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『チェンジリング』

2009-04-06 | cinema & drama


パリからの帰りの機内では途中までしか観ることができなくて、やはり結末が気になり、『チェンジリング』 を観てきた。
クリント・イーストウッド監督、アンジェリーナ・ジョリー主演の、実話に基づいた作品。
子を持つ母親の心理と、権力だけで圧力をかけ、何もかも腐りきった警察の体制、善意だけの純粋な気持ちで母親を全面的に支える牧師と周囲の人たちの姿が、それぞれ丁寧に描かれていた。
舞台は、1920~1930年代のロサンゼルス。当時はLAでもケーブルカーが走っていたようで、レトロなケーブルカーが走る当時の街並を再現したセットは、ヨーロッパのような趣きが感じられた。
時代を象徴するかのように、セピア色とモノクロとカラーを混ぜたようなダークな映像の中で、アンジーのぶ厚い唇に引かれた真っ赤なルージュと、淡いピンクやグリーンのつばのないフェルトっぽい素材の鐘のような形をした帽子の色が、とても映えてアクセントとなっているのが印象的だった。
こういう色彩面においても、イーストウッド監督のセンスと才能だろう。

電話交換手のチーフをしながら生計を立て、息子ウォルターとふたりで幸せに暮らす母親クリスティン。父親は息子が生まれた時に家を出て行ってしまい、最愛の息子は彼女の生きがいだった。
ところが、その愛する息子がある日突然居なくなり、やがて見つかった子供は全くの別人で我が子ではなかったという悲劇から、ミステリー・タッチにストーリーは展開して行く。
自分の息子ではないと必死で訴えるクリスティンを、異常だとして精神病院に矯正入院までさせる、威圧的で有無を言わせないロス市警。
有り得ないことが次々とクリスティンを襲い、彼女は身も心もボロボロに傷付いて行く。
かねてから警察を批判していた牧師が立ち上がり、彼を信頼する人たちが一丸となってクリスティンを何とか救おうとして警察と戦って行く。
傲慢で何もかも都合の良いように丸め込み、陰険で体裁しか頭にない警部が、本当に嫌な奴で見ていてムカついた。
でも、そんな腐敗しきった警察の中にも、正義感を忘れていない刑事がいて、彼によって様々な真実が明らかになって行くのだった。
そこには、見るも無残な真実が待っていた。それは、ひとりの異常者による子供の誘拐と惨殺だった。果たしてウォルターもその犠牲になった子供たちの中のひとりだったのか?
やがて裁判になり、ロス市警には勝ったものの、結局クリスティンが最愛の息子を再びその手で抱きしめることははなく、切なくて哀しく時が過ぎて行くだけだった。
どんな状況がクリスティンを襲っても、“息子は必ず生きている” と信じて決してひるまずに立ち向かう姿は、母親の強さを物語っていた。
同じように息子が行方不明になり、やがて見つかった家族に対して、自分のことのように喜び涙を流すクリスティンの笑顔は、痛々しいほどに哀しい笑顔だった。
そして、その見つかった少年が刑事に事件の顛末を語り出す。その話の中で、息子の勇士を知り、我が子に対する誇りと同時に更なる哀しみが押し寄せ、やるせない気持ちになるのだった。

多少は変えているのかも知れないが、これが実話というのが衝撃的だった。今、同じようなことが起こったとしても、DNA鑑定をすればすぐに解決する問題が、この時代には当然そんな科学は存在しないのだから、他にも似たような事件は多数あったのではないだろうかと思う。そして、背後に隠された、当時のロス市警の狂気とも言える恐るべき実態にも注目したい。
非常に重くて苦しい内容だったが、最後の最後まで切なく、胸を打たれる映画だった。


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