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フランス・ショート・トリップ ~巴里編 Pt.6~

2009-03-30 | travelog


★3月1日 : パリ(午後)
シャルトルからモンパルナス駅に到着したあと、クレープリーのガレットでランチにすることにした。
ガレットとはブルターニュ地方の料理でそば粉のクレープのこと。中にはお菓子の甘いクレープのようなのをデザートで食べることもあるみたいだが、たいていはいわゆるごはんクレープのことを言うみたい。
モンパルナス界隈には、スタンド形式のお店からレストラン形式のお店までクレープリーがたくさんある。
どのお店にしようかな・・・と歩いていて、一軒の可愛いお店の中をガラス越しに覗いた時、お店のお兄さんに手招きされたのでドアを開けると、こじんまりした小さなそのお店はほぼ満席。私のすぐあとにやってきた3人組のおばさま達は、諦めて出て行った。お兄さんが中央の長テーブルの端に席を作って “ここにどうぞ” と招いてくれた。
メニューはフランス語なので、ちんぷんかんぷん。“Galette” というのを見つけたので、その中から選ぶことにしたが、Fromage(チーズ)以外、具が何なのかわからない。“ケスクセ?(これは何ですか?)” と聞いたものの、フランス語で返ってくるから結局わからない。そこで、メニューのいちばん上のものは定番だろうと思い、それとオレンジ・ジュースを頼んだ。
出てきたガレットは、上にバターが乗っているだけだったが、ナイフを入れると中にはハムが2~3重入っていた。それだけのシンプルなガレットだったが、小食の私には丁度良かった。そして、オレンジ・ジュースは先日飲んで美味しかったPampryl(パンプリル)だったので嬉しかった。ガレットは、バターの染み込んだ香ばしい生地にハムの塩気が混ざって、とても美味しかった。
しばらくすると、満席だった席がだんだん空き、テーブルを片付けているお兄さんと目が合ったので “セ ボン!(おいしい!)” と言うと、“デザートは?” と聞かれたのだが、もうお腹は満たされていたので断った。でも、“コーヒー飲む?” と言ってくれたのでうなずくと、デミタス・カップに入ったエスプレッソを出してくれた。
お勘定の時にそのエスプレッソはサービスだということがわかり、お礼を言って店内の写真を撮らせてもらうと、お兄さんもカメラに視線を向けてくれた。
お店を出る時にもう一度お礼を言うと、調理をしていた男性も顔を出して挨拶してくれて、味も雰囲気も大満足のとっても感じのいいお店だった。お店の名前は 「Creperie La Bigoudenne(クレープリー・ラ・ビグデーヌ)」。
 
Creperie La Bigoudenne

大満足でお店を出たあと、モンパルナス駅前に戻る途中に、絵画ばかりのマーケットが開かれていた。
バスでエッフェル塔の下まで行こうと思い、日曜日は運行していない路線もあるのでバス停で確認してからバスを待っていると、通りの向こうに 「名古屋」 というレストランがあった。何故名古屋?と思いながら見ていると、横には “ヱビスビールあります” の看板まであった。きしめんやひつまぶしなんかがあるのかな・・・なんて思っているとバスが来た。
バスは前から乗るのだが、運転手さんは必ず “ボンジュール!” と挨拶してくれる。日本のバスに “こんにちわ!” と挨拶する運転手がいるだろうか・・・。お互いに挨拶するだけで、気持ちがいい。
バスはメトロと違ってパリの風景を見ながら移動できるので、今回たくさんバスを利用している。途中、アンヴァリッッドのドーム教会の前を通って、エッフェル塔の下に広がるシャン・ド・マルス公園付近で降りた。
 絵画のマーケット、奥はモンパルナス・タワー
 レストラン名古屋

この日は少し曇っていたので、真っ青な空にそびえるエッフェル塔は望めなかったが、シャン・ド・マルス公園の芝生の向こうにそびえ建つエッフェル塔は、凛としてスマートで美しかった。
だんだんとエッフェル塔に近付いて行き、真下から上を眺めると、いろんな太さの鉄骨が細かく張り巡らされているのがよくわかった。アール・ヌーヴォー調に丸くデザインされたのもあり、近付けば近付くほどその繊細な鉄骨が複雑に組み込まれているのがわかり、本当に美しかった。(タイトル写真)
日曜日ということもあって、展望台に昇る入口はとても混んでいて、前の広場のメリーゴーラウンドには子供連れの家族がたくさんいた。
エッフェル塔の真下を通り抜けてイエナ橋を渡り、シャイヨー宮に向かって緩やかな坂道を歩いていると、後ろからシャリンシャリンという音が近付いてきたので、何?と思って振り向くと、怪しい中東系の物売りたちが束ねて持っている小さなエッフェル塔の形をしたキーホルダーだった。彼らはあちこちで、黒い鞄を抱えて全力ダッシュで駆け上がって行っている。いったい何が起こったのか。他の人たちも、何?という感じで見ている。
よく見ると、自転車に乗った警官が、彼らを追いかけるように坂を登っていた。はは~ん、奴らはやはり違法商売なんだな・・・。事の顛末を歩きながら見ていたが、警官は羊飼いのように奴らを追い払うだけで、間近に追い詰めても捕まえることはなかった。きっとこういうことを、毎日やっているのだろう。
パリ初日に、夜のエッフェル塔を見たところと同じところから昼間の姿を見たあと、Trocadéro(トロカデロ)からメトロ9号線に乗った。
 シャン・ド・マルス公園から   自転車ポリス

Strasbourg Saint-Denis(ストラスブール・サン=ドニ)で8号線に乗り換えたのだが、逆方向に乗ってしまい、ひと駅行ったところで乗り換えてSt-Sébastien Froissart(サン=セバスティアン・フロワサール)で下車。目的はピカソ美術館。
ミュージアム・パスは2日間用だったのでもう使えなかったが、毎月第一日曜日は美術館が無料になることを事前チェック済み。無料ということもあって、やはり混んでいた。
真っ先に “青の時代” の部屋に行くと、『ラ・セレスティーナ』 が! 去年、国立新美術館の ピカソ展でいちばん最初に見た作品だ。またこの作品に会えるなんて・・・それもピカソが長年暮らしていたこのパリで・・・と感動。
サントリー美術館で見た 『自画像』 も展示されていた。オルガやドラ・マールの肖像画、シュルレアリスムのオブジェや彫刻など、初期から晩年までの作品が展示されていた。
日本で開催されたのは、この美術館の改装のための世界巡回展の一環だったが、正面の半分がまだ工事中だった。でも、たくさんの作品を見ることができて、ピカソ好きの私は大満足。
美術館を出てヴォージュ広場まで歩いて行った。マレ地区と呼ばれるこの辺りは17世紀頃の面影が残る建物が建ち並び、ヴォージュ広場はその頃の立派な建物に四方を囲まれている。建物の下はアーチ型のアーケードになっていて、レストランや画廊などが並び、たくさんの人で賑わっていた。
広場を抜けて、フランス革命の発端となったバスティーユ広場に向かって行くと、7月革命の記念柱がそびえ建っているのが目に入ってきた。
“バスティーユ” “7月革命” と言うと、「ベルサイユのバラ」 を思い出さずにいられなかった。(笑)
 ヴォージュ広場
 バスティーユ広場、後ろに見えるのはオペラ・バスティーユ

Bastille(バスティーユ)からメトロ8号線でFaidherbe-Chaligny(フェデルブ=シャリニー)まで行き、映画 『Before Sunset』 でジェシーとセリーヌが再会したあとに行くカフェ、「Le Pure Cafe(ル・ピュア・カフェ)」 に行った。イーサン・ホーク好きの私には、アメリのカフェや八百屋を見るよりも楽しみにしていたひとつ。
映画のシーンと同じような視線でカフェを見つけたくて、地図を見ながら角を曲がると、当たり前だが映画で見たのと同じ、赤いカフェがあった。なんか、感動・・・。
窓側の席に着き、とっても感じのいいblur(ブラー)のグレアム似のお兄さんにカプチーノ頼むと、暫くしてからクリームもこもこのカプチーノが! これにはカンゲキした。
パリの中心からは離れているし、メトロの駅からも少し距離があるので、もちろん観光客などいない。お客さんはみんな常連さんのようで、グレアム兄さんと楽しくお喋りしていた。
照明を落とした店内は、木の温かみが感じる落ち着いた雰囲気で、真ん中は丸くバー・カウンターになっていた。
とても落ち着いてゆっくり出来るカフェで、少し足を伸ばして来た甲斐があった。かなりの時間をカフェでのんびり過ごし、厨房のスタッフと一緒に賄い料理を食べていたグレアム兄さんに挨拶して店を出た頃には、外は日が落ちて薄暗くなっていた。
 「Le Pure Cafe」
 クリームもこもこカプチーノ

メトロ8号線でFaidherbe-ChalignyからBastilleまで引き返し、Bastilleで1号線に乗り換えたのだが、1号線のBastilleのホームは、東京メトロ丸の内線の四谷駅のように地上にあった。
St-Paul(サン=ポール)で降り、リヴォリ通りを暫く歩いて賑やかなヴィエイユ=デュ=タンプル通りへと入って行った。
この通りにはたくさんのショップが建ち並び、パリは日曜日がお休みの店が多いと言うが、この辺りはほとんど開いていたので、いろんなお店のショー・ウィンドウを眺めながら歩いているだけで楽しかった。
途中、フローズン・ヨーグルトの店 「my berry」 に立ち寄って店内で食べていると、“ゴメンね、閉店なの” と言いにきたお兄さんはゲイっぽかった。半分外で食べた大好きなフランボワーズ(ラズベリー)のフローズン・ヨーグルトは、とっても美味しかった。
そして、「Oliviers & Co.(オリヴィエ&コー)」 でオリーヴ・オイル・ソープを買った。石鹸は、海外で必ず買うものの3つ目のアイテムである。
 「my berry」
 行列が出来ていたパン屋さん
 バインダー・ショップ

ウィンドウ・ショッピングをしながら歩いていると、やがてポンピドゥー・センターが見えて来た。
ビルの空調などの配管や階段・エスカレーターが全てむき出しになっているその近未来的な建物には、近代美術中心の美術館と公共図書館がある。ここは夜遅くまで開いているし、この日は無料デーなので美術館に行った。エスカレーターで昇って行くにつれ、街の綺麗な夜景が見えてきた。
 ポンピドゥー・センター

広々とした空間に様々な作品が展示されていて、面白いのがたくさんあった。絵画だけでなくオブジェや部屋全体を使ったアートもあり、ピカソ、マティス、ブラック、シャガールなどの作品も数点あった。ここでもピカソの作品を見ることができてカンゲキ。
アーティスト名を控えてくるのを忘れたが、四方八方を黒い曲線模様で埋め尽くした白い小さな部屋の作品があり、中に入るとちょっと平衡感覚がなくなりそうになる不思議な空間だった。
そして、ハンガリー出身のシモン・アンタイ(Simon Hantaï)という画家の、全部細いペンで描かれた作品の細かさは凄かった。
 床も壁もデコボコしている
 シモン・アンタイの作品、これが全体
 至近距離で見るとこうなっている

美術館を出たあと、最上階まで行って夜景を見てた時、突然エッフェル塔のライト・アップが変化して、宝石のようにキラキラ瞬きだした。これには感動!
時計を見ると9時。そう言えば夜の毎正時に、スペシャル・ヴァージョンのライト・アップになるということを聞いたことがある。これだったんだ・・・と、すっかりその美しさに見とれていた。
ビルのガラス越しだったので、綺麗な写真は撮れなかったが、パリ最後の夜に相応しいかのようなその美しい瞬きを見ることができて良かった。
エスカレーターを下りて行くと図書館が見えたのだが、たくさんの人が遅くまで勉強や読書をしていたのには感心。
そして市庁舎まで歩き、ホテル近くのシャンジュ橋(両替橋)からセーヌ河に架かるポン・ヌフやコンシェルジュリーなど、名残惜しいパリの夜景に浸った後、ホテルに戻った。
 宝石のようなエッフェル塔
 公立図書館
 ポン・ヌフの向こうにエッフェル塔とアンヴァリッド


★3/1 : 歩数43.435歩、消費カロリー188.7Kcal、距離64.7km


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