オーディオ彷徨録~JBL4331AからALTEC620A~

今までのオーディオの改良や音楽の遍歴に、今後の改善も紹介。いい音に繋がる方法を色々模索したことや、好きな音楽を紹介する。

”ザ・グレート・ジャズ・ピアノ” ~フィニアス・ニューボーンJr~

2017-10-15 14:50:59 | ジャズ
 今回は、フィ二アスの最高作と思う”ア・ワールド・オブ・ピアノ”の続編である”ザ・グレート・ジャズ・ピアノ”についてお話します。これも大学生時代に散々聴きました。以下は’75年の本LPの小西啓一さんのライナーノーツを一部参照しました。

 ■1)フィ二アスと”ザ・グレート・ジャズ・ピアノ”について  これまでに大抵のことは記載していますので簡単に。フィ二アスは、アート・テイタムの流れを汲む希代のテクニシャンであると共に、”60年代を通じて彼と公平な意味で肩を並べることのできたジャズ・ピアニストは、そうざらにはいない”(レスター・ケーニッヒ、S/J誌’75年8月号)と迄言われる真の意味でピアニスティックな天才ピアニストである。デビュー作の”ヒア・イズ・フィ二アス”に聴かれる、NYに上がった当時の彼は、その驚異的なテクニックに任せて、一気呵成に弾きまくるきらいがあり、テクニックだけが浮き上がってしまい、いささかエモーションやエキスプレッションの面で欠けているところもあったが、’60年代に入り、コンテンポラリーに移籍してからは、ケーニッヒという名伯楽を得て、彼本来の持ち味である、両手をフルに用い見事にバランスの取れた卓越したプレイを展開するトゥー・ハンズ・ピアノ・スタイルに円熟味を窺がわせるエモーショナルな感情表現も加味し、大変に深みのある充実したプレイを繰り広げてくれた。
 本アルバムもコンテンポラリーの2作目としてケーニッヒのプロデュースで吹き込まれたもので、最初に書いたようにB面はフィ二アスの最高作と思う”ア・ワールド・オブ・ピアノ”のB面と同一セッションであるので、悪ろうはずがない名作である。LPリストを再掲載。全23リーダーアルバム中の12番目。


 ■2)”ザ・グレート・ジャズ・ピアノ”について 
 まずは、LPの表は、

 この絵は彼の特徴を捉えています。裏も、

 ’75年の暮れに買っていますので、2回生の時です。
 A面 ’62年 9月12日
 ルロイ・ヴィネガー (b) ミルト・ターナー(Ds)
 B面 ’61年 11月21日 (”ア・ワールド・オブ・ピアノ”のB面と同一セッション)
 サム・ジョーンズ  (b) ルイズ・ヘイズ (Ds)
 レスター・ケーニッヒがプロデュースするLPは録音が素晴らしいので定評があるが、ミキサーは、名手”ロイ・デュナン”で、フィ二アスの快適にバランスする、そして時にはブルージーに気だるく歌い上げる(B-2のように)微妙なタッチの一音一音をクリアーに捉えている。しかし私にはシンバルが少しきつ過ぎるように感じますし、彼の強烈なタッチにダイナミックレンジが追いついてない所も偶にあるように聴こえる。彼はよくテイタム・ピーターソンの流れを引いた驚異的なテクニシャンと言われるが、元々彼がアイドルとしていたのは、バド・パウエルであり、テイタムを知ったのはその後ということだ。それだけに、パウエルには、常に尊敬の念を持っており、A-1のセリアなどは、デビューLPとこのLPで2回も取り上げている。この2人は、精神を病むというその悲劇的な経歴において、どことなく似たところもある。同時代の多くのピアニストがパウエル派のピアニストとして成長していったのに対し、圧倒的なテクニックと音楽性を持つ彼は、テイタム等の一世代前の巨匠からダイレクトな影響を受け、そのスタイルを完成させたのだが、根底にはパウエルがあるといった側面も決して見落としてはいけない。

 ■3)”ザ・グレート・ジャズ・ピアノ”の各曲について
 私が気にいっているのは、バラード系では、A-4と、ブルースフィーリング溢れるB-2、アップテンポ系では、A-3,B-1,B-4です。フィ二アスのアルバムの最後は軽快な曲を持ってくることが多く、”ア・ワールド・オブ・ピアノ”のCABU、”ウィ・スリー”のタッズ・デライト、このLPのFour共にウキウキするタッチで大のお気に入りです。
 小西啓一さんの解説を前半に、私の感想をその後に載せます。

 A-1. セリア (バド・パウエルのオリジナル)
 ”デビューLPでは、早いパッセージをバリバリ弾きまくる若さと覇気があり本作品では余裕のある態度で、リラックスした好フレーズを綴っているといった具合に、夫々違ったアプローチで特色を出しており、どちらも言いがたい良さがある。”
 快活なテーマからスタート。最初からご機嫌にスイングする。アドリブも玉を転がすように軽快に進む。フィ二アスの好調さが判るような弾むプレイ。無限にアドリブの種が湧いてくる。

 A-2. ジス・ヒア (ファンキー・ジャズ全盛期に一世を風靡した夭折のピアニスト”ボビー・ティモンズ”(’35-’74)の”モーニン”と並ぶ代表作)
 ”ミルト・ターナーの切れの良いシンバルワーク、ヴィネガーのステディーなウオーキング・ベースにサポートされ、彼は力強くテクニカルに、斬新なファンキーの香り漂うフレーズを紡いでくれる。”
 弾むようなミディアムテンポのファンキーなイントロから。アドリブに入ると縦横無尽に弾きまくる。バラエティーの多さは数知れず。単純なテーマを見事に料理している。最後はお約束のバーンと思いきや、またバーンと2回用意している。

 A-3. ドミンゴ (ジャズ・メッセンジャーズでの活躍で有名な”ベニー・ゴルソン”のオリジナルになる佳曲。ティモンズやゴルソンの作品が並ぶあたりに、本作品の録音時が窺われて興味深い。)
 ”フィ二アスは、アップテンポに乗って、魅力的なフレーズを少しの淀みもなく、スムーズに滑らせて行き、少しもつっぱったところの無いナチュラルな感情表現に、彼の成熟振りをはっきりと聞き取ることが出来る。”
 特徴的なテーマから始まる。直ぐにアドリブに入るが、テーマを元に崩していく。そこからは、正にフィ二アスの真骨頂の湧いてくるようなメロディーのオンパレード。煌びやかなメロディーやスインギーなフレーズを随所に散りばめていく。最後はテーマを何回か繰り返ししめやかに終わる。

 A-4. プレリュード・トゥ・ア・キッス (エリントンと、彼の良き片腕”ビリー・ストレイホーン”の作った、有名なジャズ・スタンダード)
 ”彼は、エロール・ガーナー”を思わせる華麗なブロック・コード・ソロを展開し、一種独特のレイジーな雰囲気を盛り上げている。途中、シングル・トーンによる珠玉のソロをはさみ込み、再びコーダルなパターンで締めくくるあたりつぼを心得た心憎いまでの演出だ。
 ”スロー・テンポのイントロから、ゴージャスなバラードテーマが流れてくる。フィ二アスのバラードは本当にゴージャスな香りがする。途中から流れるような奏法が入ってくるが、またゴージャスなムードに戻って、華麗にエンディング。

 A-5. ウェル,ユー・ニードント (セロニアス・モンクの有名なオリジナル。)
 ”彼の対極に位置するように思える、この鬼才のナンバーを、自分なりの軽快なバウンズ・ナンバーに仕立てて、小気味良いメロディーラインを聞かせてくれている。スタイルは違えども、独自のものを有している偉大なピアニスト達には深い関心を払っている彼ならではの選曲だ。ヴィネガーのソロも地味ながら堅実で印象的なものである。”
 コミカルな調子のイントロより、テーマが流れてくる。アドリブに入ると、快調にミディアム・テンポで飛ばしていく。多彩なアドリブで、シンバルのリズムの中を泳ぐフィ二アス。自由自在なアドリブを披露。いかにも好調だ、と言うことをアピールしているよう。途中、ベース・ソロもスインギーに乗っている。最後は、ピアノのテーマに戻って、少し余韻を残してエンディング。

 B-1. シーム・フォー・ベイシー (フィ二アスのオリジナル)
 ”彼はお得意の速いパッセージや、コーダル・パターン等、多彩なテクニックを披瀝しており、サム・ジョーンズのダイナミックなソロも魅力的だ。全体にブルージーな味わいを見事に醸し出した作品で、曲の盛り上げや、纏め方にも感心させられる。”
 ミディアム・テンポのイントロより、ドラムのリードよろしくアドリブに入るとご機嫌にスイングするフィ二アス。アドリブも余裕綽綽。ベースとの4バースや、それがドラムスに代わったりのバリエーションも楽しくエンジョイ。ピアノに戻ってハッピーにエンディング。

 B-2. ニュー・ブルース (フィ二アスのオリジナル・ブルース・ナンバー)
 ”彼は、アーシーな感覚で、ゆったりとソウルフルに唄い上げており、テクニカルな面だけなく、エモーショナルな表現にも卓越した才を持っていることを印象づけてくれる。バックアップする2人のきめ細かいサポート振りも、聴き所となっている。”
 これと次のFourが一番のお気に入り。いかにもブルージーなイントロからブルース・フィーリングたっぷりのテーマが小技も随所に入って、心に染み入るバラードを聴かせてくれる。メンフィス仕込の本物のブルース・フィーリング。アドリブも、”エー、こう来るの?!”という所もあって楽しい。乗っているキラキラのメロディも鏤めて、この頃がフィ二アスの心の状態が安定していたんだろうと窺わせるプレイ。

 B-3. ウェイ・アウト・ウエスト (言わずと知れた、ソニー・ロリンズのオリジナル。レイ・ブラウンとシェリー・マンを従え、コンテンポラリーに吹き込まれた傑作”ウエイ・アウト・ウエスト”のタイトル・チューン)
 ”ロリンズらしい明るいユーモアを持ったテーマを、フィ二アスは軽やかな指さばきで、爽快に奏でている。彼の両手は、自由に変幻なラインを綴り、又そのラインが微妙に交差し、彼独自のユニークなジャズ世界を浮き彫りにしてくれる。彼の素質が良く出た好演だ。”
 ミディアムスローのイントロからコミカルなテーマが来る。スロー・テンポだが、きっちりスイングしている。又、ドラムのリズムとアクセントが良い味をだしている。その中をフィ二アスがジグザグに縫っていく。華麗に、又多彩なフレーズを繰り出す。全く聴くものを飽きさせない所は見事。

 B-4. フォア (マイルスのオリジナル)
 ”彼は、アップ・テンポで熱っぽく弾きまくっており、スケールの大きい風格のある表現は、アルバムのラストを飾るに相応しいものと言えよう。天来の才能にこうしたスケールを感じさせるようになったあたりに、このアルバムや”ア・ワールド・オブ・ピアノ”等、一連のコンテンポラリーの作品の魅力がありこの頃が彼の最も充実した時期であったことを、如実に物語っている。”
 アップ・テンポのイントロの後、アドリブに入ると、絶好調の色取り取りのアドリブの嵐になる。ここでも彼特有の止め処ないパターンが繰り出される。でもスインギーで流れるように。ドラムとの4バースもお約束ながら、アップ・テンポの曲には、スーツする。ドラムも頑張っているし、フィ二アスもそれに応戦。最後はテーマに戻って弾むリズムで鮮やかに、コミカルにエンディング。

 ■4)You Tube
 今は、フルアルバムで上がっています。
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