今回は、フィ二アス・ニューボーンJr.がRCAに残した4作の内の珠玉の2作の内の”ファビュラス・フィ二アス”についてです。もう一つの方は、”フィ二アス・レインボウ”です。ブルージーでファンキーな若々しいフィ二アスが聴けてお気に入り。
■1)ファビュラス の意味
これは、「寓話的な、物語に出てきそうな」で、そこから「現実離れしているほどすばらしい」という意味になります。まさに現実離れしているほど素晴らしい演奏です。
■2)”ファビュラス・フィ二アス”の位置付け
まず、いつものまとめを見てみましょう。以下は、岡崎正道さんの’78年頃のLPのライナーノーツを一部参照しました。
これから判るように、5番目にあるのが、”ファビュラス・フィ二アス”で、’56年にNYでの”ヒア・イズ・フィ二アス”で華麗なデビューを飾ってから2年後で、デビュー時、オクターブユニゾンを含めた驚異的なテクニックでどちらかというとテクニシャンとして知られた。しかし2年後のこの作品では、テクニック偏重のようなものは薄れて、むしろテクニックを抑えたピアニスティックなプレイの中に優れた音楽性を発揮するようになった。もう一つ云うと、当時のジャズシーンが持っていたファンキーなフィーリングをフィ二アスも身に着けている。フィ二アスのプレィはあくまで優美な輝きを持っていて、決してオーバーファンクになることはないが、これも彼のプレイの小さな変化であると岡崎さんは書いているが、私はメンフィスに近いところの出身の彼は元々ファンキーさを生まれながらに持っていたと思う。それがこのアルバムを出す時に、ファンキーブームに影響されて自然に発露したのでしょう。
■3)”ファビュラス・フィ二アス”のアルバム
LPのジャケットは、
若いフィ二アスは、颯爽としています。ついでに裏も
’78年頃に大学のレコード・ショップ”セブン”で買ったもので、相当聴き込みました。
パーソネル:フィ二アス・ニューボーンJrカルテット
フィ二アス・ニューボーンJr(P)
カルヴィン・ニューボーン (G)フィ二アスの弟でギタリスト
ジョージ・ジョイナー (B)
デンジル・ベスト (Ds)伝説のブラッシュドラマー、彼の職人技が聴けます。
1958年3/28、4/3 NYで録音。当時のRCAのクラシック作品でもお馴染みの" LIVING STEREO "で録音。ジャズアルバムでは異例。’58年とは思えない素晴らしい録音です。エンジニアは、Ray Hall。
■4)”ファビュラス・フィ二アス”の各曲
私のお気に入りは、バラード系でA2、A3,ブルース系でB1,高速系でB2、ピアニスティック系でB3です。特に、A2、B3は、無伴奏ピアノソロが聴けて至幸の一瞬が到来します!
A1. Sugar Ray [Take 4] - フィ二アスのオリジナル
私の持っているLPではどういう訳か、曲名がライナーノーツの解説も含め”スイート・ロレイン”になっているが、曲を聴いた限りでは、”シュガー・レイ”である。今販売中のCDではちゃんと”シュガー・レイ”となっている。この辺りの経緯は不明ですが、もしご存知の方居られましたら、お教えください。
先ずは、フィ二アス兄弟のイントロからギターソロへ。これはスインギーでいかにも軽快、メンフィススタイルらしいゴツゴツだけどハッピーなフィーリング。硬質なトーンがいいですね。”ウィ・スリー”の同曲よりアフター・アワーズって感じ。そっからは、ピアノソロになるが、最初のシングルトーンから始めて後はコードを多用して盛り上がる。彼のファンキースピリットが私を楽しましてくれる。
A2. What's New? [Take 3] ボブ・ハガート、ソニー・バークによる’38年の作でスタンダードとなった。
無伴奏ピアノソロ。イントロ後原曲のメロディを大きく崩さないアドリブでロマンティックなテーマが流れてくる。カクテルピアノに近いが、フィ二アスの音楽性というか、ジャズ・フィーリングがあるのでそうは聴こえない。甘美な世界にフィ二アスと遊ぶ気分にしてくれる。エンディングもゴージャス。
A3. Pamela [Take 4] フィ二アスのオリジナル
ギターはお休み。マイナーキーの哀調を帯びた静かでブルージーなメロディを聴くと心が癒される。リラックスした中にも超絶テクをもつ余裕や遊び心がこの曲の表情を豊かにしている。フィ二アスの弾く1音1音が美しい。
A4. 45° Angle [Take 2] デンジル・ベストの作
兄弟のユニゾンでミディアムテンポのスインギーなテーマが流れる。ソロはギターからスインギーに。ブレイクの後は、ピアノのソロ。ここでは、ジョイナーのベースが心地よい。フィ二アスを上手にバッキングしているいぶし銀のプレイ。フィ二アスのアドリブを聴いていると心がウキウキしてくる。
B1. No Moon at All [Take ] デイブ・マンとレッド・エヴァンスによる’49年の曲
パルス的な2音の後、軽快なイントロでスタート。フィ二アスのシングルトーンのテーマからブリッジはカルヴィンが受け持っている。ソロは、ピアノ~ギターの順でリラックスしたプレイが聴ける。ギターはメンフィスの匂いのするスインギーなソロで、ピアノもスイング感バッチリのプレイ。エンディングも風変わり。
B2. I'll Remember April [Take 3] ドン・レイ、パトリシア・ジョンストンの詞にジーン・デポールが作曲した’49年の曲
アップテンポのピアノイントロから。アップテンポの超絶テクは、フィ二アスの真骨頂である。爽快に疾走するフィ二アス。その後フリー・テンポになり、ミディアムテンポになってからカルヴィンが登場。しばらくピアノと併走するが、いつの間にかギター主導でスインギーなソロに。最後は、ピアノに戻って熱気を帯びたソロで終わる。
B3. Cherokee [Take 2] アメリカンインディアン・チェロキー族の踊りを描写風に作曲した、'39年のレイ・ノーブルの作
無伴奏ピアノソロ。両手のユニゾンのダイナミックなプレイが聴きもの。スリリングでピアニスティックなフィ二アスのプレイはスインギーで素晴らしい。
B4. Back Home [Take 6] フィ二アスのオリジナル
兄弟のユニゾンで奏でられるテーマは、フィ二アスのファンキーなオリジナル・ブルースである。先ずは、ピアノソロであるが、ギターのリズムが良い感じで絡む。その次は、ジョイナーの粘っこいベースソロもフィーチャーされている。カルヴィンのアーシーなソロを経て、フィ二アスの力強いタッチのご機嫌でファンキーなソロに戻ってお仕舞い。
■5)You Tube
単曲ですが、全曲上がっています。1曲目はもちろん、”シュガー・レイ”となっています。
■1)ファビュラス の意味
これは、「寓話的な、物語に出てきそうな」で、そこから「現実離れしているほどすばらしい」という意味になります。まさに現実離れしているほど素晴らしい演奏です。
■2)”ファビュラス・フィ二アス”の位置付け
まず、いつものまとめを見てみましょう。以下は、岡崎正道さんの’78年頃のLPのライナーノーツを一部参照しました。
これから判るように、5番目にあるのが、”ファビュラス・フィ二アス”で、’56年にNYでの”ヒア・イズ・フィ二アス”で華麗なデビューを飾ってから2年後で、デビュー時、オクターブユニゾンを含めた驚異的なテクニックでどちらかというとテクニシャンとして知られた。しかし2年後のこの作品では、テクニック偏重のようなものは薄れて、むしろテクニックを抑えたピアニスティックなプレイの中に優れた音楽性を発揮するようになった。もう一つ云うと、当時のジャズシーンが持っていたファンキーなフィーリングをフィ二アスも身に着けている。フィ二アスのプレィはあくまで優美な輝きを持っていて、決してオーバーファンクになることはないが、これも彼のプレイの小さな変化であると岡崎さんは書いているが、私はメンフィスに近いところの出身の彼は元々ファンキーさを生まれながらに持っていたと思う。それがこのアルバムを出す時に、ファンキーブームに影響されて自然に発露したのでしょう。
■3)”ファビュラス・フィ二アス”のアルバム
LPのジャケットは、
若いフィ二アスは、颯爽としています。ついでに裏も
’78年頃に大学のレコード・ショップ”セブン”で買ったもので、相当聴き込みました。
パーソネル:フィ二アス・ニューボーンJrカルテット
フィ二アス・ニューボーンJr(P)
カルヴィン・ニューボーン (G)フィ二アスの弟でギタリスト
ジョージ・ジョイナー (B)
デンジル・ベスト (Ds)伝説のブラッシュドラマー、彼の職人技が聴けます。
1958年3/28、4/3 NYで録音。当時のRCAのクラシック作品でもお馴染みの" LIVING STEREO "で録音。ジャズアルバムでは異例。’58年とは思えない素晴らしい録音です。エンジニアは、Ray Hall。
■4)”ファビュラス・フィ二アス”の各曲
私のお気に入りは、バラード系でA2、A3,ブルース系でB1,高速系でB2、ピアニスティック系でB3です。特に、A2、B3は、無伴奏ピアノソロが聴けて至幸の一瞬が到来します!
A1. Sugar Ray [Take 4] - フィ二アスのオリジナル
私の持っているLPではどういう訳か、曲名がライナーノーツの解説も含め”スイート・ロレイン”になっているが、曲を聴いた限りでは、”シュガー・レイ”である。今販売中のCDではちゃんと”シュガー・レイ”となっている。この辺りの経緯は不明ですが、もしご存知の方居られましたら、お教えください。
先ずは、フィ二アス兄弟のイントロからギターソロへ。これはスインギーでいかにも軽快、メンフィススタイルらしいゴツゴツだけどハッピーなフィーリング。硬質なトーンがいいですね。”ウィ・スリー”の同曲よりアフター・アワーズって感じ。そっからは、ピアノソロになるが、最初のシングルトーンから始めて後はコードを多用して盛り上がる。彼のファンキースピリットが私を楽しましてくれる。
A2. What's New? [Take 3] ボブ・ハガート、ソニー・バークによる’38年の作でスタンダードとなった。
無伴奏ピアノソロ。イントロ後原曲のメロディを大きく崩さないアドリブでロマンティックなテーマが流れてくる。カクテルピアノに近いが、フィ二アスの音楽性というか、ジャズ・フィーリングがあるのでそうは聴こえない。甘美な世界にフィ二アスと遊ぶ気分にしてくれる。エンディングもゴージャス。
A3. Pamela [Take 4] フィ二アスのオリジナル
ギターはお休み。マイナーキーの哀調を帯びた静かでブルージーなメロディを聴くと心が癒される。リラックスした中にも超絶テクをもつ余裕や遊び心がこの曲の表情を豊かにしている。フィ二アスの弾く1音1音が美しい。
A4. 45° Angle [Take 2] デンジル・ベストの作
兄弟のユニゾンでミディアムテンポのスインギーなテーマが流れる。ソロはギターからスインギーに。ブレイクの後は、ピアノのソロ。ここでは、ジョイナーのベースが心地よい。フィ二アスを上手にバッキングしているいぶし銀のプレイ。フィ二アスのアドリブを聴いていると心がウキウキしてくる。
B1. No Moon at All [Take ] デイブ・マンとレッド・エヴァンスによる’49年の曲
パルス的な2音の後、軽快なイントロでスタート。フィ二アスのシングルトーンのテーマからブリッジはカルヴィンが受け持っている。ソロは、ピアノ~ギターの順でリラックスしたプレイが聴ける。ギターはメンフィスの匂いのするスインギーなソロで、ピアノもスイング感バッチリのプレイ。エンディングも風変わり。
B2. I'll Remember April [Take 3] ドン・レイ、パトリシア・ジョンストンの詞にジーン・デポールが作曲した’49年の曲
アップテンポのピアノイントロから。アップテンポの超絶テクは、フィ二アスの真骨頂である。爽快に疾走するフィ二アス。その後フリー・テンポになり、ミディアムテンポになってからカルヴィンが登場。しばらくピアノと併走するが、いつの間にかギター主導でスインギーなソロに。最後は、ピアノに戻って熱気を帯びたソロで終わる。
B3. Cherokee [Take 2] アメリカンインディアン・チェロキー族の踊りを描写風に作曲した、'39年のレイ・ノーブルの作
無伴奏ピアノソロ。両手のユニゾンのダイナミックなプレイが聴きもの。スリリングでピアニスティックなフィ二アスのプレイはスインギーで素晴らしい。
B4. Back Home [Take 6] フィ二アスのオリジナル
兄弟のユニゾンで奏でられるテーマは、フィ二アスのファンキーなオリジナル・ブルースである。先ずは、ピアノソロであるが、ギターのリズムが良い感じで絡む。その次は、ジョイナーの粘っこいベースソロもフィーチャーされている。カルヴィンのアーシーなソロを経て、フィ二アスの力強いタッチのご機嫌でファンキーなソロに戻ってお仕舞い。
■5)You Tube
単曲ですが、全曲上がっています。1曲目はもちろん、”シュガー・レイ”となっています。