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アイヌの主食は鮭、なぜ捕るなと言うのか?・・萱野茂氏の主張(4・終)

2012-03-20 | アイヌ

引き続き、1988年に述べられた萱野茂氏の意見を紹介します。

本多勝一氏の「先住民族アイヌの現在」から引用します。

リンクは張っておりませんが、アマゾンなどでご購入になれます。


             *****

          (引用ここから)


アイヌは鮭のことを「シペ」と呼んでいました。

この意味は「シ」が「本当に」とか「全く」という意味。

「エ」というのは、食べるということ。

「ぺ」はものということです。

「シエペ」が「シペ」に聞こえるのであります。


アイヌは鮭のことを「本当の食べ物」と呼んでいたのであります。

アイヌは鮭を主食と考え、その捕り方にも自然の摂理に従い、資源が枯渇しないように努めてきたものでした。


どのようなやり方かと言いますと、産卵前のアキアジ=鮭はその日食べるに必要な本数だけを捕って来る。

冬越しのためとか来年再来年の分は産卵後のものを捕るようにします。

産卵後のものは脂が少なく保存に適しています。

これこそ自然の摂理に従って生活してきた典型的な姿であり、鮭達が自然の川床へ産卵すると4年後に戻ってくることをアイヌたちはちゃんと知っていたわけであります。


そのようなわけで、アイヌだけで暮らしていた時代は鮭が減ることはありませんでした。

そこへ後から来た日本人が一方的に作った法律、、字の読めないアイヌに一言の断りもなしに作った法律は、「内水面資源保護なんとか」というものでした。


そこでどのようなことになったかといえば、「アイヌが主食としてあてにしていた鮭を捕ってはならない」という。

アイヌに「鮭を捕るな」ということは、「死んでしまえ」という法律に等しいものであったわけであります。


わたしはしみじみ思います。

日本人ってなんてひどい民族であったのでしょうか。

先住民、アイヌ民族のことを全く考えてやろうともせずに、主食であるアキアジを捕る権利を平気で奪ってしまったのであります。


有史以前からアイヌが持っていたアキアジの捕獲権を、アイヌに返してほしいのであります。

北海道で沙流川一本くらい、自然産卵の川として、カラスもキツネもクマもフクロウもそしてアイヌも、自由に鮭を捕って食べられるとしたら、どんなに嬉しいことでありましょう。




ここで外国の例を二、三申し上げます。

アメリカ合衆国アラスカのイヌイット族(いわゆるエスキモー)の皆様は、先住民族の権利として鯨でもアキアジでも自分が食べる分は自由に捕っているのを見てきました。

カナダの場合、カナダ=インディアンの皆様も、カナダ政府は先住民族の権利として食べる分は自由に捕らせ、捕っているのを見てきました。

それからスウェーデンもそのとおりで、世界の多くの国々では先住民族の当然の権利として狩猟は狩猟、漁労は漁労として認めているのであります。


残雪の頃から初雪の頃まで魚の切れない川、、それが沙流川であり、アイヌにとっては食糧を貯蔵している「倉」と同じように思っていたのであります。

沙流川の左岸や右岸の山はといえば、針葉樹と広葉樹の混交林。

リス、テン、ウサギ、ムジナ、キツネ、鹿、クマ。

それにこれらの動物は針葉、広葉、混交林が大好きです。

その昔は鹿の群れが山いっぱい走っていました。

アイヌにすれば、山は自然の食糧貯蔵倉であったので、必要に応じて狩りに行き、肉を背負ってきました。

気候温暖、雨も少なく、雪も少なく、台風も来ない。

一回山か川へ行くと、その後は一週間か十日は食べ物に心配はありません。

そうすると、暇な時に何をしたかと言えば、男は彫刻、女は刺繍。

アイヌ民芸品というのは炉端から産まれた芸術そのものであるとわたしは考えているわけであります。

そして片方では老人たちはウエペケレという昔話で子どもや孫たちの家庭教師的存在。


アイヌ民話には暗さがありません。

話のおしまいに必ず出てくる言葉

「ネプアエルスイカ ネプアコンルスイカ ソモキノオアカン」

という言葉がありますが、その意味は

「私は何を食べたいとも、何が欲しいとも思わないで暮らしていた」ということです。


世界三大叙事詩と言われるユーカラが沙流川やその他のアイヌ社会で育った理由はこのように恵まれた自然の中で暮らせたからであります。


アイヌ民族の不幸は、西隣の日本国から、日本人がアイヌ・モシリへ土足でどかどかと入って来た頃から、口では言えない悲しいことばかり。

苦難の道が始まったものであることを知ってほしいのであります。


       (引用ここまで・終)

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