指示している。北側国交相はそのさなかに起きた省内のミスを問題視し、急きょ5月2日に、羽田空港の管制機関を査察することを決めた。また国交省は18人を業務から外し、詳しく事情を聴くとともに、再発防止のために再教育をする。同省東京空港事務所は日航に対し、事実関係を伝え、謝罪した。

 同省の説明によると、A滑走路では29日午後11時ごろから滑走路灯の工事を予定しており、同9時半に閉鎖された。ところが、帯広発の日航機(乗客・乗員計51人)に管制官が着陸許可を出し、同機は同39分にA滑走路に着陸した。さらに41分ごろ、新千歳発の日航機(同161人)も着陸許可を得て高度300メートルまで降下した。しかし、午後10時から業務につく別の管制官が閉鎖に気づいて同機に着陸やり直しを指示し、C滑走路に着陸した。

 当時、滑走路では工事の準備作業などは始まっておらず、2便の乗客らにけがはなかったという。

 閉鎖中の滑走路への着陸は事故につながる恐れがあり、工事による閉鎖は管制官全員に対し、1カ月以上前に通知されていた。29日にも、責任者に当たる次席管制官が再度、滑走路閉鎖を周知するはずだったが、忘れていたという。

 30日午前、記者会見した古川義則・管制課長と古川一義・東京空港事務所次長は「重大なトラブルであり、心からおわびしたい」と陳謝した。

2005年04月30日12時23分

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