始まりに向かって

ホピ・インディアンの思想を中心に、宗教・心理・超心理・民俗・精神世界あれこれ探索しています。ご訪問ありがとうございます。

小さな声を聞いていたい・・・むつまじく在るためには。。

2008-11-23 | 心理学と日々の想い
祝婚歌 吉野弘

  二人が睦まじくいるためには
  愚かでいるほうがいい
  立派すぎないほうがいい
  立派すぎることは
  長持ちしないことだと気付いているほうがいい

  完璧をめざさないほうがいい
  完璧なんて不自然なことだと
  うそぶいているほうがいい

  二人のうちどちらかが
  ふざけているほうがいい
  ずっこけているほうがいい

  互いに非難することがあっても
  非難できる資格が自分にあったかどうか
  あとで疑わしくなるほうがいい

  正しいことを言うときは
  少しひかえめにするほうがいい
  正しいことを言うときは
  相手を傷つけやすいものだと
  気付いているほうがいい

  立派でありたいとか
  正しくありたいとかいう
  無理な緊張には
  色目を使わず
  ゆったり ゆたかに
  光を浴びているほうがいい

  健康で 風に吹かれながら
  生きていることのなつかしさに
  ふと胸が熱くなる
  そんな日があってもいい

  そして
  なぜ胸が熱くなるのか
  黙っていても
  二人にはわかるのであってほしい




先日知り合いの家におじゃましたら、この詩の小さな額が飾ってあった。

そういえば20年前、わたしが結婚するときに、おばからこの詩をいただいたことを思い出した。

おばが、結婚祝いにと、この詩を巻紙に書き付けて、届けてくれたのだった。

「これは平和の民のお守りなの。」と言って、ホピインディアンのターコイズのペンダントと腕輪も添えてくれた。

たんすにしまっていた巻紙は、いつのまにかどこかにいってしまったけれど、正座をして、家宝か秘伝の書でも手渡すようにおごそかに手渡していただいたその巻紙の筆跡は、忘れられない。

結婚おめでとう、と言って、たたみに手をついて、礼をされた。

たいていの親戚は、わたしというよりわたしの横の父母におめでとうと言っているように感じられたのだが、そのおばはちょっと違っていたということだ。

でも、何にむかっての礼なのか、その時はまだわたしは全然わからなかった。

今ならわたしも少しはわかる。
まわりのすべてに対して、礼をすることが生きる作法だと。



北海道のG8サミットが終わった。

NGOサイドを応援していたわたしは、いろいろなことを考えてすごした。

世界経済の勝ち組を自認する国々の、そのまた勝ち組を自認する政治家たち。
あいかわらずのメディア。
いまひとつ伝わってこないNGOサイド。

無力感というのではないけれど、現実世界にこれでもかと誇示されあう諸力のすさまじさに食傷したというか、言葉をなくしてすごした。

アイヌの生きる土地、北海道は、アイヌモシリ、人間のすむ静かな大地と呼ばれてきた。

大地の上には、大きな声もあれば、小さな声もある。

書き文字をもたない文化は、小さな声の文化だろう。

小さな声で語られる、静かな大地が、今もそこにある。

小さな声を小さな声のまま、聞く人であれればと願う。

空想でも、思い入れでも、正義感でも、偽善でもなく、語られているものをありのままに聞く者でありたい、と願っている。

小さな声で語ることができる人であれればどんなにいいだろうかと思っている。

(7月記す)
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2 コメント

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Unknown (つわぶき)
2016-10-22 16:28:09
本日、二つめのこめんとを。。。

わたしも 34年まえ、くらいに
この 「祝婚歌」 をおくられ、

こころの中と 現実の生活の乖離に
くるしみつつも
今 こうしている日が 来た。

(とりあえず、めでたし、めでたしという・・・)

たくさん コメントをしてしまい、すみません。

すてきな写真ですね。
これから 目にする季節に、やっと 秋に・・・
返信する
コメントどうもありがとうございました。 (veera)
2016-11-09 00:33:12
つわぶき 様

コメントどうもありがとうございます。

すっかり秋らしくなってきましたね。
わたしは、この季節が一番好きです。

>くるしみつつも 今 こうしている日が 来た。

お気持ち、わかるような気がします。
今っていう時は、ほんとうに、リボンのように細い運命の道が連れてきてくれた、貴重な貴重な宝物なのではないかと、わたしも思っています。

過去もすてきだったし、今もすてきだし、そしてきっと未来も、すてき。。

与えられた今という時に感謝しています。
返信する

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